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第六部

チビのお写真

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向井がお茶を淹れてセイに渡した。

「有難う。そうだ。写真見る? 」

「写真? 」

四人がセイの顔を見た。

「今も入り口で何枚か撮影したんだけど、

チビ達の着付けが終わった後、

雛人形をバックにして撮ったんですよ」

「へえ~どれどれ」

セーズも楽しそうにカメラの画面を見た。

「おっ、チビ達緊張してんの? 

顔がおすましになってるね~」

セーズが笑った。

「綺麗にしてもらって、

最初の何枚かは笑顔がかたいんだけど…

えっと、この辺りからはいつもの顔に戻ってるの」

画像を動かしながらセイが言った。

「本当ですね」

「冥王が来てね。なんか変顔して笑わせてたんだよね。

だからここからは動きっぱなしで、

いい笑顔でしょう? 」

セイも向井の顔を見た。

「セイくん、写真上手いよね。

動きのある写真も綺麗に撮影できてるじゃん」

新田が画像を見てから顔をあげた。

「加納先生が再生される前に、

撮影方法教えてくれたから」

「そうなんですね」

動物写真家の加納佐吉は派遣を終え、

再生されていった。

「今は生まれ変わって、

赤ん坊からスタートしてます」

セイはカメラを置くと、

頂きますと手毬寿司を口に入れた。

「あ~美味しい。黒谷君のお弁当って、

不思議に自然と体に入ってくるよね」

「素材を活かした調理法で、

神様たちからも評判がいいそうです。

食の力は生きる源ですからね」

向井もそういうと蛤を口に入れた。

「セイ、冥王が写真を撮ってくれってさ」

食事を終えたディッセがやってきた。

「え~僕、今食事中なんだけどな」

「弁当食べながらでいいんじゃないの」

セイはぶつぶつ言いながら、

カメラと弁当を持ってテーブルに歩いていった。

その後姿を見ながら、

「向井さん、ちょっといいかな」

と話しかけた。

そしてその場にいる新田達を見て、

「このメンツなら話してもいいか」

そういうと口を開いた。

「実は例の祠の場所で、

動きがあったらしい」

「!! 」

向井の顔つきが変わった。

「で、こっちも看過する訳にいかないので、

影鰐がかけた術の吉沢の半面、

あれを団地に埋めて更に術をかけることにした。

究鬼が祠全体の結界を包む霊玉を開発したから、

中央に埋めてあの一帯を抑え込むができるそうだ。

吉沢達の足を束の間だけど防げる」

「ねえ祠って、あの開発している場所の? 」

ティンの言葉に、

「お前らも知ってるんだ」

ディッセが言った。

「知っているというか、

この前悪霊退治に出た時に、

アートンから結界の事聞かされて、

様子を見てきてくれって言われたんだよ。

それで俺と新田君とオクトで、

八ヵ所見て回ってきたんだ。ねっ」

と言ってティンが新田を見た。

「一応、浄化用の霊玉を持たされたんで、

祠に埋めてきたんだけど」

新田も弁当を食べながらディッセを見た。

「俺もトリアと一緒に、

赤姫に会いに行かされた。

団地にある二つの祠のエネルギー調査だったけど、

あそこの祠は赤姫のエネルギーが強いから、

今の所持ってるけど、

その八か所の祠は、

エネルギーが枯渇してるんでしょ? 」

セーズがディッセを見る。

「枯渇はしてないけど、

神を無理やり追い出してるからね」

神への捧げものとしながら、

神を冒涜し蔑ろにした儀式で、

何が得られるのか………

そんな事も分からなくなったら、

世も末だな。

向井は話を聞きながら黙って食事をしていた。

「なら、その神は今どこにいるの? 」

新田がミートローフを食べながら聞いた。

「消えかかっていたけど、

薬師十二神将の所にいるってさ。

冥王が先手を打って動いていたらしい。

ああ見えて、一応やることはやってるんだよね」

ディッセの話に、

「へえ~」

と向井達は頷きながら、

楽しそうにお弁当を頬張る冥王を見た。
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