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第六部

邪気払いの福茶

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「ここはドアがないから、

福も魔もなんでも入り放題? 

大体鬼が住んでる場所だし、

やる意味ないと思うんだけど、

冥王とチビが張りきってたんで、

真似事だけ? 」

早紀が笑った。

そんな話をしてるとチビと冥王が戻ってきた。

「いい仕事をしましたね~」

「ね~」

四人は汗をぬぐう動きをしながら入ってきた。

「偉そうに」

ディッセが笑うと、

ドセが配膳ロボットと一緒にやってきた。

「夕食まだの方は、

節分そばと恵方巻の用意があるので、

どうですか? 」

「食べる~」

チビ達と冥王、

牧野が真っ先にキッチンに走って行った。

「手を洗ってね~」

弥生の声に、

「は~い」

と手を洗いに行く。

「これ海苔巻き? 」

三鬼が配膳ロボットを見て聞いた。

「そうだよ。三鬼達がいるから、

ちょっと具は少ないけど、

恵方巻はハーフの細巻きね」

「このまま食べるの? 」

不思議そうにこんが海苔巻きを見る。

「今年の方位はね~こっちかな」

ドセが指さし、

「黙ってお願い事しながら、

残さず食べるの」

チビ達が首を傾げているので、

「よし、俺様が手本を見せてやろう」

そういうと牧野が食べ始めた。

その姿を見ながらチビ達も真似る。

黙々と食べる四人を見ながら笑うと、

「集めた豆はこの籠に入れてね。

優香ちゃんがショコラにしてくれるって」

ドセがカウンターに籠を置いた。

「年の分だけ食べないの? 」

ヴァンがそばを食べながら聞いた。

「みんな自分の年分なんて食べたら、

お腹壊すでしょ」

ドセが笑った。

「年の分だけ食べるなら、

福茶にして頂いたらどうですか? 」

「福茶? 」

海苔巻きを食べ終えた牧野が振り向いた。

チビ達はまだ黙々と食べている。

「福茶は縁起のいい数字の三粒を入れて、

梅干しと塩昆布を足したお茶です。

年末年始、

節分などの縁起のいい時に飲むんです」

「美味しいの? 」

安達がそばを食べながら聞くのを見て、

「大人には美味しいお茶ですね~」

冥王が言った。

「なんだ。年寄りが好きなお茶か」

「なんと罰当たりな」

「でもさ、福って言うんだから、

飲むといいことあるんだよね」

牧野と冥王のいつもの言い合いを、

笑ながら見ていた向井が説明した。

「健康長寿など縁起物のお茶ですね」

「死人に健康長寿なんて関係ないじゃん」

その場にいたものが笑った。

「でも、元気でいないと、

牧野君だって悪霊退治できませんよ。

それに厄落としの事も言ってませんでしたか? 」

その話に牧野の顔がハッとなった。

「そうだよ。これ、厄落としにもいいの? 」

「いいですよ。邪気払いですから、

厄落としにもいいですね。

せっかくだから入れましょうか」

向井がそういってキッチンに行くと、

「福茶淹れるなら、ちょっと待ってて~」

ドセが走って部屋を出て行った。
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