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第六部

特別室の終わり

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「いえ………何でもないんですけど、

今日イベントに出かけた時に、

安達君の様子が少し………身構えた? 

そんな瞬間があって、

そういえばイベント会場から少し離れた場所に、

赤姫さんの土地があったなと」

「なるほど。

あの近辺は近々取り壊しが決定してるからね。

家族子宝の会と移民対策室と特殊災害対策室で、

中央にいながら多くを楽しめる、

大型リゾートタイプの都市に変貌するらしい。

子供の為の街づくりを推奨して、

認可が下りたんだよね」

ディッセが説明した。

「あぁ、僕もニュースで見た。

住民の方も大賛成だとか、

一方通行な声をインタビューをしてたからな」

アートンも腕を組むと、

思い出すように話した。

「イベントってその場所だったの? 」

シェデムが聞いた。

「はい。別に問題はなかったんですけど、

安達君のあの感じだと、

近くに吉沢達がいたのかもしれないと思って」

「ふむ………このところ中央を除いて、

災害も増えているようですし、

中央でなんとか抑え込みたいと思っているんでしょう。

そうすれば北と西での儀式はせずにすみますしね。

究鬼達が今ある結界を崩さず、

維持できるよう新たなものを開発中です。

吉沢が動くのが先か。

究鬼達の開発が先か。

この辺りは微妙ですが、

これによって儀式は終了させます。

あんなもの怨念しか生みませんからね」

「そうなると俺達は、

地球と人間の共存を見守るだけか」

ディッセの言葉に、

「そうですね。

そしてこの終わりが

特別室の終わりにもつながります。

やっと処分出来て、

私の肩の荷もおりるというものです」

「となると、金が減るね~」

ディッセが口をとがらせて考え込んだ。

「そこは君、今あるお金を増やしてくださいよ。

そして君達は働いて、働いて、働いて、

お金を運んできてください」

「まるでブラックだ」

アートンが言うと、

「私は貧乏には慣れていませんからね。

だって、冥王なんですもん」

「もん…って」

その場にいたものが吹き出すと大笑いした。

「それとね、神の力もちょっと、

お金に変えようかと思ってるんです」

「それ、なんですか? 」

彼らが顔をしかめると、

冥王は茶目っ気たっぷりに笑った。

「今は内緒です」

「嫌な予感しかしないんですけど」

彼らはげんなりした顔で、

楽し気な冥王を見ていた。



それから数日後、

冥王が向井を呼びだすと、

「これから高天原に行きますから、

トリアと一緒に向井君も来てください」

「えっ? 俺が入ってもいいんですか? 」

「いいに決まってるでしょう。

ミヒカさんの様子も知りたいですし、

何と言っても毘沙門天が君に会いたがってるので。

会いに行くって約束したんでしょう? 」

「遊びに来いって言われただけで」

「だったら行きましょう。

それに…君に会わせたい人もいるんですよ~」

冥王はそういうとムフフと笑った。
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