上 下
177 / 631
第五部

キャラグッズ販売

しおりを挟む
同じ頃――――――――

トリアと向井は黒谷の部屋にいた。

今日はキッチンカーがお休みなので、

玲子はお友達とお茶をしに出掛けたらしい。

「同年齢の常連のお客さんがいてね。

その人が同じ団地に住んでるのを知って、

区のコミュニティーで、

フラダンスを習い始めたんだよ。

足腰痛いって言ってたのに楽しいみたい」

黒谷はそういうと笑顔になった。

「好きなことは長生きの秘訣だもん。いい事よ」

トリアも笑った。

「で、キャラクターなんだけど、

これでOK? どこか変えたいところがあれば、

言ってくれればすぐに直すって」

黒谷はちょっと考えてから、

「赤姫さんは金色が好きなんだよね」

「そうなの? 」

トリアが聞く。

「俺が櫛をプレゼントするって言った時に、

お店に行ってパンフレットをもらってきたんだけど、

本べっ甲の金蒔絵ばかり選んでから、

決めたから」

「随分奮発したんですね」

向井が驚いた顔で黒谷を見た。

「まあ、神様だからね~

でも、赤姫さんも一応、

俺の懐は考えてくれたみたいだよ」

黒谷は笑った。

「だからさ。赤姫のキャラには金色を、

少しでいいから入れて欲しいんだ」

「せっかくだから金色の櫛を、

髪に挿そうか」

そういって、

トリアは画像の絵にペンで印をつけると、

金色の櫛と入れた。

「冥王のマントは背中に羽が生えたイメージで、

とに角カッコイイのがいいんだって。

色はアバロンシェル? 

あんな感じに光る奴? そう言ってた」

「あの人は自分が大好きだから。

よく自分の銅像制作させて喜んでるのがいるけど、

それと同じだね」

トリアは冥王のキャラにもペンで文字を入れ、

そういった。

「水神はこのままでいいの? 」

「これはね。もう河伯じいに見せたから。

凄く喜んでた」

「OK。じゃあこれを各十点ずつ、

シャカシャカのキーホルダーにしてみるね。

冥王が張りきって作るって言ってたから」

「えっ? 冥王が作るの? 」

黒谷が驚いて声をあげると、

トリアが笑いながら説明した。

「この前のイベントで売れたのが、

余程嬉しかったみたいで、

シャカシャカは自分が作るって、

張りきってた」

「へえ~」

「とりあえず今回は無料でやってあげるけど、

次からは料金取るからね」

「はいよ。イベントは俺もお手伝いさせていただくし、

無料でお弁当も届けます」

「それはみんな喜びますよ。

黒谷君のお弁当は人気だから」

向井の言葉に黒谷も嬉しそうに照れた。

「でさ、もしこれが評判よかったら、

販売したいって言ったでしょ」

「言ったけど、どうしていいか分かんないんだよね」

「だと思った。

うちはセールスプロモーションも手掛けてるから、

イベントやネットなどの販売に関して、

シェデムとディッセが総合プロデュースするよ。

まかせてくれるなら書類にサインして」

「へえ~そんなこともしてるんだ」

黒谷が驚いていると、

「冥界も年中金欠なのよ。

稼げるところで稼がせてもらわないとね。

向井君達だって安い賃金で、

死んだのにさらに魂削って働かされてるんだから。

あんただってそうやって守ってもらってんのよ」

「そうか~感謝しなきゃね」

「そうそう。神様も金がなきゃ死んじゃうのよ」

そんな二人の会話を向井は笑いながら聞いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

独り日和 ―春夏秋冬―

八雲翔
ライト文芸
主人公は櫻野冬という老女。 彼を取り巻く人と犬と猫の日常を書いたストーリーです。 仕事を探す四十代女性。 子供を一人で育てている未亡人。 元ヤクザ。 冬とひょんなことでの出会いから、 繋がる物語です。 春夏秋冬。 数ヶ月の出会いが一生の家族になる。 そんな冬と彼女を取り巻く人たちを見守ってください。 *この物語はフィクションです。 実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。 八雲翔

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ガラスの世代

大西啓太
ライト文芸
日常生活の中で思うがままに書いた詩集。ギタリストがギターのリフやギターソロのフレーズやメロディを思いつくように。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

DARSE BIRTHZ。(ダースバース。)

十川弥生
ライト文芸
 これは世界の謎を解き明かす物語———。 2020年3月14日、日出国(ひいずるこく)上空に突如謎の球体が出現。それにより未知の化物、化(ローザ)が全国各地に現れ、街々は壊滅的な状況となった。そんな中、たった一人の男の登場により事態は収束の一途を辿る———。  時は流れ、化(ローザ)と交戦する一つの職業が生まれた。人はそれを化掃士(かそうし)と呼ぶ。 球体が現れた衝撃の理由とは———

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...