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第五部

気になる牧野

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「私も寿尊の話を聞いて、

その牧野とやらに一度会いたいので、

紹介してくださいよ」

毘沙門天が冥王を見た。

「いつでもいいですよ。

でも、君は最近、

毘沙門天としての仕事をしていないと聞きましたけど」

「失礼だなぁ~この国に七福神が、

一体何か所で祀られているか知っていますか? 

す~~~~~ごい数あるんですよ。

願いなんか聞いてたらおかしくなっちまう」

毘沙門天が和菓子を口に放り込んだ。

「それでサボっているわけですか」

「別にサボってはいませんよ。

だけどね。俺の持つ功徳は、十種類もあるんですよ。

しかもいつもはお参りにも来ない連中が、

ジャンボの時には当たりますように~とか、

恋愛で浮かれてる時には、

今度こそうまくいきますように~とか。

マントラも知らない奴らが、

参拝に来るんです。

それらを全部見てたら疲れるからさ」

「なるほど、それでお賽銭で決めてるわけですね」

「えっ? 誰がそんなことを」

毘沙門天が驚く顔で冥王を見た。

「この前うちでハロウィンをやったんですけど、

弁財天が仮装してお忍びで来てましてね」

「えっ? あの中にいたんですか? 」

シェデムも吃驚仰天した。

毘沙門天も納得がいったのか、

寿尊の顔を見て言った。

「りんご飴!! 」

「おお~そういえばお土産だと言って、

私も頂きましたよ。

冥王様がお作りになられたとか」

寿尊が笑顔で言うと、

「なぬ? あれはお前が作ったのか? 」

毘沙門天が目を見開き冥王を見た。

「そうですよ~うちにはチビちゃん達がいましてね。

その子のリクエストで私が作りました」

偉そうに言う冥王に、シェデムが鼻で笑った。

「林檎も飴も私達が用意して、

ただ飴に林檎を浸しただけですけどね」

冥王はムッとして睨む。

「でも………」

毘沙門天に向き直ると、

「彼女が言うには、

君は五円でご縁なんて考えらんね~って、

文句を言ってるそうじゃないですか」

「それゲスイですね」

シェデムがお茶を飲みながら、

くだらないというように言った。

「あのですね~

弁財天は金運で芸の神ですからね~

参拝には芸術関係者もくるんです。

人気俳優、人気歌手、人気ダンサー、

これから海外に留学するので見守ってください、

なんて子供を心配する親」

「いい話じゃないですか。

それの何が問題なんです? 」

シェデムが聞くと、

「金のかかる芸だから金持ちが多いもん。

お賽銭がいいわけです」

「あははははは」

その話に寿尊が笑い出した。

「冥王様。

私がこの方をキライになれないのは、

毘沙様を見ていると、

坊主を思い出すからなんですよ。

まあ、あの子はここまでゲスイ? ですか? 

ではありませんけどね」

「ぷっ、確かに」

「似てますね。

毘沙門天様より断然かわいいですけど」

冥王とシェデムも頷くと、

面白くなさそうな毘沙門天を見て笑った。
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