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第五部

新しいイベント

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図書室に行くと、

奥のブースで、

何やら楽しそうな葵と河原の姿を見かけた。

机の上に広げた紙を見ながら、

話している姿に、

嫌な予感を感じつつ向井は声をかけた。

「何やっているんですか? 」

二人はその声にハッと振り返ると、

「えっ? いや別に~」

と言いながらデスクに置かれた紙を隠した。

「何ですか? それ」

「何でもないよ~」

河原が後ろ手に隠す。

「だったら見せてくださいよ」

「それは~今は見せられない…な」

葵が向井を上目遣いで見て笑う。

向井が怪しんで二人を見ていると、

「これ何? 」

背後から安達がやってきて、

その紙を覗いて手で引っ張った。

「あっ!! 」

二人が驚く。

安達はその紙を見ると嬉しそうに、

笑顔で顔を上げた。

「これ………またイベントやるの? 」

「えっ!? 」

向井も驚いてその紙を安達から取り上げた。

見ると、


【大好評につき第二弾決定。

 河原葵 「続 閻魔の恋人~逃避行編~」

 ○○コミフェスにて限定販売。

 あのイケメン君にも会えるよ~

 ご来場待ってます💓】


の文字が書かれたフライヤーだった。

日付は来年になっている。

「何ですか。これ。俺、一言も聞いていませんよ」

向井が文句を言った。

「いうつもりだったのよ。でも、忙しくてさ~」

「フライヤーも出来上がってるじゃないですか」

「あのさ…」

葵が言い訳するように話し始めた。

「この前のイベントで、

本が思いのほか人気で完売したじゃん。

一応、販売元はクリエイターズファントムなんで、

この続きは出ないのかって、

ここに連絡があったんだって」

「フンフにお願いしたら、製本してくれるって言うから、

だったら続編描いたから売りたいなって。ねっ」

河原も葵を見て言った。

「では、トリアさんも知ってるってこと? 」

二人がコクコクと頷く。

「なんでそういう、大事なことを内緒にするのかな~」

「それは…怒るから? 」

河原が上目遣いで口を尖らした。

「黙っていたらもっと怒りますよ」

向井は二人を睨むと、

「ここにあるイケメンて、ティン君の事でしょ。

許可は取ったんですか? 」

「イベントやるなら出てもいいって言われた」

「ティンも出るの? 俺もやりたい」

安達が横から向井を見上げる。

「………」

「いいじゃん。同じブースの中で、

テーブルも二脚レンタルしたから、

冥王も新作作るって張りきってたし。

安達君も時間があるから、作ればいいよ。

弥生ちゃんと今回は真紀子さんも出すって」

河原はそういうと向井を見た。

「冥王も荷担してるんだ………

安達君も出たい? 」

「出たい!! 」

向井はこめかみを指で軽く掻くと、

「まあ、いいか。お正月のあとだし、

お店番は安達君がやるんですよ」

安達がうんうんと頷く。
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