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第五部

冥界のリフォーム

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「なんだか、保育所ですね」

「ハハハ、本当だ。

その内プールも欲しいって、

言いださなきゃいいけどさ」

妖鬼は笑って言うと、

「それでね、おもちゃ箱なんだけど、

それぞれにあったほうがいいのか、

一つでいいのか聞こうと思ったんだ」

「そうですね………

要するに片づけを覚えさせればいいんですから、

大きなボックスが一つあればいいんじゃないですか」

「なるほどね。じゃあ、そうするか」

そんな話をしていると、

「私は今聞いてしまいました」

「えっ? 」

向井と妖鬼が振り返ると、

廊下の角から顔をのぞかせる冥王がいた。

「プール………ふふふ………」

「冥王、それは冗談だからね」

妖鬼の言葉も耳に入らないのか、

「トレーニングルームにプールを作りましょう。

そんなに大きくなくていいですよ。

子供が遊ぶんですから」

「だったらビニールプールでいいですね」

向井が言うと、

「でも、私も泳ぎたいです。

きっと牧野君も泳ぎたいって言うだろうなぁ~」

「………」

二人が黙って冥王を見る。

「じゃあ、来年の夏になったら考えるよ」

「温水プールもありますよ」

引き下がらない冥王に向井が聞いた。

「何でプールに入りたいんですか? 」

「運動不足? 向井君にも動かないから、

腰痛になるって言われたし、

医務室でニットンにも、

『ここにプールがあれば、

ウォーキングを薦める』って」

「それじゃ本格的なプールじゃないですか。

そんなの無理無理。

大型のプールを設置してあげるから、

それなら大人も入れるし、

チビ達と一緒に遊べるよ」

妖鬼の困った姿に、

さすがに気の毒に思った向井は、

助け舟を出した。

「筋力鍛えるだけなら、

トレーニングルームにも、

クロストレーナーやフィットネスバイクが、

ありますよ。

俺達も利用してるんだから、

冥王もやりましょうよ」

「………………」

冥王のム~と口を突き出す顔に、

二人はプッと噴き出すと、

「とりあえず、大型プールは設置してあげるから、

そこでチビ達とバタバタしててよ」

妖鬼はそれだけ言って、

作業に戻っていった。

つまらなそうな冥王の姿に、

「そういえば、図書室の中央にあるハンモック。

数を増やしてほしいそうですよ。

あれ、冥王のアイデアなんでしょう? 」

その話にぱぁ~と顔を輝かせると、

「そうなんですよ。

私のお気に入りのカウチは、

最近牧野君に取られてしまって、

ハンモックを作ってもらったんです」

嬉しそうに話し出した。

「向井君も寝てみましたか? 

あそこで本を読みながら揺られてると、

凄く気持ちがよくて眠くなっちゃうんです」

「この前は虎獅狼とチビ達で、

ぎゅうぎゅうになって寝てたので、

安達君が使えなくて、

寂しそうに休憩室に帰ってきました」

向井が思い出してクスッと笑った。
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