『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十三部

悪霊の餌場

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「なんだよ。偉そうに」

「牧野君。一応冥王ですから偉いんですよ」

セイはそういうと笑った。

「今日は式神課も仕事が立て込んでるの? 」

「式神課は毎日忙しいんですよ。

小さなお祓いで小銭を稼いでるんですから」

「ちぇっ。式神がいればやっつけてもらえるのに」

「それじゃ牧野君は、

仕事しないでお金もらうことになっちゃうよ」

セイの背後でカトルセが笑いながら言った。

「だってさ。全然減らないんだよ。

しかも日に日に凶悪化してるし、

死人でも食べられちゃうかもしれないだろ? 」

「そんなことにはならないでしょ。

一応訓練してるんだから。

それに向井さん達は空いた時間に、

訓練所で特訓してるよ。

牧野君も室長に引きずられていく前に、

訓練してみたら? 」

「………………」

面白くなさそうな顔の牧野に、

カトルセは笑った。

「そうだ。あの休憩室っていつから使えるの? 」

「ん~あと二、三日かな。

もう殆ど出来てるから、あとは休憩室と繫げて、

内装を変えるって言ってた」

「どんなふうにするのか聞いた? 

安達も教えてくんねえのよ」

「さあ? 俺達も聞いてないけど、

妖鬼は牧野君も大喜びするって話してたよ」

カトルセが言い、

「出来るまでのお楽しみだよ。

その方がワクワクするでしょ」

セイも笑った。

「ふぅ~ん」

牧野がカウンターで頬杖をついていると、

佐久間たちが来た。

「遅ぇよ」

「すいませんね。私達は他にも仕事があるんですよ。

言っておきますけどヘルプですからね」

佐久間はそういうとセイから霊銃を受け取った。

「そうそう」

「俺達は牧野君と違って、

ダブルワークなんですよ」

オクトとエナトもそういうと、

「さてと、悪霊退治に行きますか」

と牧野を連れて下界に下りて行った。


――――――――


中央の人食いビルと化したリゾート予定地は、

怖くて誰も近づかないこともあり、

そのままの状態で風化していた。

「ここには誰も近づかないんだね」

ティンが辺りを見回し、

避けて通り過ぎていく人々を見た。

「餌場になって悪霊が膨れてるので、

何とかしたいんですけど、

霊は人の妬み僻みに反応するので、

負が強い国は犯罪が減らないし、

悪霊に突き動かされて戦争も勃発しますからね」

向井も深く息をつくと、黒く膨れる空を見上げた。

「それでいくとさ、この国の政権は、

大沢の時より独裁政治になってきてるだろ? 

このまま変わらないってこと? 」

アートンが向井を見た。

「どうでしょうね。

でも最近は、

地下に潜って活動している記者たちもいるみたいですし、

少しの変化はあるんじゃないですか」

向井が微笑んだ。
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