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第十二部

サボリ魔牧野

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みんなが驚いて振り返ると、

偉そうに仁王立ちの牧野と、

エナトと佐久間がいた。

「全く、大人はそんなこと言いませんよ」

佐久間は牧野の頭をはたくと、

「皆さん、もう食事済ませちゃった? 

私達も牧野君お気に入りのおむすび屋さんで、

お昼を買ってきたんですよ」

と袋を持ち上げた。

「改装が気になって、

仕事中も帰りに寄るってうるさいんで、

大通りの悪霊だけ退治してきたんだよ」

エナトも苦笑しながら入ってきた。

「大人が聞いてあきれますね」

向井もため息まじりに笑った。

「俺達は弁当だけじゃ足りないから、

貰うよ」

鬼道が言った。

「ちょっと来ない間に、ずいぶん出来上がってるじゃん」

牧野がそういってみんなの弁当を見た。

「なんと! ローストビーフ? 」

牧野が膨れて向井を見た。

「ハハハ。

牧野君に知られたら怒ると話してたところなんだよね」

「多めに買ってないの? 」

「買ってないですよ。

今日はこの人数で仕事してるって、

確かめてから来ましたからね」

「ちぇっ」

牧野は下品に舌打ちすると、

床に座り込んだ。

「舌打ちはダメよ。チビ達が真似するから」

エハの注意に、

「いいじゃん。いないんだから」

「先程迄、来て遊んでたんだよ。

僕も一個おむすび貰おう」

坂下が袋から中身を選んで手に取った。

「チビが何しに来たの? 」

エナトも驚くとおむすびを食べながら聞いた。

「牧野君が妖鬼さんと工房で話してたのを、

聞いたんだって。

それで源じい達と午前中にここにきて、

走り回ってたんだよ」

「牧野君は口も軽いんだな~

大人からは程遠いね」

新田も笑いながらムスッとする牧野を見た。

「チビ達もサンルームが気に入ったらしくて、

そこにブランコや滑り台が欲しいんだって」

「それじゃ冥界の休憩室と変わんないじゃん。

あそこもキッズルームに占領されてるんだぞ。

却下だよ却下!」

坂下の話に牧野が文句を言いながら、

おむすびを頬張った。

「でも、キッズルームで一緒に遊んでるのって、

牧野だろ。

丁度いいから、牧野も一緒に遊べばいいよ」

妖鬼が笑いながら言った。

「俺、冥界にもサンルームがあればいいのにな~って、

思うの」

安達がサンルームを見ながらぽつりと言った。

「窓があって、お日様があって、

お庭が見えて、いいよね」

「こういう自然のある風景は、

冥界では難しいですね。

人はこの世界を大事にしないといけないですよね。

それも死んでから気付いても遅いんですけど」

向井も安達を見ると微笑んだ。

「これに近い状態でサンルームを作ることは、

冥界でも可能だよ。

本物には敵わないけど欲しいなら作ろうか? 

ここに来られない時に、

同じような風景を体感できるよ」

「えっ? できるの? 」

安達と牧野が同時に言う姿に、

大人達が笑った。
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