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第十二部

坂下も北支部デビュー

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「俺もどこにあるかわかんないし、

これからゾンビ少年見に行くからさ~」

そういいながら、

あとから歩いてきた安達達を見た。

「あれ? セイ君も行くのか」

新田やセイ、弥生、ティン、エルフ、

虎獅狼達の姿を見て、

向井が軽く頭を掻いた。

「カウンターには………」

奥を覗くとカトルセがいた。

向井が名前を呼ぶと、

「何ですか? 」

カウンターにやってきた。

「悪いんだけど冥王のイベントの道具は、

工房のチェストの一番目の引き出しに、

あると思うんです。

渡しておいてもらえますか? 

俺もこれから出かけるんで」

「いいですよ」

カトルセが言うと、牧野達がぞろぞろ歩き出した。

「安達君、お薬はちゃんと持ちましたか? 」

「大丈夫」

向井が聞くと、身守り袋と一緒に、

小さなカプセルのネックレスを見せた。

「俺達が気をつけて見てるから、

安心していいよ」

新田が安達の頭に手を乗せるのを見て、

「気を付けて行ってらっしゃい」

向井は笑顔で彼らを見送った。

坂下はそんな様子を見ながら、

「向井さんはいつもああなの? 」

「ああって? 」

「みんなの世話を焼いているって言うか」

「そうだね。何かあると、

みんな向井さんは~って探してるからね。

何かあってもあの笑顔を見ると安心するんで、

向井さんには悪いんだけど、

特に冥王とチビと牧野君と安達君は、

引っ付き虫だね」

カトルセは笑った。

向井は坂下の所に来ると、

「では、俺達も出かけますか」

と笑顔で言った。


「まずは悪霊の強い北から行きましょうか」

向井が言うと、

「北は倉田さんですよね。

初めて会うので少し緊張します」

坂下が深呼吸した。

「大丈夫ですよ。倉田さんも岸本君も、

強面ではないですから。

牧野君が扱えれば、誰が来ても問題ないです」

向井がそういって笑うのを見て、

ああ~この笑顔か………

確かに安心する。

坂下もカトルセの言葉が理解でき、

自然と笑みがこぼれた。



北につくと、

倉田が入り口で二人が来るのを待っていた。

「向井さんも身長高いと思ったけど、

坂下さんは更に大きいね~ビックリ」

倉田が言うと横に立つキャトルとカランも、

坂下を見た。

「坂下さんは百九十越えてるからね」

向井の言葉に、

「ひえ~羨ましい」

キャトルが言い、

「二人並ぶと迫力あるな~」

カランも腕を組み頷いた。

「宜しくお願いします」

坂下が頭を下げるのを見て、

「緊張してる? 」

「少し」

倉田に言われ、坂下は苦笑いした。

「彼は牧野君より能力が高いんですよ。

しかも短時間ですべてをマスターしましたから、

冥王もいい特例が入ったと喜んでます」

「へえ~それは凄い」

向井の説明に三人が驚いているのを見て、

「あまり持ち上げないでください」

坂下が否定する姿に、

「牧野に坂下さんの爪の垢を煎じて飲ませたいね」

倉田が言い、キャトルがふき出した。

「今頃くしゃみしてるね」

カランも笑うと、坂下の肩の力が抜けた。

「では、悪霊退治に参りましょうか」

彼らは下界に下りた。
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