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第十二部

安達の成長

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「僕のは? 」

チビ達三人が真剣に見ているので、

「君達のはお部屋に置いておくので、

いい香りに包まれて寝んねが出来ますよ」

向井が笑顔で言った。

「たくさんもらったので皆さんに分けて、

残りは下界から受けた負を軽くするためにも、

お部屋に一つ一つ飾っておきましょう」

向井はそういうとガラスのトレイに置いて、

それをテーブルに運んだ。

「わあ~いい香り」

優香たちも笑顔になる。

「サロンの方にも工房にも、

これから置いて回ってくるので、

皆さんいい気分で仕事もはかどりますよ」

向井は笑うとみんなに一つ一つ手渡し、

部屋を出て行った。



工房に行くと虎獅狼達が夢中で、

イベントに出す作品を作っている姿があった。

向井は邪魔をしないように入り口の棚に置いた。

食品を扱う食堂だけ抜かして、

トレーニングルームやサロンなど、

全ての部屋に置いていく。

チビ達の部屋を開けると、

お気に入りのベッドに洋服ダンス、

三鬼のベッドのサイドカーチェストには、

大好きな恐竜やヒーローグッズが並べられ、

呉葉とこんのドレッサーには、

髪飾りやアクセサリーがかけられていた。

向井は笑いながらそれぞれのベッドに、

香り袋を置いた。

そこから順に手渡ししていない人の分だけ、

部屋のノブにかけ、

安達の私室にだけ入ると、

ベッドわきのサイドテーブルに置いた。

安達と牧野の部屋だけは、

真紀子たちがチビ達の部屋と一緒に掃除をしているようで、

綺麗に片づけられていた。

少し見ないうちに部屋が広がり、

壁には飾り棚が設けられていた。

自分が制作したものの他にも、

アニメグッズやプラモデルなど、

大好きなものが綺麗に並べられていた。

中央にはお気に入りの箱庭がある。

最初は壁紙も白だけだったが、

妖鬼を連れてきて模様替えを頼み、

グリーンとオフホワイトの優しい色彩に変わった。



先日は、

「三鬼達の部屋のシール、俺も欲しい」

そういって食堂にやってきた時には、

そこにいたトリアと新田もビックリしていたが、

そのあとに一緒に買いに行くことになった。

新田と楽しそうに歩く安達に、

「牧野君に似てきたよね。

あれは悪いお手本かな? 」

トリアが笑い、

ウォールステッカーショップにつくと、

新田とトリアの方が夢中になってみていた。

「私も貼ろうかな~

海とか宇宙って素敵ね」

「俺も部屋に貼ろう。

窓の景色ってなんか気持ちが明るくなるよね」

安達はすでに部屋のコンセプトが出来ているのか、

考えながら一生懸命選んでいた。

店を出た後は、

トリアがおすすめする足湯カフェに寄った。

「へえ~和の雰囲気で落ち着くね」

新田は周りを見ながら言った。

「ここはブースごとに分かれて、

足湯席があるから、

弥生ちゃん達と買い物に行くと、

時々立ち寄るの。

ハーブの湯で足の疲れも取れるし、

気持ちいいの。

冥王には内緒よ。

知られるとすぐ欲しがるから」

トリアは笑うと、

メニューを見て言った。

安達はすでに足を湯につけて、

「気持ちいい~」

と喜んでいた。

「じゃあ俺も」

向井達も足を入れ、笑顔になった。

「そろそろお昼だし、ランチにしようか」

トリアは注文をすると、

四人はのんびり足湯を楽しんだ。
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