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第四部

チビの欲しいもの

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「俺も初めてだから面白いな」

エナトはブースを覗きながら、

興味深げに歩いていた。

「そっか。

私はこの前マルシェに行って楽しかったから、

また行こうって、

弥生ちゃん達と話してたの」

前を歩くチビと牧野達が、

お目当てのショップを見つけたらしい。

「向井~ここだって」

向井達を手を上げて呼んだ。

「可愛い~」

呉葉とこんは手作りの着せ替え人形を見て、

「見て~これが欲しい」

と向井の手を引いた。

座ったお人形がいくつも並び、

横にはお洋服や靴、カバンなどの小物も、

バラエティ豊かに飾られている。

「可愛いですね。

全部手作りなんですか? 」

向井も驚いて作家を見た。

「はい。一つ一つ手作りしてます」

トリアも見ながら、

「小物まであるんですね。欲しがるわけだ」

笑うと夢中になって眺めている、

こんと呉葉を見た。

「大事にできる? 」

二人がうんうんと首を振るのを見て、

「可愛いお嬢さんたちですね」

作家がトリアと向井に言う。

「有難うございます」

トリアは笑うと向井の腕に腕を絡めた。

向井は苦笑いすると、

「じゃあ、好きなお人形を一つずつ選んでいいですよ」

「どうしよう~」

二人は真剣にお人形を選び、

自分達が来ているドレスと、

同じ色のドレスを着た人形をそれぞれ選んだ。

作家が綺麗にラッピングしたものを受け取り、

おまけにヘアアクセサリーをもらって、

その場で髪の毛に付けて喜んでいた。

お礼を言ってから、

今度は牧野とエナトが、

三鬼と見ているブースに向かった。

「ほら、お父さん、今度はこれだって」

牧野が笑いながら言った。

三鬼が夢中になっていたのは木製の恐竜だ。

「これ凄いの。動くんだよ」

三鬼が夢中になって話す姿に、

作家も笑いながら説明した。

「針金が入っているので、

ポージングができるんです。

こっちは飾って置ける恐竜のパズルです」

「トリケラトプス、ティラノサウルス、

ヴェロキラプトル…………カッコイイ!! 」

「俺には呪文にしか聞こえねぇ~」

三鬼の言葉に牧野が笑った。

「これをどうするんですか? 」

向井が聞くと、

「ブラックプリンスのベッドに飾るの」

三鬼が笑顔で説明した。

三鬼のベッドはサイドカーのチェスト付きなので、

そこに大事なものがしまってある。

向井は笑うと、

「一つだけ好きなのを選んでいいですよ」

三鬼は作家と話しながら、悩んで悩んで一つ選んだ。

「男の子は恐竜好きですよね」

エナトが言うと、

作家は箱に詰めながら、

「うちの子も大好きで、

それまではオブジェを作ってたんですけど、

今はこういったイベントで恐竜売ってます」

と笑いながら話してくれた。

そのあともブースを見て歩きながら、

バナナジュースの専門店が出店していたので、

人数分購入して自分たちのブースに戻った。
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