『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第四部

ハッピーハロウィン

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ハロウィン前夜――――

仮装でねり歩く人数も増え、

そこそこ悪霊が増えてきたので、

向井達は除去に向かった。

「やっぱり、去年に比べると、

悪霊は減ってる気がするな。

原因は何だろうね」

ヴァンは式神を召喚するほどでもないので、

霊銃を使って冥界に送っていた。

悪霊玉の重量問題があり、

開発室が新たに霊玉を小さくし、

装填数も増やしたので、

扱いやすくなっていた。

巨大化した悪霊には不向きだが、

これくらいのものには使いやすい。

「悪霊がいないのは良い事よ。

これだけ除去すれば、

明日はパーティーで、

ご馳走食べられそうだよ」

エハはそういうとヴァンを見て笑った。

「冥王もチビ達も、

もう、何日も前から仮装して歩いてましたからね。

パーティーは楽しみですよね」

向井もヴァンとエハを見て笑顔になった。

「俺、向井さん達が来て、

本当に嬉しいんだよね。

パーティーとかもしたことなかったし、

楽しみって図書室で本読むくらい? 」

「そうだったの? 」

向井が聞くと、

「そうね。結婚式も発表会も初めてだもん。

でも、工房が出来たのが一番かも。

あんなに色んなものを作れて、

教えてもらえるのって嬉しいし、すごく楽しい」

エハが笑顔で話した。

「前の方が人数はいたはずなのに、

今の方が賑やかで、

戻って楽しそうな声が聞こえるのっていいなって」

「俺達が役に立ってるならよかったです」

向井も微笑んだ。

「では、君達が頑張っているから、

俺からハロウィンのカボチャクッキーをあげよう」

向井はそういうと内緒で購入しておいた、

洋菓子店のクッキーを渡した。

「えっ? 嬉しい」

二人はラッピングされたクッキーに喜ぶと、

「食べるのもったいないな」

と笑顔でお礼を言った。

「冥界をいつも留守にするわけにはいかないけど、

たまには式神コンビと悪霊退治もいいですね」

三人は楽しそうに話しながら、

大通りを抜けていった。


――――――――


ハロウィン当日は、

下界では若者が毎年のように騒ぎを起こしていたが、

悪霊の姿は少なく、

アラートもならずに、

冥界でも仮装コンテストをしていた。

「これ考えたの冥王? 」

「それしかいないでしょ。

冥王の仮装は魔法学校の校長だよ。

仮装する意味ないと思うんだけどね」

向井が舞台を見ていると、

隣にいた早紀が笑いながら言った。

「今日は倉田さんも岸本君も来て、

急遽、仮装コンテストに参加させられたのよ」

「へえ~でも似合ってますよ」

ドラキュラと骸骨になっている二人が、

きゃあきゃあ笑いながら逃げるチビ達を、

追いかけている。

「みんな楽しそうじゃん。

でも、源じいは何で仙人に仮装したの? 

仮装しなくても仙人みたいなんだけど」

トリアもカクテルを手に笑いながら近づいてきた。

「あっそれ、ブラッディメアリー?

私も飲みたい」

「カウンターでセーズが作ってるから、

貰ってきたら」

「向井君も飲む? 」

「俺はビールでいいや」

「じゃあ、一緒に持ってくるね」

早紀がセーズの所に歩いて行った。

「カクテルなんて珍しいですよね」

「ほら、今日はハロウィンでしょ。

血が滴るハロウィンのお化け。

だからトマトジュースなのよ」

トリアが笑って話すと、

早紀が戻ってきた。

「はい、ビール」

「有難う」

向井は受け取るとプルトップを開けた。

「ハロウィンだからって、

トマトにこだわらなくてもいいのにね~」

「ん? 」

向井が不思議そうな顔をする。

「子供たちは喜ぶと思うけど、

マルゲリータにミネストローネ、ナポリタン? 

血をイメージしてるんだって」

「今日の料理はそれなんですね」

向井は納得したように笑うとビールを飲んだ。

楽しみにしていたヴァンとエハも、

仮装コンテストを笑いながら見ている。

「牧野君はキョンシーで…安達君は何だ? 」

トリアが首を傾げた。

「安達君は多分、

フランケンシュタインだと思いますよ。

本を読んでいたので」

「フランケンか~まあ、みんな楽しそうだし、

パーティーやってよかったんじゃない」

トリアの言葉に、

三人はそんな様子を眺めながら微笑んだ。
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