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第四部
第二回発表会
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「何言ってんですか。
千乃さんは出来上がったんですか」
「まだよ。
ニードルって思っていたより難しいのよ~
クロはちまちましたことが得意なのか、
綺麗にブローチになってるのに」
「お前は雑だからダメだ。
俺は丁寧だから。
なっ、先生」
クロはニードル作家の堤美香子とやってくると、
自慢げに女性を見上げた。
「ここにいる方達は、
人とは違う感性を持ち合わせているので、
出来上がりを見るのも楽しいんですよ」
堤はクロを見て笑顔になった。
堤は五十代。
若い頃は保育士をしていそうたが、
体を壊して退職後に作ったニードルが人気になり、
そのまま作家として活躍するようになったという。
熱中症で倒れて、
そのまま亡くなり冥界へとやってきた。
サロンにきて工房を見たあと、
霊達の楽しそうな姿にもう少し作りたいといい、
派遣登録させた。
「やり方も覚えたから、
次はキーホルダーを作るぞ。
上手くできたら向井にもやる」
クロが出来上がったブローチを胸につけ、
向井に見せると自信ありげに言った。
「それは有難うございます。
楽しみに待ってますよ」
「だったら、わらわもできたら向井にやる」
呉葉が飛んでくると向井を見上げる。
「オルゴールをくれるんですか?
せっかく作ったんだから、
自分のお部屋に飾られたらいいのに」
「違う。お揃いで作るのじゃ!!
クロ、お前には負けんぞ」
そういうとテーブルに戻っていった。
その場にいたものが笑っていると、
「向井君はモテモテですね~」
「冥王はお仕事サボってていいんですか? 」
向井が言った。
「今日は十朱さんの提案で、
お家を作ることになったんです。
設計図もできたんで、
好きなものがいっぱい詰まった、
私のお城を建てます」
冥王は楽しそうにそれだけ言うと、
十朱のブースにスキップしながら入っていった。
「設計図描いたの俺なんだけどね」
「妖鬼さん」
入り口から入ってきた鬼は、
首をコキコキ動かしながら近づいてきた。
「こっちも仕事が詰まってるのに、
あれやれ、これやれ………はぁ~疲れた」
妖鬼はため息をついた。
「それはご苦労様でした」
向井がお気の毒にと笑った。
「発表会で張りきってるでしょ。
今度は屋台をもう少し増やしたいんだと。
この前思った以上に死神達も集まって、
足りなかったからね~」
「発表会は俺達も出るぞ」
「おっ、虎獅狼。ここにいたのか。
出るなら死神課で申し込みしてきな。
もう、受け付け始まってるから」
「おお~そうか。今回は仲間が増えて、
四人で戦隊ヒーローを見せてやるぞ」
「それは凄いな」
「屋台も楽しみじゃ」
呉葉が近づいてきて、ニコニコ笑顔になった。
「この子は? 」
妖鬼が指をさした。
「呉葉です」
向井が紹介すると、
「屋台は何が出るんじゃ。
虎獅狼と千乃が美味い美味いというんじゃ。
わらわはりんご飴とわた飴が好きじゃ」
「りんご飴とわた飴か………
考えてみるわ」
「頼んだぞ」
呉葉はそれだけ言うと、
再び作業に戻っていった。
「そういや牧野と三鬼とこんも、
チョコバナナ喜んでたもんな。
ガキは甘いもん好きだよな」
「それ、牧野君に聞かれたら蹴られますよ」
「まずいまずい」
妖鬼は笑うと劇場へと入っていった。
千乃さんは出来上がったんですか」
「まだよ。
ニードルって思っていたより難しいのよ~
クロはちまちましたことが得意なのか、
綺麗にブローチになってるのに」
「お前は雑だからダメだ。
俺は丁寧だから。
なっ、先生」
クロはニードル作家の堤美香子とやってくると、
自慢げに女性を見上げた。
「ここにいる方達は、
人とは違う感性を持ち合わせているので、
出来上がりを見るのも楽しいんですよ」
堤はクロを見て笑顔になった。
堤は五十代。
若い頃は保育士をしていそうたが、
体を壊して退職後に作ったニードルが人気になり、
そのまま作家として活躍するようになったという。
熱中症で倒れて、
そのまま亡くなり冥界へとやってきた。
サロンにきて工房を見たあと、
霊達の楽しそうな姿にもう少し作りたいといい、
派遣登録させた。
「やり方も覚えたから、
次はキーホルダーを作るぞ。
上手くできたら向井にもやる」
クロが出来上がったブローチを胸につけ、
向井に見せると自信ありげに言った。
「それは有難うございます。
楽しみに待ってますよ」
「だったら、わらわもできたら向井にやる」
呉葉が飛んでくると向井を見上げる。
「オルゴールをくれるんですか?
せっかく作ったんだから、
自分のお部屋に飾られたらいいのに」
「違う。お揃いで作るのじゃ!!
クロ、お前には負けんぞ」
そういうとテーブルに戻っていった。
その場にいたものが笑っていると、
「向井君はモテモテですね~」
「冥王はお仕事サボってていいんですか? 」
向井が言った。
「今日は十朱さんの提案で、
お家を作ることになったんです。
設計図もできたんで、
好きなものがいっぱい詰まった、
私のお城を建てます」
冥王は楽しそうにそれだけ言うと、
十朱のブースにスキップしながら入っていった。
「設計図描いたの俺なんだけどね」
「妖鬼さん」
入り口から入ってきた鬼は、
首をコキコキ動かしながら近づいてきた。
「こっちも仕事が詰まってるのに、
あれやれ、これやれ………はぁ~疲れた」
妖鬼はため息をついた。
「それはご苦労様でした」
向井がお気の毒にと笑った。
「発表会で張りきってるでしょ。
今度は屋台をもう少し増やしたいんだと。
この前思った以上に死神達も集まって、
足りなかったからね~」
「発表会は俺達も出るぞ」
「おっ、虎獅狼。ここにいたのか。
出るなら死神課で申し込みしてきな。
もう、受け付け始まってるから」
「おお~そうか。今回は仲間が増えて、
四人で戦隊ヒーローを見せてやるぞ」
「それは凄いな」
「屋台も楽しみじゃ」
呉葉が近づいてきて、ニコニコ笑顔になった。
「この子は? 」
妖鬼が指をさした。
「呉葉です」
向井が紹介すると、
「屋台は何が出るんじゃ。
虎獅狼と千乃が美味い美味いというんじゃ。
わらわはりんご飴とわた飴が好きじゃ」
「りんご飴とわた飴か………
考えてみるわ」
「頼んだぞ」
呉葉はそれだけ言うと、
再び作業に戻っていった。
「そういや牧野と三鬼とこんも、
チョコバナナ喜んでたもんな。
ガキは甘いもん好きだよな」
「それ、牧野君に聞かれたら蹴られますよ」
「まずいまずい」
妖鬼は笑うと劇場へと入っていった。
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