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第十八部

安達の七五三

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恥ずかしそうな顔をする安達に、

「そんな顔しないでよ~

せっかく神様からいただいた反物で作ったんだからさ」

ディッセはそういうと安達を見た。

「そうだ。

安達君もカラオケ大会には参加されるんですか? 」

向井が聞くと、

「出る~牧野と練習したんだ。

スタンドマイクでね~

昔の歌謡曲? っていうのを歌うの」

「俺も出るから負けないよ」

ディッセがいい、安達も笑顔になった。

向井の隣で楽しそうに話す安達の姿を、

冥王とトリアも笑顔で見ていた。



黒谷の待つ喫茶店に行くと、

臨時休業の札がかけられていた。

「今日はお休みにしたんですか? 」

向井が聞くと、

「冥界からの大量注文だし、

俺もチビちゃんの歌聴きたいからね」

と黒谷が笑った。

「前もって言われてたから、

最初から今日はお休みって、

お客さんにも言ってたし、

HPにも告知してたから、

俺にとっては休息日だね」

黒谷が説明するのを聞いて、

「今日はここで見るの? 

それとも団地? 

映像のセットもしに来たんですけど」

と向井が言った。

「ここで見る。

玲子ばぁと三上さんはいつもの四人組で、

高子さんのお家で女子会だって」

黒谷が笑った。

「で、今日は高子さんの家に泊まるんだってさ」

「それは楽しそうだ」

向井も笑顔になると、

「じゃあ、セッティングしちゃいますね」

と部屋に入って行った。

「俺も納品チェックさせてもらうね」

ディッセも店の棚を見に歩いて行く。

「今九時でしょ。時間はまだ大丈夫? 」

黒谷が聞くと、

「七五三はお昼からなの。

で、お写真撮って、

そのあとにカラオケ大会だから」

安達がお弁当の蓋を開けて中をのぞいた。

「わあ~美味しそうだね」

「でしょ。ホント、美味しいよ。

僕も手伝ってて、

少し味見させてもらっちゃった」

ゼスがいい、ドセと二人で笑った。

「いいな~味見したんだ」

そんな三人を笑いながら見ていた坂下が、

安達に声をかけた。

「安達君も着物着るんでしょ」

「えっ? そうなの? 」

黒谷も驚いて、片付け作業から顔をあげた。

「お着物作ったから、

お写真撮りたいって言うんだ。

チビと一緒だから恥ずかしいのに」

「いいじゃん。牧野君だって一緒に袴姿になるんだから」

ディッセが棚から戻ってくると笑顔を見せた。

「牧野君の袴姿の方が、俺はちょっと気になるな」

黒谷がくすくす笑うと、

「せっかくだから、着た姿を俺にも見せてよ」

と安達に言った。

「ええ~」

「安達君と牧野君の着物も立派なんだよ。

黒谷君に見せてあげなよ」

嫌がる安達にディッセが笑った。

「はい。設置終わりましたよ。

なに? みんなして楽しそうだけど」

向井が部屋から出てきた。

「安達君の着物姿も見たいって、

黒谷君からリクエストがあったんだよね」

坂下が恥ずかしそうに笑う安達を見た。

「毘沙門天様も楽しみにしてますし、

黒谷君にもお披露目しないとね」

向井も笑顔になると言った。
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