593 / 631
第十七部
イケメン賞?
しおりを挟む
発表会が始まると、
みんな楽しそうに演目を見ていた。
妖鬼達とチビは大掛かりなマジックを披露し、
拍手喝采。
倉田とカランはバルンアートを見せ、
河原が出来上がったものをもらって、
はしゃいでいた。
岸本とサランダはアコーディオンを弾き、
観客のリクエストにも応え、
喜ばれていた。
牧野達のステージが終わると、
「組体操だったのね」
フェムティが拍手をしながら言った。
「安達君が運動会に参加したことがないって言ったんで、
牧野君がやらせたみたいだけど、
なんで組体操だったんだろうね」
ニットンが笑いながら近づいてきた。
「そういう事か」
「なに? 」
アートンの言葉にフェムティ達が振り向いた。
「ほら、冬の大運動会さ。
冥王は安達君の為にもやりたかったんじゃないの? 」
「あぁ~」
トリアも頷いた。
「おっ、次は女性コーラスだ」
キャトルがピアノの前に座る源じいと、
同じドレス姿の真紀子たちを見て笑顔になった。
歌が始まると、
舞台袖から赤姫、弁財天、吉祥天が出てきて、
優雅に踊り始めた。
その姿に観客もうっとりと見つめている。
「ねえ、なんで神様三人は踊りを披露してるの? 」
フェムティが不思議そうに聞く。
「実は吉祥天は歌がね………」
「下手なの? 」
トリアの話にフェムティ達が振り向いた。
「ん………上手いとは言えないわね。
本人は自信満々なんだけどさ。
どうしても周りが引きずられちゃうから、
煽てて踊りにしようってことになったのよ。
まぁ、神の舞は縁起もいいからね」
トリアは腕組して笑った。
「大トリは向井さん達? 」
フェムティが楽しそうに舞台を見る。
するとディッセとヴァンが縄を回し始めた。
「わあ~」
観客の歓声の中、向井達がダブルダッチを始めた。
「なるほど。これの練習をしてたんだ」
チビと安達、牧野は夢中になって見ている。
「はぁ~カッコいいね。
向井さんと新田君はイケメンだからね~
佐久間さんはいい人材を確保したよね。
チームにはティン君達も入ってるから、
イケメン賞も貰えそう」
坂下も近づいてくると言った。
「イケメン賞なんてないでしょ」
トリア達は笑うと拍手した。
発表会後は恒例の打ち上げがあり、
休憩室では大盛り上がりで、
みんな楽しそうに飲んで食べてと賑やかだった。
カメラを外して、
黒谷の所から帰ってくると、
先程まで騒いでいたチビも疲れたのか、
ぐっすり寝ていた。
向井とトリアはチビを部屋へと連れて行った。
「目が覚めたらお風呂入れて夕食かな」
二人が休憩室に戻ると、
「ご苦労様」
と早紀が声をかけた。
カウンターには早紀、アートン、坂下、
シェデムが酒を飲みながらつまみを食べていた。
「田所さんと弥生ちゃんは消去が増えて、
今エルフとオクトも手伝ってる。
チビ達には一応、
チキンサンドとスープを用意しておいたよ」
セーズもやってくると、冷蔵庫からビールを出した。
「サロン霊は今日も減ったので、
消去課は忙しいかもしれませんね」
向井も椅子に腰かけるとセーズを見た。
「チビ達は屋台で、
ちょこちょこつまんでたから、
お腹はいっぱいだと思うのよ」
シェデムがそういって時計を見る。
「今寝てるでしょ。
夕食の時間に起きだすと思うから、
丁度いいかな」
「大人はこのまま宴会で寝ちゃうんじゃないの」
早紀が笑って部屋を見ると、
既に安達と牧野はキッズルームで、
大の字になって寝ていた。
「大きい子供は気持ちよさそうだね」
アートンがピザを齧りながら笑った。
大人達がそんな話をしていると、
向井のリングが光った。
「ん? 悪霊かな? 」
ディスプレイを浮かび上がらせると、
「………」
トリア達も怪訝そうな表情になった。
「別に問題はなさそうに見えますけど………
人食いビルですね。
ん………少し気になるので見てきます」
向井が立ちあがると、
「じゃあ、私も一応見ておく」
とトリアもスツールから下りた。
「二人だけで平気? 俺も行こうか? 」
アートンが言うのを、
「大丈夫。僕も行きますから。
それに皆さんはお酒飲んでるでしょ」
と坂下が笑った。
「これくらいいつもの事じゃん」
早紀が笑うのを聞きながら、
向井達は部屋を出て行った。
「あれ? 向井さん達どこ行くの? 」
死神課の前でディッセが足を止めた。
「ディッセこそ、どこに行ってたの? 」
トリアが聞くと、
「喫茶店。ほら、作品完売したじゃん。
だから新たに納品にね」
「あれ、全部売れちゃったんだ」
驚く坂下にディッセが笑った。
「そうなんだよ。
神様のシャカシャカがね。
で、みんなはどこに行くの? 」
「人食いビルに行ってきます」
向井が言った。
「何か問題? だったら俺も行く」
「ディッセが来ても役に立たないじゃん」
「そんなこと言うなよ~」
トリアの言葉にディッセが不貞腐れたように笑うと、
四人は下界に下りて行った。
みんな楽しそうに演目を見ていた。
妖鬼達とチビは大掛かりなマジックを披露し、
拍手喝采。
倉田とカランはバルンアートを見せ、
河原が出来上がったものをもらって、
はしゃいでいた。
岸本とサランダはアコーディオンを弾き、
観客のリクエストにも応え、
喜ばれていた。
牧野達のステージが終わると、
「組体操だったのね」
フェムティが拍手をしながら言った。
「安達君が運動会に参加したことがないって言ったんで、
牧野君がやらせたみたいだけど、
なんで組体操だったんだろうね」
ニットンが笑いながら近づいてきた。
「そういう事か」
「なに? 」
アートンの言葉にフェムティ達が振り向いた。
「ほら、冬の大運動会さ。
冥王は安達君の為にもやりたかったんじゃないの? 」
「あぁ~」
トリアも頷いた。
「おっ、次は女性コーラスだ」
キャトルがピアノの前に座る源じいと、
同じドレス姿の真紀子たちを見て笑顔になった。
歌が始まると、
舞台袖から赤姫、弁財天、吉祥天が出てきて、
優雅に踊り始めた。
その姿に観客もうっとりと見つめている。
「ねえ、なんで神様三人は踊りを披露してるの? 」
フェムティが不思議そうに聞く。
「実は吉祥天は歌がね………」
「下手なの? 」
トリアの話にフェムティ達が振り向いた。
「ん………上手いとは言えないわね。
本人は自信満々なんだけどさ。
どうしても周りが引きずられちゃうから、
煽てて踊りにしようってことになったのよ。
まぁ、神の舞は縁起もいいからね」
トリアは腕組して笑った。
「大トリは向井さん達? 」
フェムティが楽しそうに舞台を見る。
するとディッセとヴァンが縄を回し始めた。
「わあ~」
観客の歓声の中、向井達がダブルダッチを始めた。
「なるほど。これの練習をしてたんだ」
チビと安達、牧野は夢中になって見ている。
「はぁ~カッコいいね。
向井さんと新田君はイケメンだからね~
佐久間さんはいい人材を確保したよね。
チームにはティン君達も入ってるから、
イケメン賞も貰えそう」
坂下も近づいてくると言った。
「イケメン賞なんてないでしょ」
トリア達は笑うと拍手した。
発表会後は恒例の打ち上げがあり、
休憩室では大盛り上がりで、
みんな楽しそうに飲んで食べてと賑やかだった。
カメラを外して、
黒谷の所から帰ってくると、
先程まで騒いでいたチビも疲れたのか、
ぐっすり寝ていた。
向井とトリアはチビを部屋へと連れて行った。
「目が覚めたらお風呂入れて夕食かな」
二人が休憩室に戻ると、
「ご苦労様」
と早紀が声をかけた。
カウンターには早紀、アートン、坂下、
シェデムが酒を飲みながらつまみを食べていた。
「田所さんと弥生ちゃんは消去が増えて、
今エルフとオクトも手伝ってる。
チビ達には一応、
チキンサンドとスープを用意しておいたよ」
セーズもやってくると、冷蔵庫からビールを出した。
「サロン霊は今日も減ったので、
消去課は忙しいかもしれませんね」
向井も椅子に腰かけるとセーズを見た。
「チビ達は屋台で、
ちょこちょこつまんでたから、
お腹はいっぱいだと思うのよ」
シェデムがそういって時計を見る。
「今寝てるでしょ。
夕食の時間に起きだすと思うから、
丁度いいかな」
「大人はこのまま宴会で寝ちゃうんじゃないの」
早紀が笑って部屋を見ると、
既に安達と牧野はキッズルームで、
大の字になって寝ていた。
「大きい子供は気持ちよさそうだね」
アートンがピザを齧りながら笑った。
大人達がそんな話をしていると、
向井のリングが光った。
「ん? 悪霊かな? 」
ディスプレイを浮かび上がらせると、
「………」
トリア達も怪訝そうな表情になった。
「別に問題はなさそうに見えますけど………
人食いビルですね。
ん………少し気になるので見てきます」
向井が立ちあがると、
「じゃあ、私も一応見ておく」
とトリアもスツールから下りた。
「二人だけで平気? 俺も行こうか? 」
アートンが言うのを、
「大丈夫。僕も行きますから。
それに皆さんはお酒飲んでるでしょ」
と坂下が笑った。
「これくらいいつもの事じゃん」
早紀が笑うのを聞きながら、
向井達は部屋を出て行った。
「あれ? 向井さん達どこ行くの? 」
死神課の前でディッセが足を止めた。
「ディッセこそ、どこに行ってたの? 」
トリアが聞くと、
「喫茶店。ほら、作品完売したじゃん。
だから新たに納品にね」
「あれ、全部売れちゃったんだ」
驚く坂下にディッセが笑った。
「そうなんだよ。
神様のシャカシャカがね。
で、みんなはどこに行くの? 」
「人食いビルに行ってきます」
向井が言った。
「何か問題? だったら俺も行く」
「ディッセが来ても役に立たないじゃん」
「そんなこと言うなよ~」
トリアの言葉にディッセが不貞腐れたように笑うと、
四人は下界に下りて行った。
1
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
独り日和 ―春夏秋冬―
八雲翔
ライト文芸
主人公は櫻野冬という老女。
彼を取り巻く人と犬と猫の日常を書いたストーリーです。
仕事を探す四十代女性。
子供を一人で育てている未亡人。
元ヤクザ。
冬とひょんなことでの出会いから、
繋がる物語です。
春夏秋冬。
数ヶ月の出会いが一生の家族になる。
そんな冬と彼女を取り巻く人たちを見守ってください。
*この物語はフィクションです。
実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。
八雲翔
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
DARSE BIRTHZ。(ダースバース。)
十川弥生
ライト文芸
これは世界の謎を解き明かす物語———。
2020年3月14日、日出国(ひいずるこく)上空に突如謎の球体が出現。それにより未知の化物、化(ローザ)が全国各地に現れ、街々は壊滅的な状況となった。そんな中、たった一人の男の登場により事態は収束の一途を辿る———。
時は流れ、化(ローザ)と交戦する一つの職業が生まれた。人はそれを化掃士(かそうし)と呼ぶ。
球体が現れた衝撃の理由とは———
チェイス★ザ★フェイス!
松穂
ライト文芸
他人の顔を瞬間的に記憶できる能力を持つ陽乃子。ある日、彼女が偶然ぶつかったのは派手な夜のお仕事系男女。そのまま記憶の奥にしまわれるはずだった思いがけないこの出会いは、陽乃子の人生を大きく軌道転換させることとなり――……騒がしくて自由奔放、風変わりで自分勝手な仲間たちが営む探偵事務所で、陽乃子が得るものは何か。陽乃子が捜し求める “顔” は、どこにあるのか。
※この作品は完全なフィクションです。
※他サイトにも掲載しております。
※第1部、完結いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる