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第十七部

冥界ルームツアー

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数日後――――――――

向井が黒谷の団地から戻ってくると、

セイがカメラを抱えて、

冥王と何やら中継をしていた。

「なんですか? あれは? 」

向井が死神課でカトルセに話しかけると、

「あぁ、ルームツアーだって言ってましたよ」

「ルームツアー? 」

とふき出して笑った。

「今黒谷君のカメラセットしてきたんでしょ? 」

トリアもやってきた。

「はい」

「黒谷君に冥界の中を紹介するって、

約束したらしくてさ。

休憩室、図書室、トレーニングルーム、工房、

ギャラリー、食堂かな? 

そのあたりを説明して回ってるの」

「ははは………冥王らしいですね」

向井もあきれ顔で笑った。

「要するに自慢したいんだよ。

電車とかプールとか。

いずれ君もここに住むんだよ~なんて言ってさ。

黒谷君の顔が引きつってたよ」

アートンも笑いながら近づいてきた。

「確かに早くおいで~って、

呼ばれているみたいですもんね」

向井も苦笑した。

「あ~いたいた。

さっきチビたちと電車に乗ってきたけど、

面白いね~

この前は休憩室寄らなかったからさ。

牧野君達が来てのお楽しみって、

言った意味が分かったよ」

死神課の前で立ち話する向井達を見つけ、

キャトルがやってきた。

「ブランコも滑り台も本格的だよね。

びっくり」

「そうでしょう。もう、休憩室が遊園地みたいなのよ」

トリアも笑った。

そんな立ち話をしている所に、

ルームツアー中の冥王が歩いてきた。

「おや? ここにお仕事をさぼっている者がいますね~」

「失礼ね」

トリアが冥王を睨んだ。

死神課の空間にディスプレイが浮かび上がり、

黒谷の顔が現れた。

『あ~向井さんだ。皆もいるの? 』

黒谷が手を振り、

セイのカメラに向かって向井達も手を振った。

「ここが死神課なんですよ。

まぁ受付ですね」

冥王が説明してると、

『役所みたい』

黒谷が笑う。

『そうだ。安達君が今日の為に、

トレーニングしたって言ってたけど』

「あぁ、牧野君と虎獅狼とクロで何かやるそうで、

マット運動をさせられてましたよ」

向井が言うと、

「そうなの? 」

キャトルも驚いた顔で聞いた。

「腕立ても十回できるようになって、

逆立ち、前転後転も上手くなったし、

本人も喜んでました。

何をやるんでしょうね」

『へえ~楽しみ』

黒谷が笑顔になったところで、

「ではそろそろ、発表会が始まりますので、

黒谷君も審査をお願いしますよ」

冥王がカメラに向かって言うと、

ステージのある部屋へと移動していった。

「カメラはステージの特等席にセットするからね」

セイが黒谷に言う。

『うん。分かった。向井さん達も頑張ってね』

黒谷が手を振り、向井達も手を振り返した。

「向井さん~着替えだって」

ティンがキョロキョロしながら姿を見つけると、

声をかけて呼んだ。

「今行きます。キャトルさんは出ないの? 」

皆で部屋に向かいながら聞くと、

「出ようかなって思ってたんだけど、

いきなり倉田さんが出るって言いだして。

カランと何やるんだろうね。

俺はのんびり食べながら見るよ」

と笑った。
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