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第十六部
おやつのカヌレ
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「そういえば冥王はいませんね」
室内を見回す向井に、
「さっきトリアとアートンが戻ってきて、
冥王室にこもってる。
多分、ヴァン達が話してた穴の事だと思うんだよね」
セイが首を傾げて言った。
「あぁ」
向井も納得したように頷いた。
「そういえば安達君の姿も見えないけど」
エナトが不思議そうに部屋を見て言った。
「おやつの時間はいつもいるのにね」
「安達君は今日はフンフのお手伝いで、
図書室の本の整理をしてるわよ。
新しい本に合わせて、棚も増やしたから」
アンが言ったところで、
牧野の声が聞こえ、
洗面所からチビ達が戻ってきた。
「今日はみんなスティックでいいか」
坂下が言いながら、
珈琲とココアを入れた。
「ハクのカップは飛行機なんだ」
坂下が並べられたチビのカップを見て、
可愛いなという顔で笑った。
「どうも空を飛ぶものが好きみたいで。
食器屋さんに行って選ばせたんです。
動物も鳥に興味を持って、
図鑑を見てましたよ」
「へえ~小さくてもこだわりがあるんだな」
坂下はお湯を入れるとかきまぜた。
トレイに乗せて運ぶと、
「まぁ~じゃないとココアが美味しくない」
こんがスティックココアなのが嫌なのだろう。
むくれて言った。
まぁ~とは真紀子の事だ。
牧野がマキちゃんなので、
真紀子はまぁ~と呼ばれるようになっていた。
「生意気言ってないで飲んでよ。
ちゃんと苺のマシュマロ乗せたんだから」
坂下が笑いながら、
チビ達の前にココアを置いた。
「という事は私達も今日はスティックですか」
毘沙門天も向井が運んできた珈琲を見た。
「今のスティックは美味しいんですよ。
それにカヌレを早く食べたいでしょう」
向井が笑顔で説明してると、
虎獅狼達がやってきた。
「なっ? そろそろおやつの時間じゃからな」
クロが笑いながらテーブルの上のおやつを覗いた。
「俺の好きなチーズ味はあるか? 」
「ありますよ。皆さんの好みのフレーバーを、
一通り買ってきたので、
食べられる前に選んでください」
向井はそういうと部屋を出て行った。
廊下を歩いていると、
「あっ、向井さんだ」
「という事は………おやつがある? 」
「ありますよ」
向井が笑うと、
夢鬼と千鬼も嬉しそうに走って行った。
冥界が平和な風景というのもおかしな話だ。
向井はフッと笑みを浮かべると、
図書室に入った。
見ると源じいもカウチに座って本を読んでいる。
安達も整理が終わったのか、
ハンモックに揺られながら、
何かを真剣に見ていた。
「この前も星座の本を見てましたけど、
何か気になる天体でもあるんですか? 」
安達が手にしている本を見て聞いた。
室内を見回す向井に、
「さっきトリアとアートンが戻ってきて、
冥王室にこもってる。
多分、ヴァン達が話してた穴の事だと思うんだよね」
セイが首を傾げて言った。
「あぁ」
向井も納得したように頷いた。
「そういえば安達君の姿も見えないけど」
エナトが不思議そうに部屋を見て言った。
「おやつの時間はいつもいるのにね」
「安達君は今日はフンフのお手伝いで、
図書室の本の整理をしてるわよ。
新しい本に合わせて、棚も増やしたから」
アンが言ったところで、
牧野の声が聞こえ、
洗面所からチビ達が戻ってきた。
「今日はみんなスティックでいいか」
坂下が言いながら、
珈琲とココアを入れた。
「ハクのカップは飛行機なんだ」
坂下が並べられたチビのカップを見て、
可愛いなという顔で笑った。
「どうも空を飛ぶものが好きみたいで。
食器屋さんに行って選ばせたんです。
動物も鳥に興味を持って、
図鑑を見てましたよ」
「へえ~小さくてもこだわりがあるんだな」
坂下はお湯を入れるとかきまぜた。
トレイに乗せて運ぶと、
「まぁ~じゃないとココアが美味しくない」
こんがスティックココアなのが嫌なのだろう。
むくれて言った。
まぁ~とは真紀子の事だ。
牧野がマキちゃんなので、
真紀子はまぁ~と呼ばれるようになっていた。
「生意気言ってないで飲んでよ。
ちゃんと苺のマシュマロ乗せたんだから」
坂下が笑いながら、
チビ達の前にココアを置いた。
「という事は私達も今日はスティックですか」
毘沙門天も向井が運んできた珈琲を見た。
「今のスティックは美味しいんですよ。
それにカヌレを早く食べたいでしょう」
向井が笑顔で説明してると、
虎獅狼達がやってきた。
「なっ? そろそろおやつの時間じゃからな」
クロが笑いながらテーブルの上のおやつを覗いた。
「俺の好きなチーズ味はあるか? 」
「ありますよ。皆さんの好みのフレーバーを、
一通り買ってきたので、
食べられる前に選んでください」
向井はそういうと部屋を出て行った。
廊下を歩いていると、
「あっ、向井さんだ」
「という事は………おやつがある? 」
「ありますよ」
向井が笑うと、
夢鬼と千鬼も嬉しそうに走って行った。
冥界が平和な風景というのもおかしな話だ。
向井はフッと笑みを浮かべると、
図書室に入った。
見ると源じいもカウチに座って本を読んでいる。
安達も整理が終わったのか、
ハンモックに揺られながら、
何かを真剣に見ていた。
「この前も星座の本を見てましたけど、
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安達が手にしている本を見て聞いた。
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