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第十五部
ハクの中には………
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「トットだよ。ここの医者」
向井と一緒に飲み物を運んできたキャトルが、
部屋に入ってくると言った。
「なんでそんなとこに立ってんの」
フェムティも声をかけた。
「お昼を食べに来たんだけどね」
トットはそういうと、
飲み物を運んできた向井を見て、
「申し遅れました。トットと申します。
以後お見知りおきを」
と頭を下げた。
「ねえ、生まれて一週間てホント? 」
牧野が驚きの顔でトットを見た。
「北には妖怪の診察できるものがないから、
詳しくはニットンに聞くといいよ。
だけど、魂を見ると生まれたてだから、
この子はここに引きずり込まれて、
運がいいと思う」
「なんで? 」
安達が素直に聞いた。
「妖怪はね、共食いする種族もいるんだよ」
「えっ? 」
安達と牧野が体を硬くして驚いた。
「人を食らうものもいれば、同族を食らうものもいる。
自然妖怪の類で生まれた子供が、
育たないのはそういう理由もあるんだよ」
「だとしたら中央はハクを入れて、
四人保護してるわけですから、
彼らの運はとてもいいという事ですね」
向井がトットを見た。
「そうなるね」
トットは頷くと歩いてきてソファーに座った。
「虎獅狼たちは人を食べないよ」
安達が怖そうにトットを見た。
「妖怪には色んなものがいるからね。
中央は妖怪も一緒に住んでるんだろう?
という事は共存できるものも存在するという訳だ」
「ふぅん」
牧野と安達は画面を見ながら踊るハクを見た。
「ハク、ご飯食べないの? 」
向井が声をかけると、
「食べる」
と走ってきた。
「お子様プレートは、
デザートもあっていいですね」
向井はハクを膝に座らせると、
タオルを首に巻き、
スプーンを持たせた。
「ハクのパスタはグラタンなの? 」
牧野もパスタを食べ始めると、
ハクのプレートを見た。
「美味しい」
ハクが上手にスプーンで食べる姿を見ながら、
安達がふと気になり聞いた。
「ハクはいつも何食べてたの? 」
「ん~葉っぱとお魚」
「魚? 」
向井達が驚いてハクを見ると、
「ん~とね、こ~んな大きくて、
細いじいじがくれた」
ハクが手を動かして説明した。
「大きくて細い………? 」
牧野は近くにあるタブレットを開けると、
「こんな奴? 」
画面を見せた。
「あっ、じいじ」
ハクは笑顔で言うと、再び食べ始めた。
「やっぱ、ハクはただの河童じゃないんだよ。
龍の子かもしれないよ」
牧野が開いた龍の画面を皆は眺めると、
美味しそうに食べるハクを見た。
「龍の子には思えんが、
龍の質が入ってるのは確かだね。
言葉もかなり理解できてるし、
頭のいい子だよ」
トットはハクを見ながら、パスタを口に入れた。
「そうだ。ハクが好きな電車ね。
中央に帰ったら乗れるよ」
安達が笑顔でパスタを食べながら言った。
「電車? 」
ハクがテーブルに置いた電車を見て、
顔を輝かせた。
「電車なら中央じゃなくても乗れるだろ? 」
倉田が言うのを、
「チッチッチ。それが違うんだよね~」
牧野が人差し指を揺らしながら言うと、
安達と顔を見合わせ意味深に笑った。
向井と一緒に飲み物を運んできたキャトルが、
部屋に入ってくると言った。
「なんでそんなとこに立ってんの」
フェムティも声をかけた。
「お昼を食べに来たんだけどね」
トットはそういうと、
飲み物を運んできた向井を見て、
「申し遅れました。トットと申します。
以後お見知りおきを」
と頭を下げた。
「ねえ、生まれて一週間てホント? 」
牧野が驚きの顔でトットを見た。
「北には妖怪の診察できるものがないから、
詳しくはニットンに聞くといいよ。
だけど、魂を見ると生まれたてだから、
この子はここに引きずり込まれて、
運がいいと思う」
「なんで? 」
安達が素直に聞いた。
「妖怪はね、共食いする種族もいるんだよ」
「えっ? 」
安達と牧野が体を硬くして驚いた。
「人を食らうものもいれば、同族を食らうものもいる。
自然妖怪の類で生まれた子供が、
育たないのはそういう理由もあるんだよ」
「だとしたら中央はハクを入れて、
四人保護してるわけですから、
彼らの運はとてもいいという事ですね」
向井がトットを見た。
「そうなるね」
トットは頷くと歩いてきてソファーに座った。
「虎獅狼たちは人を食べないよ」
安達が怖そうにトットを見た。
「妖怪には色んなものがいるからね。
中央は妖怪も一緒に住んでるんだろう?
という事は共存できるものも存在するという訳だ」
「ふぅん」
牧野と安達は画面を見ながら踊るハクを見た。
「ハク、ご飯食べないの? 」
向井が声をかけると、
「食べる」
と走ってきた。
「お子様プレートは、
デザートもあっていいですね」
向井はハクを膝に座らせると、
タオルを首に巻き、
スプーンを持たせた。
「ハクのパスタはグラタンなの? 」
牧野もパスタを食べ始めると、
ハクのプレートを見た。
「美味しい」
ハクが上手にスプーンで食べる姿を見ながら、
安達がふと気になり聞いた。
「ハクはいつも何食べてたの? 」
「ん~葉っぱとお魚」
「魚? 」
向井達が驚いてハクを見ると、
「ん~とね、こ~んな大きくて、
細いじいじがくれた」
ハクが手を動かして説明した。
「大きくて細い………? 」
牧野は近くにあるタブレットを開けると、
「こんな奴? 」
画面を見せた。
「あっ、じいじ」
ハクは笑顔で言うと、再び食べ始めた。
「やっぱ、ハクはただの河童じゃないんだよ。
龍の子かもしれないよ」
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美味しそうに食べるハクを見た。
「龍の子には思えんが、
龍の質が入ってるのは確かだね。
言葉もかなり理解できてるし、
頭のいい子だよ」
トットはハクを見ながら、パスタを口に入れた。
「そうだ。ハクが好きな電車ね。
中央に帰ったら乗れるよ」
安達が笑顔でパスタを食べながら言った。
「電車? 」
ハクがテーブルに置いた電車を見て、
顔を輝かせた。
「電車なら中央じゃなくても乗れるだろ? 」
倉田が言うのを、
「チッチッチ。それが違うんだよね~」
牧野が人差し指を揺らしながら言うと、
安達と顔を見合わせ意味深に笑った。
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