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第十四部

北の悪霊

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「あっ、そうか。安達君は知らなかったよね」

坂下は笑うと、下界での出来事を説明した。

「この子も中央に来るの? 」

「ここに置いておけないですからね」

「そうなると………チビ達は、

これで四兄弟姉妹か? 」

牧野が豚丼を口に運びながら笑った。

「ハクにもお友達ができますよ」

向井が笑顔で言った。

「お友達? 」

「そう」

「僕、一人じゃないの? 」

「よかったじゃん。毎日楽しいぞ」

牧野がハクを見て笑った。

「うん」

ハクも笑顔になると残りのご飯を食べ始めた。

「皆さん疲れてるでしょうから、

少し休まれてから出かけますか? 」

チェントが食事をしながら、

皆の顔を見渡した。

「そうだな…俺達は平気だけど、

牧野と安達君は大丈夫? 」

岸本が安達を見た。

「大丈夫。さっき少し寝たから」

「俺は美味しいもんが食べられれば、

悪霊なんかちゃっちゃとやっつけるぞ」

牧野は豚丼をかきこみながら言った。

「牧野君の胃袋は本当に底無しだよね。

動いた分を全部消化させちゃってるんだね」

坂下があきれ顔で笑った。

「なら、食事が終わったら行くか」

倉田が食べながら話した。

「ハクはどうするの? 

一緒に連れてくの? 」

安達が向井を見た。

ハクが心配そうに向井に抱きつくのを見て、

「大丈夫ですよ」

と安心させるように笑った。

「仕事の間はうちのもんに、

面倒みさせるから」

倉田も笑うとハクの顔を覗いた。

それからしばらくして、

彼らは北へと向かった。



北に着くと、

西と同じく一旦会議室に向かい、

ハクは北の死神フェムティに預けた。

お腹もいっぱいになり、

お風呂にも入ったので疲れたのだろう。

北に着く頃には向井に抱かれて、

ぐっすり寝ていた。

キャトルが画像を浮かべると、

現在の状態を調べた。

「これは………はぁ、半日でまた増えてるなぁ」

倉田も肩を落とすと大きなため息をついた。

「中央の状態も見せてもらえますか? 

もしかしたら、中央で問題が起きてるかもしれません」

「分かりました」

キャトルが画像を切り替えた。

「やっぱり………」

向井も眉を顰めた。

「これって人食いビルじゃん」

牧野が画面を食い入るように見た。

「ここがその問題の場所ですか」

カランが向井を見た。

「ええ。この画像を見る限り、

北の黒地を引きずり込もうとしているみたいですね」

「えっ? 」

倉田達が驚いて向井を見た。

その時向井のリングが光り、

空間ディスプレイが浮かんだ。

『あっ、向井さん? ヴァンです』

ヴァンの顔が映し出された。

「もしかして人食いビルですか? 」

『はい、俺とエハとティンとエナトで、

結界作ったんですけど、

それを食い破る勢いで黒く膨れ上がってます』

「そうですか。今、北にいるんですけど、

ここの黒地が中央に飲み込まれそうな状況なので、

すぐにこちらで除去を開始します。

それまで踏ん張れそうですか? 」
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