『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十四部

龍神の結界

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「そうですね。この辺りの龍神を祀っている場所、

現在破壊されていても、

過去に存在した場所がどこか分かりますか? 」

「龍神の神祠は………こことこの辺りですかね」

サンクが円で囲んだ。

「いい場所にありますね。

ここなら孤立している四ヶ所を

中央の捨て地とも繫げるかもしれません」

「ホント? 」

岸本が向井に近づいた。

「ええ、大丈夫ですよ。

ただし、

ここにも浮遊している保護霊はいるでしょうから、

光の渦から外れてしまった霊を、

安達君にお願いして冥界に送ってもらいます。

出来ますよね」

向井が安達を見ると、

「うん」

と頷いた。

「ではそのあとに、

二ヶ所同時に除去してもらい、

それから水の結界を作ります。

ただし、この黒地を含めて結界をはるので、

負を持った者は弾かれて消滅します。

そのかわりこの黒地は白に変わるので、

捨て地の陣地が増えますね。

白に変わった黒地は、

神が問題ありと断定したものなので、

人が消えても差し障りはないでしょう」

向井はみんなを見てにっこり笑うと言った。

「向井さんてさらりと怖いこと言うよね」

倉田が恐ろしいものでも見るような顔をした。

「向井はいつもこうだよ。

安達には甘いのに、

俺には優しい顔して意地悪だからね~」

牧野の不満そうな口調に、

「そうですか? 同じ扱いですけどね」

と解せない表情で笑った。

「中央では向井さんは取り合いだから、

牧野君は面白くないんだよね。

チビ達もみんな独り占めしたいから、

牧野君が入る余地がないもんな」

坂下も笑った。

「あはははは。やっぱヤキモチじゃん」

キャトルは声をあげて笑った。

「さて、ヤキモチやきのお兄ちゃんには、

除去を頑張ってもらわないとね」

サランダは牧野の肩を叩くと笑った。



下界に下りると、

中央以上にムッとした邪な霊気が漂い、

ここには負をためた生霊も見られるので、

予想以上に空気が悪かった。

「僕も人間の時はこんな空気の中を、

普通に歩いて生活してたんですよね。

考えたらすごく怖いです」

坂下は暗い空を見上げた。

「俺達は死んで何年も経ってるから、

もうこの空に慣れちゃって、

捨て地の青空を見て、

こんな空だったっけ? って感じだな」

倉田が坂下を見て笑った。

「ということは、僕も慣れちゃうってことか………」

「そうそう」

岸本も笑いながら坂下に顔を向けた。

いつも以上に人がざわついていると思っていたら、

西の中心部では街の大型ビジョンに、

ゲリラ配信が映し出されていた。

「この所、朝でも夜でも関係なく、

政権批判の画像が突然流れるんだよ」

「そういえば北でもそうだな。

中央はどうです? 」

難しそうな表情をする岸本を見て、

倉田も言うと向井を振り返った。
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