508 / 631
第十四部
龍神の結界
しおりを挟む
「そうですね。この辺りの龍神を祀っている場所、
現在破壊されていても、
過去に存在した場所がどこか分かりますか? 」
「龍神の神祠は………こことこの辺りですかね」
サンクが円で囲んだ。
「いい場所にありますね。
ここなら孤立している四ヶ所を
中央の捨て地とも繫げるかもしれません」
「ホント? 」
岸本が向井に近づいた。
「ええ、大丈夫ですよ。
ただし、
ここにも浮遊している保護霊はいるでしょうから、
光の渦から外れてしまった霊を、
安達君にお願いして冥界に送ってもらいます。
出来ますよね」
向井が安達を見ると、
「うん」
と頷いた。
「ではそのあとに、
二ヶ所同時に除去してもらい、
それから水の結界を作ります。
ただし、この黒地を含めて結界をはるので、
負を持った者は弾かれて消滅します。
そのかわりこの黒地は白に変わるので、
捨て地の陣地が増えますね。
白に変わった黒地は、
神が問題ありと断定したものなので、
人が消えても差し障りはないでしょう」
向井はみんなを見てにっこり笑うと言った。
「向井さんてさらりと怖いこと言うよね」
倉田が恐ろしいものでも見るような顔をした。
「向井はいつもこうだよ。
安達には甘いのに、
俺には優しい顔して意地悪だからね~」
牧野の不満そうな口調に、
「そうですか? 同じ扱いですけどね」
と解せない表情で笑った。
「中央では向井さんは取り合いだから、
牧野君は面白くないんだよね。
チビ達もみんな独り占めしたいから、
牧野君が入る余地がないもんな」
坂下も笑った。
「あはははは。やっぱヤキモチじゃん」
キャトルは声をあげて笑った。
「さて、ヤキモチやきのお兄ちゃんには、
除去を頑張ってもらわないとね」
サランダは牧野の肩を叩くと笑った。
下界に下りると、
中央以上にムッとした邪な霊気が漂い、
ここには負をためた生霊も見られるので、
予想以上に空気が悪かった。
「僕も人間の時はこんな空気の中を、
普通に歩いて生活してたんですよね。
考えたらすごく怖いです」
坂下は暗い空を見上げた。
「俺達は死んで何年も経ってるから、
もうこの空に慣れちゃって、
捨て地の青空を見て、
こんな空だったっけ? って感じだな」
倉田が坂下を見て笑った。
「ということは、僕も慣れちゃうってことか………」
「そうそう」
岸本も笑いながら坂下に顔を向けた。
いつも以上に人がざわついていると思っていたら、
西の中心部では街の大型ビジョンに、
ゲリラ配信が映し出されていた。
「この所、朝でも夜でも関係なく、
政権批判の画像が突然流れるんだよ」
「そういえば北でもそうだな。
中央はどうです? 」
難しそうな表情をする岸本を見て、
倉田も言うと向井を振り返った。
現在破壊されていても、
過去に存在した場所がどこか分かりますか? 」
「龍神の神祠は………こことこの辺りですかね」
サンクが円で囲んだ。
「いい場所にありますね。
ここなら孤立している四ヶ所を
中央の捨て地とも繫げるかもしれません」
「ホント? 」
岸本が向井に近づいた。
「ええ、大丈夫ですよ。
ただし、
ここにも浮遊している保護霊はいるでしょうから、
光の渦から外れてしまった霊を、
安達君にお願いして冥界に送ってもらいます。
出来ますよね」
向井が安達を見ると、
「うん」
と頷いた。
「ではそのあとに、
二ヶ所同時に除去してもらい、
それから水の結界を作ります。
ただし、この黒地を含めて結界をはるので、
負を持った者は弾かれて消滅します。
そのかわりこの黒地は白に変わるので、
捨て地の陣地が増えますね。
白に変わった黒地は、
神が問題ありと断定したものなので、
人が消えても差し障りはないでしょう」
向井はみんなを見てにっこり笑うと言った。
「向井さんてさらりと怖いこと言うよね」
倉田が恐ろしいものでも見るような顔をした。
「向井はいつもこうだよ。
安達には甘いのに、
俺には優しい顔して意地悪だからね~」
牧野の不満そうな口調に、
「そうですか? 同じ扱いですけどね」
と解せない表情で笑った。
「中央では向井さんは取り合いだから、
牧野君は面白くないんだよね。
チビ達もみんな独り占めしたいから、
牧野君が入る余地がないもんな」
坂下も笑った。
「あはははは。やっぱヤキモチじゃん」
キャトルは声をあげて笑った。
「さて、ヤキモチやきのお兄ちゃんには、
除去を頑張ってもらわないとね」
サランダは牧野の肩を叩くと笑った。
下界に下りると、
中央以上にムッとした邪な霊気が漂い、
ここには負をためた生霊も見られるので、
予想以上に空気が悪かった。
「僕も人間の時はこんな空気の中を、
普通に歩いて生活してたんですよね。
考えたらすごく怖いです」
坂下は暗い空を見上げた。
「俺達は死んで何年も経ってるから、
もうこの空に慣れちゃって、
捨て地の青空を見て、
こんな空だったっけ? って感じだな」
倉田が坂下を見て笑った。
「ということは、僕も慣れちゃうってことか………」
「そうそう」
岸本も笑いながら坂下に顔を向けた。
いつも以上に人がざわついていると思っていたら、
西の中心部では街の大型ビジョンに、
ゲリラ配信が映し出されていた。
「この所、朝でも夜でも関係なく、
政権批判の画像が突然流れるんだよ」
「そういえば北でもそうだな。
中央はどうです? 」
難しそうな表情をする岸本を見て、
倉田も言うと向井を振り返った。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
我が家の家庭内順位は姫、犬、おっさんの順の様だがおかしい俺は家主だぞそんなの絶対に認めないからそんな目で俺を見るな
ミドリ
キャラ文芸
【奨励賞受賞作品です】
少し昔の下北沢を舞台に繰り広げられるおっさんが妖の闘争に巻き込まれる現代ファンタジー。
次々と増える居候におっさんの財布はいつまで耐えられるのか。
姫様に喋る犬、白蛇にイケメンまで来てしまって部屋はもうぎゅうぎゅう。
笑いあり涙ありのほのぼの時折ドキドキ溺愛ストーリー。ただのおっさん、三種の神器を手にバトルだって体に鞭打って頑張ります。
なろう・ノベプラ・カクヨムにて掲載中
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる