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第十四部

スター? 向井

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「!! これは………」

「ねえ、私達も見てビックリしちゃった」

早紀が新田と顔を見合わせクフフと笑った。

「こうなったらみんながいる前で、

お披露目しちゃいましょうか」

「え~可哀想だよ~」

冥王の楽しそうな表情に、

ヴァンも否定しながら一緒に笑った。

「何やってんだ? あいつらは」

妖鬼が片隅で悪だくみでもするように、

ひそひそ話で笑う冥王達を見た。

「なんでしょうね。でも、

ロクでもないことのような気もしますね」

向井も彼らを見ながら苦笑いをすると、

「食べないんですか? 」

と声をかけた。

「食べますよ~」

冥王達は楽しそうに笑いながら戻ってきた。

「皆さん揃いましたか~」

坂下が声をかけると、

「は~い」

と席に着き手を挙げた。

「ではいただきましょうか」

向井の言葉にそれぞれがいただきますといい、

食事を始めた。

「僕、つくね食べたい」

「わらわも」

「ちょっと待ってね。もうすぐ焼けるから」

佐久間が焼き鳥を焼きながら言った。

「俺はカルビとホタテ~」

牧野が楽しそうにどんどん焼いていく。

「俺、レタスが好き~」

安達が肉をレタスで巻いて、美味しそうに食べた。

「僕はサンチュかな~」

アートンもカボチャや玉ねぎを焼きながら、

肉と一緒に巻きながら言う。

みんなでワイワイ食べ始めたところで、

冥王が向井を見ながらイヒヒと笑った。

「なんですか。さっきから」

向井が眉をひそめて冥王を見てると、

ティンが立ち上がって大画面に何やらセットを始めた。

すると………

有名な海外ブランドのCMが流れてきた。

スーツ姿の若い男性が、

拳法のようなアクションで悪漢をやっつけ、

女性を助けると抱きあげて走り去っていく。

ラストはその状態でビルを飛び越え、

車に飛び乗るがスーツは乱れることなく、

スマートな着こなしのままというCMだ。

「ええええええ~~~~!! 」

みんなの驚きの声が響き、

「これ、向井じゃん!」

牧野が振り返った。

「ほぉ~カッコいいの~

向井は芸能人だったのか? 」

虎獅狼が肉を食べながら画面を見てにんまりする。

「違いますよ。大体、

よくこんなに古いCMを見つけましたね」

向井は冥王達がこそこそしていた理由が分かり、

苦笑した。

「今日偶然ドラマを見てたら、

このCMが流れてきたから、

皆を驚かそうと思って流したの」

エハが向井をいたずらっ子のような顔で見た。

「カッコイイ………」

安達とチビ達が真剣にCMを見ている姿に、

大人達が笑った。

「向井は新田と同じでスターなのか? 」

呉葉が飛んでくると膝に座った。

「違いますよ。

これは伯父の知り合いが、

デザイナーをしているブランドで、

学生時代にお願いされて一度だけ出たんです」
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