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第十四部

捨て地への新法案

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「そしたら通報されて」

「通報? 」

坂下が驚いて眉をひそめた。

「今は捨て地排除で、密告制度があるんだよ。

それで捨て地から来た人間を見つけると、

ポイントが貰えるから、

スパイ活動する住民がいるのさ。

警察は密告者の数を政府に提示すれば、

お金が下りる。

俺から言わせれば、

政府公認のネズミ講だよ。

で、中央以外は国民番号証明証を持参してないと、

罰則金が加算されて場所代も高いんだよね」

黒谷は戻ってくるとソファーに座った。

「嘘? いつから? 」

その場にいたものは驚き、

早紀が聞いた。

「数週間前かな。駅前で独裁政権反対のデモがあって、

取材も来てたけど放送は許可されなかったからね。

デモ隊もみんな警察に逮捕されてそれきりだよ。

通信が毎日狂ってるから、

情報も当てにならないし、

AIが勝手に操作してぐちゃぐちゃ。

中央はすべてセルフでキャッシュレスになってるから、

物が買えなくてイライラしてんだろうね」

「あ~それで捨て地に移住してくる人もいるんだ」

坂下が納得したように頷いた。

「それも結界を通れる人間だけだから、

弾き飛ばされるのが怖くて、

反対に近づかない人もいるからね。

だから余計に普通に暮らせてる捨て地が、

羨ましいんだと思うよ。

たださ、今日は俺が無理やり連行されそうになって」

「えっ? 容疑は? 」

アートンが驚きながら黒谷を見た。

「そんなの何でもいいんだよ。

今の中央は政権に逆らうと逮捕されるから、

誰も逆らわないんだよ。

で、河伯じいが助けに入ってくれたのは嬉しいんだけど、

俺の前に結界張ったんで、

警官が跳ね飛ばされて、

俺は何もしてないんだけど、その時点で危険人物さ」

皆が絶句していると、黒谷が話を続けた。

「で、警察がいきなり発砲してきて、

弾が結界に跳ね飛ばされて、自分達に命中したんだよ。

しかも動画アーティストがそれを中継してて、

ニュースにはならなかったけど、

動画では有名人だよ」

「それは災難でしたね」

向井も何と言っていいのか分からずに、

黒谷を見た。

「だけどこれは少し問題かもね。

河伯じいさんが関わってるなら、

冥王に許可貰って、

今回の黒谷君の件は情報全て消去できるよ」

トリアが考えながら言った。

「出来る? だったら助かる~

国民番号証明証不所持でお札が何枚も消えていくんだよ。

もう、中央はこりごり。

河伯じいには申し訳ないけど、

時々顔を見せに行くだけにする」

「そうしたほうがいいね」

ディッセも難しい顔をすると言った。

「キッチンカーは捨て地だけでも、

十分やっていけるんでしょ? 」

シェデムが聞いた。

「うん。それにこのお店も任されたから、

イベントだけにしようかと思ってさ」

「その方が安全だし、俺達も安心できるからそうしな」

ヴァンが言ったところで、

「チビ出たよ~」

と牧野の声が聞こえ、

チビ達が走って出てきた。
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