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第十一部
新たな特例
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「向井から教えてもらった」
「なんで向井君は知ってたんだろう。
で、その向井君は? 」
早紀が部屋を見回す。
「冥王の所にいる」
キッズルームで、
三鬼と恐竜ゲームをしていた安達が言った。
「安達君はどんな人が来るか聞いた? 」
田所が聞く。
「それは今は言えないんだって。
でも、向井は知ってるみたい」
安達の話に、彼らは久しぶりの新メンバーに、
思い思い想像を巡らせていた。
冥王室ではアートンと向井が、
新たに加わるメンバーについて話していた。
「本当は特例は、
当分入れないつもりだったんですよ」
「どうして?
特別室無くしたら、さらに悪霊増えてんですけど? 」
アートンが冥王に詰め寄った。
「ねえ? まあ、この国は、
昔からこんな感じの繰り返しでしたから、
念が増長して悪霊も増えるかな? とは、
思っていたんですけど、
想像以上でした」
冥王があはははと笑った。
「笑い事じゃないんですけどね」
向井も軽くこめかみを指で掻いた。
「まあまあ、でもね。
昔は人数が多すぎて、
意見の食い違いもあったでしょう。
伝達も不十分だったし、
今の状態がベストなんですよ」
冥王の話にアートンも頷いた。
「確かにそうですけどね。
で、選んだのがこの人? 」
「寿命を全うされてここに来たので、
本来なら特例にはならないんですけど、
特例の特例という事で選出しました。
君達から見てもいい人材でしょ? 」
「確かに」
二人は頷いた。
「それでこの後に到着するので、
向井君は迎えに行ってください」
「分かりました」
「この状況だと、
四十九日まで待ってもいられませんから、
訓練期間も短くなります。
配属は除去課ですが、
向井君の下についてもらいます」
「それはいいですが、新人でハードなのは、
またブラックだって言われますよ」
二人の会話にアートンが笑うと、
「能力値が高いんですから、大丈夫でしょう?
向井君だってあの九尾を、
五日で眷属にできたんだから」
と冥王が振り向いた。
「俺の場合は素地ができてたので、
そこから手懐けるイメージで、
なんとかなりましたけど。
そうだ、眷属と言えば、
こんも親は眷属なんじゃないかって、
聞きました」
「そうですね。あの小ささですから、
恐らく親とはぐれたんだと思います。
呉葉も虎獅狼達が、
親とはぐれて泣いてるところを保護したそうです。
妖怪も人と同じで情に厚いものもいれば、
自分の子でも育てずに置いていくものもいます。
三鬼は自然発生妖怪ですから、
最初から親もいません」
「あいつらはここに拾われて、
幸せだと思うよ」
アートンが言う。
「なんで向井君は知ってたんだろう。
で、その向井君は? 」
早紀が部屋を見回す。
「冥王の所にいる」
キッズルームで、
三鬼と恐竜ゲームをしていた安達が言った。
「安達君はどんな人が来るか聞いた? 」
田所が聞く。
「それは今は言えないんだって。
でも、向井は知ってるみたい」
安達の話に、彼らは久しぶりの新メンバーに、
思い思い想像を巡らせていた。
冥王室ではアートンと向井が、
新たに加わるメンバーについて話していた。
「本当は特例は、
当分入れないつもりだったんですよ」
「どうして?
特別室無くしたら、さらに悪霊増えてんですけど? 」
アートンが冥王に詰め寄った。
「ねえ? まあ、この国は、
昔からこんな感じの繰り返しでしたから、
念が増長して悪霊も増えるかな? とは、
思っていたんですけど、
想像以上でした」
冥王があはははと笑った。
「笑い事じゃないんですけどね」
向井も軽くこめかみを指で掻いた。
「まあまあ、でもね。
昔は人数が多すぎて、
意見の食い違いもあったでしょう。
伝達も不十分だったし、
今の状態がベストなんですよ」
冥王の話にアートンも頷いた。
「確かにそうですけどね。
で、選んだのがこの人? 」
「寿命を全うされてここに来たので、
本来なら特例にはならないんですけど、
特例の特例という事で選出しました。
君達から見てもいい人材でしょ? 」
「確かに」
二人は頷いた。
「それでこの後に到着するので、
向井君は迎えに行ってください」
「分かりました」
「この状況だと、
四十九日まで待ってもいられませんから、
訓練期間も短くなります。
配属は除去課ですが、
向井君の下についてもらいます」
「それはいいですが、新人でハードなのは、
またブラックだって言われますよ」
二人の会話にアートンが笑うと、
「能力値が高いんですから、大丈夫でしょう?
向井君だってあの九尾を、
五日で眷属にできたんだから」
と冥王が振り向いた。
「俺の場合は素地ができてたので、
そこから手懐けるイメージで、
なんとかなりましたけど。
そうだ、眷属と言えば、
こんも親は眷属なんじゃないかって、
聞きました」
「そうですね。あの小ささですから、
恐らく親とはぐれたんだと思います。
呉葉も虎獅狼達が、
親とはぐれて泣いてるところを保護したそうです。
妖怪も人と同じで情に厚いものもいれば、
自分の子でも育てずに置いていくものもいます。
三鬼は自然発生妖怪ですから、
最初から親もいません」
「あいつらはここに拾われて、
幸せだと思うよ」
アートンが言う。
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