『アンダーワールド』冥王VS人間～魑魅魍魎の戦が今始まる～

第十一部

辛さの違い

「どうだろう。私は地獄行きラーメンの激辛までは、

美味しく食べられるんですよ」

「えっ？　そうなの？　だったら平気かな」

黒谷は驚くとお皿を手渡した。

佐久間が箸で割って食べる。

「………うん！　美味しい。辛いけどちゃんと旨味もあるから、

一般的にはこれくらいの激辛がいいんじゃないですか。

これ以上辛くすると、

私みたいなマニアにしか受けないかも」

佐久間が笑いながらパクパク食べた。

「見た目は辛く見えないね」

安達がお皿を覗いて言った。

「ホントに辛いの？　」

牧野も疑り深い目で佐久間を見た。

「だったら食べてみますか？　」

そういって一口、牧野の口に放り込んだ。

もぐもぐ食べる姿に、

「どう？　」

安達が聞くと、

「………！！　✖▽■◎●～*！！！　」

牧野の顔が真っ赤になり、

黒谷が慌ててコップの水を渡した。

「ヒ～～～～ッ！　な、なに、

この言葉にもならない辛さ………ゲホッ！　

痛い………ピリピリする………」

「だよね。牧野君には無理じゃないかなと思ったんだけど、

面白いからね」

佐久間がクックッと笑った。

「酷ぇ～よ」

涙を流す牧野に、

黒谷と坂下も呆気に取られて見ていたが、

「佐久間さんて面白いですね～」

と笑った。

「牧野君達にはこっちの妖怪焼きが、

口に合うと思うよ」

黒谷は甘めになったお好み焼きの皿を渡した。

安達が嬉しそうに食べると、

「甘いよ。美味しい」

安達が牧野を見た。

「これホットケーキミックス？　」

「分かる？　」

黒谷が安達の顔を見て言った。

「うん。ふわふわでソースも甘くて、

マヨネーズが入ってるから、

生地もふんわりしてるね」

安達の顔を見て、牧野も食べ始めた。

「ん！　美味い！　」

「でしょ？　」

安達が笑って牧野を見た。

「俺達も貰っていい？　」

ヴァンが言い、

「どうぞどうぞ」

黒谷がキッチンに一つ一つ並べた。

「この赤姫焼きも辛めだから、

辛いのが苦手なら、

チョイ辛の毘沙門天焼きから食べるといいかも」

向井達も箸をとると、切り分けられたお好み焼きを、

一つ一つ味見した。

「どれも微妙に辛さと甘さに違いがあって、

美味しいですね。

うん。これなら幅広くお客さんに食べてもらえるかな」

向井も食べながら感想を言った。

「黒谷君てお料理本当に上手ね」

エハも嬉しそうに食べながら言った。

「俺は定食屋で働いてたからね。

ランチの時は洋食も作ってたんだよ」

「だからなんでも作れるんだ。凄いよ」

坂下も感心しながらお好み焼きを食べた。

「僕は調理学校の後、

パン職人の所に修行で入ったから、

得意不得意が多くてさ」

「でも、俺パンは焼けないからね。

坂下君のパンは本当に種類も多いし、

美味しいからいいじゃん」

黒谷が笑顔で振り向いた。

「お互いにないものを補って、

この前みたいなランチボックスが作れるんですから、

頂く俺達は嬉しいです」

向井はそんな二人を見て言った。