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第十一部

大きくなる悪霊

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「無病息災で七夕に食べる習慣があるんですよ。

あとオクラとかタケノコとか入れたちらし寿司、

笹団子などかな? 」

「へえ~美味しそう」

ディオが言うのを見て、

「その日は黒谷君の所から、

七夕弁当を特注でお願いしたので、

夕食に頂けますよ」

向井の言葉に二人が笑顔になった。

「だったらもうひと踏ん張り、頑張っちゃうかな」

ディオが笑うと、アラートが鳴った。

「おっ、久しぶりだな」

妖鬼が上を向いた。

「アラートが鳴らなかった分、

この所すぐに悪霊化しちゃうので、

牧野君がブーブー言ってますよ」

向井はそういうと部屋を出て行った。

死神課の前では丁度、

牧野と佐久間とエナト、オクトが出て行くところだった。

向井がカウンターに行くと、

「向井さん達は式神課のお仕事が入ってます。

今回は幽霊がうじゃうじゃだそうです」

セイが霊玉を向井に渡した。

待っていると新田とエハとティンがやってきた。

「ヴァンとセーズは他の幽霊退治に出てるので、

大量幽霊の捕縛はこの四人でやるから」

エハが言った。

「お金になるなら大歓迎だよね~」

セイはそういうと笑いながら、

霊銃を新田とティンに渡した。

「他人ごとだと思って」

新田は笑うと、四人は下界に下りて行った。


中央の中心地はもう魔王の居城かというくらいに、

通常の神経ならその地で暮らすのはきつかろう、

というくらいに黒いドームで覆われていた。

そんな場所の前で、

牧野が仁王立ちで立っていた。

「これを俺様にどうしろと? 」

「片付けろってことでしょ? 」

横に立つエナトが言った。

「無理だろ? やったところですぐに魔で覆われるぞ」

「それでも少しでいいから、この繭のような悪霊を、

除去してください。ほら」

佐久間はそういうと牧野の背を押した。

「無理無理無理~これは向井案件だよ」

「向井さんは別件でこれないから、

牧野君に頑張ってもらわないと。

その為に特別な力をもらってるんだから」

オクトに言われて、渋々ドームに入って行った。

「よくこんなところで普通に生活してるな。

その神経を疑っちまう」

牧野はウッと顔をそむけると道を歩いていった。

「牧野君も人間なら、

この悪霊は感じられないかもしれないし、

普通に生活してたんじゃないかな。

霊に不感症な人間も少なからずいるし、

悪霊にやられて亡くなっている人は、

既に飲み込まれてるからね」

オクトが説明した。

「では、今ここで暮らせてる人たちは、

陰の気が強い方になるんですか? 」

佐久間も顔をしかめた。

「そうかもしれませんね。

ただ普通の人の中にも、

霊に鈍感な人は少なからずいるんですよ。

そういう人の脳はポジティブな人が多いです」

エナトはそういうと、

「佐久間さんに結界をはってもらって、

オクトには時間を止めてもらう。

その間にできるだけ除去しよう」

と牧野を見た。
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