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第十部

神様のシャカシャカ

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イベント当日は、

神様のシャカシャカが予想以上に噂になっており、

整理券を配ることになった。

「凄いな~」

黒谷は商品を並べながらディッセに言った。

「うちもこんなにヒットするとは思ってなかったからさ。

全て手作りだから、

冥界総出で内職状態だよ」

ディッセも笑って、

POPを立てた。

「これ、カッコいいでしょ。

黒谷君のキャラグッズとうちので、

コラボ対決みたいに作ったんだ。

遠くからでも目立つし、

コミフェスならではの販売方法だよね」

ティンも笑うと、

背後に目立つPOPを置いた。

「ねえ、これは何? 」

テーブル脇に置かれたパネルを指さして、

黒谷が聞いた。

冥王の等身大の写真に、顔だけがくりぬかれている。

「ああ、これね。

冥王がTVを見ててさ。

誰でも冥王になれるって言うのを、

作れってうるさくて用意したんだけど、

正直邪魔でしょ。

だから今、三途の川に置いてあるんだけど、

それを持ってきた。

イベントだし、これに合わせて、

チビの妖怪ヴァージョンも作ったから、

子供も写真撮れるよ」

「へっ? 」

アートンが運んできたパネルに、

黒谷が素っ頓狂な声を上げた。

「黒谷君が死んだら、

三途の川でこれが出迎えてくれるよ。

あそこも順番待ちだから、

これで遊んでって感じかな? 」

「あはははは」

黒谷が腹を抱えて笑い出した。

「黒谷君笑いすぎ」

ディッセが言った。

「そうだ。今日さ。

松田先生もお忍びで、

コミックフェスに参加してるんだよ。

知ってた? 」

「知ってるよ。

トリアがアシスタントしてるでしょ。

それで冥王が悪霊が増えてて危ないから

松田先生に何かあったら大変だって、

トリアについて行けって護衛させてる」

ティンが黒谷を見た。

「へえ~」

「要するに続きが読めなくなったら困るから、

自分のわがままなんだよ」

アートンがため息まじりに言った。

「松田先生にも安達君が来ること話したら、

もし自分に気が付いた時に驚かせたいから、

内緒にしてって言われた」

黒谷も笑った。

「松田先生、安達君と話してから、

可愛い可愛いって言っててね。

本人には言えないけど、

たぶん十二、三歳くらい? に思ってるんだろうな」

「あははははは」

ディッセもケラケラと声をたてた。

「安達君て擦れてないじゃん。

色んなことに新鮮に驚いてくれるでしょ。

坂下君も可愛いって笑ってたよ」

「そうだろうね」

ティンも笑顔になると、

「そうだ。安達君て自分の事俺って言うでしょ」

「いうね。最初はちょっと違和感だったけど」

黒谷も不思議そうな顔で笑った。

「あれはね~牧野君に対抗意識があるのと、

向井さんに憧れてるからなんだよ」

「えっ? そうなの? 」

黒谷が驚くのをディッセが笑った。

「前はね。僕だったんだけど、

いつの間にか俺になったの。

ほら、子供がパパからお父さん、

親父に変化するみたいな感じ? 

安達君の中で、

俺の方がカッコイイ、

大人な感じがするんだろうな」

「そういうもんか? 」

黒谷も笑った。
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