『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 冥界の逆襲

北のイベント

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「そうそう。今回は真壁さんの奥さんが参加するって聞いたよ。

あの人イラストレーターさんでしょ」

「そうか~だったら北まで車で行こう」

黒谷は笑うとビールを飲んだ。

「はい! だったら俺も黒谷の車で一緒に行く! 」

牧野が手をあげた。

「俺も車で行きたい」

安達もそういうと向井を見た。

「この前、余程楽しかったんだね」

妖鬼が言い、

向井と黒谷が顔を見合わせ笑った。

「途中でさ~美味しいもの食べて~

温泉入って~」

牧野と安達の楽しそうな様子に、

アートンも呆れて笑う。

「イベントには新田君も参加するので、

この前のメンバーで一緒に行きますか」

向井が黒谷を見た。

「俺は運転変わってもらえるし助かるから、

全然OKだよ」

黒谷もはしゃぐ牧野と安達に笑うとそう言った。


それからしばらくして、

中央では穴の開いた土地が話題となり、

その穴の周りには見えない壁が現れ騒然としていた。

人工衛星からも爆撃を受けたような穴が見て取れた。

国全体には結界ドームもかぶさり、

他国が攻め込むことも不可能だが、

反対にいつ沈没するかわからない恐怖に、

国を出て行く者も増え始めた。


そんな国の姿を、

執務室にいた田口は忌々し気に見ながら唇を噛んだ。

画像に映し出される景色に、


何故うまく事が進まない。

このままでは本当に国は沈むのではないのか?

大沢はどうやって神の力を手にした?

槇村………あいつも癪にさわる。

奴は神の力が何なのか知っているようだが、

俺には知るすべがない。

大沢帝国も崩壊し、

やっと手にした権力を簡単に手放せるものか。

軍事産業も軌道に乗り始めてきたというのに………

田口は不機嫌なまま椅子を動かし目を閉じた。


冥界では向井達数人が冥王室で話をしていた。

トリアが田口の動きを張り込み、

腹立だしげな様子で戻ってきた。

「この国はあの大戦から、

戦争になりそうになると災害が起こり、

何とか今まで回避してきたんですけどね」

冥王がふうとため息をついた。

机の上に組んだ手を置き、顎を乗せた。

災害は負が溜まり始めると、

プレートの歪みに悪霊が溜まり地震が起こる。

安全を求める国民は海外へのがれ、

災害に慣れていない外国人たちも、

こぞって母国へ帰る。

そんな災害が頻繁に起こるようになったのは、

この40年あまり。

下級国民には自力で災害を乗り越えてきた歴史がある。

更に大沢帝国の20年は軍事産業に力を入れ、

表と裏の顔を使い分け、

政財界は裏金天国と言われるまでに成長した。

冥界も特別室によって裏金の恩恵は受けていたが、

死神達から言わせれば、

それを下界にも還元しているのだから実質タダ働き。

長い事捨て地となった姥捨て山を守ってきたのは、

ある意味冥界と言える。

「戦争は金を生むからね。

特にこの国の細かな技術は海外では真似ができない。

今や中小企業の殆どが戦争ビジネス。

人がいる限り戦争は無くならないでしょ」

「他国にいいように利用されてるのに、

それも無視して裏金に躍起になってるわけだ」

トリアの話にアートンも深く息を吐いた。

「戦争に神の力を利用しようなんて、

田口あれは悪霊以上に粘着質で厄介な相手だね」

ディッセも顔を顰めた。
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