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番外編 新たな動き
不思議ちゃん槇村
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捨て地の逆襲が始まった頃、
向井達は西の捨て地に立つと、
神の森に向かった。
明日はコミックフェスに参加するため、
チビ達は寂しそうな冥王を置いて、
楽しそうにお泊りに来ていた。
「皆、行っちゃうんですね………」
「冥王の欲しいものは買ってきますから」
向井が言いながら、
チビ達の準備を手伝っていると、
「ほら、冥王が食べたがっていたお菓子。
優香ちゃんがおやつにどうぞって」
トリアが運んでくると、
紅茶と一緒にテーブルに置いた。
「美味しそう~」
牧野が見ていると、
「岸本君がケーキを用意してるそうですから」
「ケーキ? 」
チビ達が向井の顔を見た。
「そうですよ。君達が好きなおやつが待ってますよ」
その言葉に弥生と新田が笑いながら、
チビにリュックを背負わせた。
ハクとクロウのリュックは向井が持ち、
「皆さん準備はいいですか? 」
と声をかけた。
それぞれが自分の荷物を手にすると、
部屋を出て行った。
チビ達も走ってついて行く。
「では、行ってきますね」
向井は妖鬼、源じいと、
楽しそうにおやつを食べる冥王に声をかけた。
「大丈夫ですよ。
夕食は冥王が好きなすき焼きだそうですから、
向井君達も美味しいもの食べて、
お仕事頑張ってきてください」
源じいも笑顔で話すと向井に手を振った。
「有難うございます。
何かあったら連絡ください」
向井はそう言って西支部へ向かった。
「ここは燃えたオーラのままなんだ」
ディッセが祠の中央に立つと見回した。
木々に囲まれ、この森だけは青空が広がっている。
「黒地は真っ黒だね」
牧野が上から街並みを見下ろした。
「それでも点々と白いオーラが見えるでしょう」
向井が牧野の横に立つと、指をさした。
黒の中にポツンポツンと白い輪が浮かんでいる。
「あれが助けなきゃいけない魂? 」
牧野が向井を見た。
「そうですね。そうはいっても、
彼らにも生活がありますから、
冥界が調査に入るんですよ」
そんな話をしていると、
鳥居に向かって歩いてくる人の姿が見えた。
向井達は姿を消したまま、
彼らの姿を見ていた。
登ってきた人物は宮部と、
そのお付きの二十代と三十代の男性が二人。
彼らは八つの祠を一つ一つ見回りながら、
深く頭を下げた。
宮部はその中の一つに近づくと、
「神様には………げに申し訳ないことをした。
こがになるまで酷いことをしましたな」
そういって浄化したジオードの欠片を、
祠にあてた。
小さな祠が微かにだが、呼応するかに光る。
「この国はもう終わる」
その言葉にお付きの顔色が変わった。
「ハハハ。終わると言っても、
私らが千年以上守ってきたものが、
終わるという意味ぞね」
祠の前からよっこらしょと腰を上げると、
着流しに羽織姿の宮部が二人を見た。
「私ももう年やきね。おんしら二人に来てもろうたのは、
ミコトに結界庁をお願いしようと思うてね」
「えっ? わ、私ですか? 」
年長の男が声をあげた。
「今すぐという事ではのうてね。
このことが大方片付いたら、
ミコトがこの国を守っていくことになる。
その時の補佐には………」
宮部はそこまで言って年若い方の青年を見た。
「カイト。おんしに頼みたい。
おんしらも知っての通り私らは、
能力値のある者を育てている。
服従のための保証を避けるために、
私らは生涯一人で動く。
そうすることで情報を止め、
トップですら結界庁の内情は把握できちゃぁせん。
公安も私らを不気味と思うがは、
それが原因や」
宮部はそこまで言って空を見上げた。
向井達は西の捨て地に立つと、
神の森に向かった。
明日はコミックフェスに参加するため、
チビ達は寂しそうな冥王を置いて、
楽しそうにお泊りに来ていた。
「皆、行っちゃうんですね………」
「冥王の欲しいものは買ってきますから」
向井が言いながら、
チビ達の準備を手伝っていると、
「ほら、冥王が食べたがっていたお菓子。
優香ちゃんがおやつにどうぞって」
トリアが運んでくると、
紅茶と一緒にテーブルに置いた。
「美味しそう~」
牧野が見ていると、
「岸本君がケーキを用意してるそうですから」
「ケーキ? 」
チビ達が向井の顔を見た。
「そうですよ。君達が好きなおやつが待ってますよ」
その言葉に弥生と新田が笑いながら、
チビにリュックを背負わせた。
ハクとクロウのリュックは向井が持ち、
「皆さん準備はいいですか? 」
と声をかけた。
それぞれが自分の荷物を手にすると、
部屋を出て行った。
チビ達も走ってついて行く。
「では、行ってきますね」
向井は妖鬼、源じいと、
楽しそうにおやつを食べる冥王に声をかけた。
「大丈夫ですよ。
夕食は冥王が好きなすき焼きだそうですから、
向井君達も美味しいもの食べて、
お仕事頑張ってきてください」
源じいも笑顔で話すと向井に手を振った。
「有難うございます。
何かあったら連絡ください」
向井はそう言って西支部へ向かった。
「ここは燃えたオーラのままなんだ」
ディッセが祠の中央に立つと見回した。
木々に囲まれ、この森だけは青空が広がっている。
「黒地は真っ黒だね」
牧野が上から街並みを見下ろした。
「それでも点々と白いオーラが見えるでしょう」
向井が牧野の横に立つと、指をさした。
黒の中にポツンポツンと白い輪が浮かんでいる。
「あれが助けなきゃいけない魂? 」
牧野が向井を見た。
「そうですね。そうはいっても、
彼らにも生活がありますから、
冥界が調査に入るんですよ」
そんな話をしていると、
鳥居に向かって歩いてくる人の姿が見えた。
向井達は姿を消したまま、
彼らの姿を見ていた。
登ってきた人物は宮部と、
そのお付きの二十代と三十代の男性が二人。
彼らは八つの祠を一つ一つ見回りながら、
深く頭を下げた。
宮部はその中の一つに近づくと、
「神様には………げに申し訳ないことをした。
こがになるまで酷いことをしましたな」
そういって浄化したジオードの欠片を、
祠にあてた。
小さな祠が微かにだが、呼応するかに光る。
「この国はもう終わる」
その言葉にお付きの顔色が変わった。
「ハハハ。終わると言っても、
私らが千年以上守ってきたものが、
終わるという意味ぞね」
祠の前からよっこらしょと腰を上げると、
着流しに羽織姿の宮部が二人を見た。
「私ももう年やきね。おんしら二人に来てもろうたのは、
ミコトに結界庁をお願いしようと思うてね」
「えっ? わ、私ですか? 」
年長の男が声をあげた。
「今すぐという事ではのうてね。
このことが大方片付いたら、
ミコトがこの国を守っていくことになる。
その時の補佐には………」
宮部はそこまで言って年若い方の青年を見た。
「カイト。おんしに頼みたい。
おんしらも知っての通り私らは、
能力値のある者を育てている。
服従のための保証を避けるために、
私らは生涯一人で動く。
そうすることで情報を止め、
トップですら結界庁の内情は把握できちゃぁせん。
公安も私らを不気味と思うがは、
それが原因や」
宮部はそこまで言って空を見上げた。
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