172 / 253
番外編 騒ぐ下界
皆でお昼
しおりを挟む
「私は丼がいいですね」
「そうじゃな。私も丼がいい」
毘沙門天と赤姫の言葉に、
「角煮まんじゃ物足りないもんな」
ヴァンもいい、
向井が店員に注文した。
「四つだけ、ブースの方に持ち帰りたいので、
袋に入れてもらえますか? 」
「いいですよ」
二十代位の男性が手際よく作って、
トレイに乗せてくれた。
牧野とヴァン、坂下、黒谷が来て、
テーブルに運んでいく。
「これだけ大きなイベントは初めてで、
売れるか心配だったんですけど、
お客さんのお陰で人が来てくれました」
男性は順番を待つ客の姿に笑顔になった。
「お役に立ててよかったです」
向井は微笑むと会計を済ませて、
テーブルに歩いて行った。
チビ達が笑いながら食べる様子に、
飲食ブースに人が集まり始めた。
「今回は初めてのお店も多そうですね」
向井は席に着くと黒谷を見た。
「そうだね。
この会場でマルシェは初めてなんでさ。
主催者側から俺の所に相談が来て、
それでディッセさん達と話して、
参加することにしたの。
向こうのブースに宗方さん、ほらお煎餅屋さんも、
参加してるし」
「あぁ、そうでしたね」
向井も食べながら頷いた。
「私は息子達のお陰で楽しい日が過ごせて、
幸せですね~」
「ほんに」
毘沙門天と赤姫がにこやかに食事をする。
「そうだ。
今日は午前中でお弁当完売しちゃったんだけど、
冥界にも注文分届けてあるから、
夕食はチキン弁当だよ。
二人も食べてってよ。
今回のも自信作なんだよね~」
黒谷が話す横で、
「チキン? 」
チビ達が嬉しそうに声をあげた。
「ははは、本当にチキン好きだよね」
黒谷が笑った。
「あ~あ、お顔が凄いことになってる」
弥生が苦笑いしながら、
チビ達にウェットティッシュを渡した。
ハクとクロウは、
向井とティンの膝の上なので、
そのまま顔と手を拭かれながら夢中になって食べていた。
「ここはほんに平和だの~」
赤姫が周りを眺めながら微笑んだ。
「そうですね」
毘沙門天も穏やかな表情で人々を見つめた。
そんな様子を黒谷もじっと見る。
この周りだけ黄金に輝いている。
凄い………
この光に触れると、誰もが笑顔になる。
これが神様の力なんだ。
向井もそんな黒谷の嬉しそうな様子を、
笑顔で見ていた。
自分の人生は反省の中にある。
保身のために何も考えずに生きていたのかもしれない。
多くの法案、治験の中で、
老人と貧民街は間引きされてきた。
国にとっては厄介者が減り、
捨て地さえ生まれなければ、
為政者天国だったのかもしれない。
今この捨て地は、
国と戦う力を蓄える時期にきているのだろう。
権力者に飲まれることなく戦う力を………
向井の真剣な横顔を毘沙門天と赤姫もまた、
好ましく見つめながら微笑んだ。
「そうじゃな。私も丼がいい」
毘沙門天と赤姫の言葉に、
「角煮まんじゃ物足りないもんな」
ヴァンもいい、
向井が店員に注文した。
「四つだけ、ブースの方に持ち帰りたいので、
袋に入れてもらえますか? 」
「いいですよ」
二十代位の男性が手際よく作って、
トレイに乗せてくれた。
牧野とヴァン、坂下、黒谷が来て、
テーブルに運んでいく。
「これだけ大きなイベントは初めてで、
売れるか心配だったんですけど、
お客さんのお陰で人が来てくれました」
男性は順番を待つ客の姿に笑顔になった。
「お役に立ててよかったです」
向井は微笑むと会計を済ませて、
テーブルに歩いて行った。
チビ達が笑いながら食べる様子に、
飲食ブースに人が集まり始めた。
「今回は初めてのお店も多そうですね」
向井は席に着くと黒谷を見た。
「そうだね。
この会場でマルシェは初めてなんでさ。
主催者側から俺の所に相談が来て、
それでディッセさん達と話して、
参加することにしたの。
向こうのブースに宗方さん、ほらお煎餅屋さんも、
参加してるし」
「あぁ、そうでしたね」
向井も食べながら頷いた。
「私は息子達のお陰で楽しい日が過ごせて、
幸せですね~」
「ほんに」
毘沙門天と赤姫がにこやかに食事をする。
「そうだ。
今日は午前中でお弁当完売しちゃったんだけど、
冥界にも注文分届けてあるから、
夕食はチキン弁当だよ。
二人も食べてってよ。
今回のも自信作なんだよね~」
黒谷が話す横で、
「チキン? 」
チビ達が嬉しそうに声をあげた。
「ははは、本当にチキン好きだよね」
黒谷が笑った。
「あ~あ、お顔が凄いことになってる」
弥生が苦笑いしながら、
チビ達にウェットティッシュを渡した。
ハクとクロウは、
向井とティンの膝の上なので、
そのまま顔と手を拭かれながら夢中になって食べていた。
「ここはほんに平和だの~」
赤姫が周りを眺めながら微笑んだ。
「そうですね」
毘沙門天も穏やかな表情で人々を見つめた。
そんな様子を黒谷もじっと見る。
この周りだけ黄金に輝いている。
凄い………
この光に触れると、誰もが笑顔になる。
これが神様の力なんだ。
向井もそんな黒谷の嬉しそうな様子を、
笑顔で見ていた。
自分の人生は反省の中にある。
保身のために何も考えずに生きていたのかもしれない。
多くの法案、治験の中で、
老人と貧民街は間引きされてきた。
国にとっては厄介者が減り、
捨て地さえ生まれなければ、
為政者天国だったのかもしれない。
今この捨て地は、
国と戦う力を蓄える時期にきているのだろう。
権力者に飲まれることなく戦う力を………
向井の真剣な横顔を毘沙門天と赤姫もまた、
好ましく見つめながら微笑んだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる