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番外編 騒ぐ下界

乗っ取られた国

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「ん~多分、

姥捨て山で稼いでいた動画アーティストも、

原因の一つかも。

今はその捨て地に入れないから、

イラついてるんだと思う。

最近は暴行動画をいたずらとしてあげて、

荒稼ぎしてるのがいるのよ。

で、ここに来る途中で見かけたから助けたの」

エハがやってきて話した。

「老人を殺害してもエコ無罪って言葉で、

暴行罪が通用しないところあるからさ。

口では優しい世の中って言ったって、

実際は殺害しても罪は軽いし、

警察も動かないし、

誰もおかしいと思ってないんだよ。

出来れば捨て地に来れるご老人には、

移住してもらいたいんだけどね」

ティンも近づいてきて話した。

「その老人はどこに住んでるの? 」

「下区と貧民街の間。

祖父母の代からの家だから離れられないらしい。

思い出もあるんだろ」

ヴァンがトリアに説明した。

「今日もね。

薬を受け取りに薬局に行く途中で、

若者に絡まれたのよ。

邪魔だの。死ねだの。

杖折られて、転ばされて。

今は裁判になっても殺害された相手が老人で、

犯人が若者なら減軽、

反対に暴行された老人が倒れて、

子供が巻き込まれて死亡すれば老害罪で捕まる。

いつからそうなったんだろうね。

だから通行人も知らん顔だし、

笑っている子供もいるし、

見てて気持ちが悪かった」

エハが思い出すのも嫌だという感じに、

両腕をさすった。

「で、とっさに結界張って助けたんだけど、

近くに議員もいたから、

突然現れた結界に大騒ぎになっちゃって」

ティンが言いながらため息をついた。

「はぁ、そういう事ですか。

で、そのご老人はどうされたんですか? 」

「一応俺達が保護して、

赤の捨て地の役所にお願いしてきた。

おじいさんも暴行されたのは初めてで、

殺されるんじゃないかって思ったらしい。

で今、移住手続きの説得をしてるところ」

ヴァンが向井を見て言った。

「ここまでかかわっちゃうと、

そのあと老人の家の事とか、

住居が決まるまで冥界俺達が見ることになると思う。

黒地は危険だから、捨て地の人間は入れないだろうし」

ディッセの話に向井も頷いた。

「そうですよね」

「これが続くとアートンじゃないけど、

人間との共存を考えないと、

仕事に支障をきたすことになるわね」

トリアも腰に手を当てため息をついた。

「ねえ、チビがお腹空いたって。

俺も腹減った」

牧野がやってくると言った。

「なに? なんか事件でもあったの? 」

「ん? ちょっとね。

でも、そうか。もうお昼過ぎだもんな。

今回は飲食ブースも多いから何か買ってくるか」

ディッセが牧野を見た。

「だったら俺達まだ、

ショップ見て回ってないから、

ついでに買ってくるよ」

ティンが言った。

「チビと神様二人は、

ブーステーブルで食べてもらった方がいいだろうから、

トリアと新田君、シェデムと俺がブースに残るから、

お前ら見に行ってきたら? 」

ディッセが言った。

「そうですね。まずはお昼を食べて、

牧野君達には先にブースに戻ってもらって、

残りのメンバーはお買い物と。

それでいいですか」

向井は頷く牧野達を見て笑った。


皆で飲食ブースに行くと、

角煮まん&角煮丼ののぼり旗があり、

牧野と安達、チビ達はその店の前で立ち止まり、

じっと見てから指をさして振り返った。

「これがいい」

七人が揃って振り返る姿に、

ヴァンとティンが思わず笑う。

「息がピッタリね」

弥生も笑うとお店に近づいた。

「ほお~豚の角煮ですか」

毘沙門天も楽しそうにメニューをのぞく。

「美味しそうじゃの~」

赤姫も笑顔で言った。

「では、こちらにしましょうか。

チビ達は角煮まんかな? 

皆さんはどうします? 」

向井が聞くと、

「俺はどっちも食べるぞ」

「牧野君はそうでしょうね」

向井は笑った。
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