160 / 253
番外編 冥界の副業
夕食は給食?
しおりを挟む
「最初はちびちゃん達がシールを入れたり、
ペンを持って歩いてたから、
ポシェットじゃなくて小さなサコッシュを作って、
持たせてたの」
「あぁ~いつも斜め掛けしてるバッグだ」
新田が真紀子を見た。
「そうそれ。
問屋街であの子たちが好きな、
キャラクターの生地を買ってきて作ったの。
試しにイベントに出したら、
巾着と並んでヒット商品になったのよ」
「ポシェットと何が違うの? 」
安達もキャラクターが、
プリントされたバッグを見ながら聞いた。
「サコッシュはマチがないからぺたんとしてるでしょ。
ちびちゃんたちのはマグネット留だから、
子供でも出し入れがしやすいの」
「可愛いよね」
田所も手に取って眺めた。
「うちはさ、天上界から材料は持って来られるから、
実質かかるのは人件費。
それも皆で作ってるから、
まぁタダみたいなもん?
それが生活費になってるからちょうどいいのよ」
シェデムが笑ったところで、チビ達が目を覚ました。
三鬼が最初に置きだしてきた。
「おしっこ」
「はいはい。お漏らししてないね。
偉いね~」
近くにいたティンが抱いてトイレに連れて行った。
呉葉、こんと起きだし、
下の二人はみんなの動く気配に体を起こした。
弥生が呉葉とこんを連れて部屋を出る。
「ハクとクロウは、ち~は洩らしてないかな? 」
向井がキッズルームに行く。
「偉いな~お漏らししてませんよ。
じゃあ、トイレ行こうか」
向井がハクとクロウの手を引いて部屋を出て行った。
「チビ達も起きてきたし、俺達も夕食の支度にかかろうか」
新田がいい、各々立ち上がった。
夕食時間と同時に、ディッセ達も喫茶店から戻ってきた。
「ちょうどいい時に帰ってきたな」
虎獅狼が夕食のニオイに嬉しそうな顔をした。
「はい。シチューはキッチンカウンターに置くので、
自分で取りに来てください」
セーズが保温鍋に入ったシチューを運んでくると並べた。
皆がキッチンに集まるのを見て、
「なんだか給食を思い出します」
向井がテーブルにパンやサラダを並べながら話した。
「あぁ、そうですね」
佐久間もチビ達のワンプレートのお皿に、
シチューを運んでくると笑った。
「君達は今日は野菜ジュースね」
早紀がカップを運んでくると、お皿に置いた。
嫌そうな顔をするチビに、
「そんな顔をしないの。
バナナときな粉も入ってるから、
ほうれん草でも美味しいわよ。
パンはバターロールのがいいかな」
弥生もパンを運んでくるとお皿に乗せた。
向井はそんな様子を見ながらキッチンに戻ると、
トリアがシチューを入れながら聞いた。
「ねえ、給食って何? 」
「あれ? トリアさん知りませんか? 」
向井が驚いた顔をした。
「給食は学校で皆で食べるお昼です。
毎日メニューが決められていて、
楽しみにしていた子も多いんじゃないかな」
向井が話していると、
「俺は仕事してたから、
給食の時間に帰ることも多くて、
あまり食べた記憶がないんだよね」
新田がやってきてビールを注いだ。
「そうか。新田君は子役から出ていたから、
学校に通うのも大変でしたよね」
「まぁね。俺にとっての給食は、
半分はロケ弁かな」
新田は笑うとテーブルに戻って行った。
「俺は冥界で初めて家族の食卓って、
こうなのかなって学んだ感じですね」
向井も笑うとトリアを見た。
「いつも一人で食べてたの? 」
「そんなことないですよ。
子供の頃は両親がいましたし。
友人と食べたり、
同僚と飲んだり、みんなと同じだと思いますけど、
う~ん、この食卓の景色がそう感じるのかもしれませんね。
おじいちゃんがいて、子供達がいて、
兄妹も孫もいて、血のつながりに関係なく、
人が集まってきている感じ? 」
向井もサーバーからビールを注ぐと笑った。
「そういえばそうよね………
考えたら向井君達が来るまでは、
皆一人で食べてたんじゃないかな。
まぁ、食堂に誰かいれば一緒に食べることもあったけど」
トリアも遠くを見ながら呟いた。
「そうね。私も二百年以上生きてきて、
今が一番生きてる感じがするかな」
「俺も死人ですけど、今が一番幸せなのかもしれません」
二人はそういうと一緒に笑った。
ペンを持って歩いてたから、
ポシェットじゃなくて小さなサコッシュを作って、
持たせてたの」
「あぁ~いつも斜め掛けしてるバッグだ」
新田が真紀子を見た。
「そうそれ。
問屋街であの子たちが好きな、
キャラクターの生地を買ってきて作ったの。
試しにイベントに出したら、
巾着と並んでヒット商品になったのよ」
「ポシェットと何が違うの? 」
安達もキャラクターが、
プリントされたバッグを見ながら聞いた。
「サコッシュはマチがないからぺたんとしてるでしょ。
ちびちゃんたちのはマグネット留だから、
子供でも出し入れがしやすいの」
「可愛いよね」
田所も手に取って眺めた。
「うちはさ、天上界から材料は持って来られるから、
実質かかるのは人件費。
それも皆で作ってるから、
まぁタダみたいなもん?
それが生活費になってるからちょうどいいのよ」
シェデムが笑ったところで、チビ達が目を覚ました。
三鬼が最初に置きだしてきた。
「おしっこ」
「はいはい。お漏らししてないね。
偉いね~」
近くにいたティンが抱いてトイレに連れて行った。
呉葉、こんと起きだし、
下の二人はみんなの動く気配に体を起こした。
弥生が呉葉とこんを連れて部屋を出る。
「ハクとクロウは、ち~は洩らしてないかな? 」
向井がキッズルームに行く。
「偉いな~お漏らししてませんよ。
じゃあ、トイレ行こうか」
向井がハクとクロウの手を引いて部屋を出て行った。
「チビ達も起きてきたし、俺達も夕食の支度にかかろうか」
新田がいい、各々立ち上がった。
夕食時間と同時に、ディッセ達も喫茶店から戻ってきた。
「ちょうどいい時に帰ってきたな」
虎獅狼が夕食のニオイに嬉しそうな顔をした。
「はい。シチューはキッチンカウンターに置くので、
自分で取りに来てください」
セーズが保温鍋に入ったシチューを運んでくると並べた。
皆がキッチンに集まるのを見て、
「なんだか給食を思い出します」
向井がテーブルにパンやサラダを並べながら話した。
「あぁ、そうですね」
佐久間もチビ達のワンプレートのお皿に、
シチューを運んでくると笑った。
「君達は今日は野菜ジュースね」
早紀がカップを運んでくると、お皿に置いた。
嫌そうな顔をするチビに、
「そんな顔をしないの。
バナナときな粉も入ってるから、
ほうれん草でも美味しいわよ。
パンはバターロールのがいいかな」
弥生もパンを運んでくるとお皿に乗せた。
向井はそんな様子を見ながらキッチンに戻ると、
トリアがシチューを入れながら聞いた。
「ねえ、給食って何? 」
「あれ? トリアさん知りませんか? 」
向井が驚いた顔をした。
「給食は学校で皆で食べるお昼です。
毎日メニューが決められていて、
楽しみにしていた子も多いんじゃないかな」
向井が話していると、
「俺は仕事してたから、
給食の時間に帰ることも多くて、
あまり食べた記憶がないんだよね」
新田がやってきてビールを注いだ。
「そうか。新田君は子役から出ていたから、
学校に通うのも大変でしたよね」
「まぁね。俺にとっての給食は、
半分はロケ弁かな」
新田は笑うとテーブルに戻って行った。
「俺は冥界で初めて家族の食卓って、
こうなのかなって学んだ感じですね」
向井も笑うとトリアを見た。
「いつも一人で食べてたの? 」
「そんなことないですよ。
子供の頃は両親がいましたし。
友人と食べたり、
同僚と飲んだり、みんなと同じだと思いますけど、
う~ん、この食卓の景色がそう感じるのかもしれませんね。
おじいちゃんがいて、子供達がいて、
兄妹も孫もいて、血のつながりに関係なく、
人が集まってきている感じ? 」
向井もサーバーからビールを注ぐと笑った。
「そういえばそうよね………
考えたら向井君達が来るまでは、
皆一人で食べてたんじゃないかな。
まぁ、食堂に誰かいれば一緒に食べることもあったけど」
トリアも遠くを見ながら呟いた。
「そうね。私も二百年以上生きてきて、
今が一番生きてる感じがするかな」
「俺も死人ですけど、今が一番幸せなのかもしれません」
二人はそういうと一緒に笑った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる