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番外編 冥界
今日も今日とて悪霊退治
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「トリアさん楽しそうですけど、
俺達は西と中央の境目担当ですから、
こっちも大変ですよ」
「えっ? そうなの? 」
トリアが向井を振り返った。
「今日はヴァンと真紀子さん、ティンがヘルプで、
式神課のお仕事なの。
だから、境目で待ってるのはディッセとカトルセ」
エハが苦笑いした。
「どうして使えないNO1とNO2が来るの?
まだエルフとトレーズの方が役に立つじゃない」
トリアが顔を顰めた。
「北の方にも佐久間さんと坂下君と、
ディオ君とゼス君が行ってるんです」
「ディオ達も除去に出てるってことは、
人手が足りてないんだ………」
向井を見ながらトリアはため息をついた。
「そういう事。他にも仕事が溜まってるからね。
イベントは来月だし、
虎獅狼達もずっと工房にいる」
エハは笑うと、歩き出した。
境目近くのスクランブル交差点まで来ると、
ビルの大型ビジョンに、
政府広報のCMが流れていた。
大物俳優が子供達と授業をしている映像だ。
プログラミングで、
この国を支える政治家達を助けようというもの。
今や子供の動画アーティストも増え、
かなりの金額を稼いでいることもあり、
それを利用したCMだ。
最期に俳優が笑顔で、
『捨て地を取り戻すためにも、
君達の力で国を豊かに。
政治家達を助けよう! 』
と言っていた。
このCMを興味深く見る子供。
気にもしない若者。
どうでもいい大人。
トリアが大きくため息をついた。
「これならまだ大沢がいた方がよかったか?
裏金も手に入ったし、
私達もこんな仕事しなくても済んだね」
「この国は今、
民主主義・社会主義・資本主義が、
混ざり合った、
政財界にとって都合のいい国なんです。
この前も黒谷君のいる、
赤の捨て地に逃げてきた方がいたんですけど、
ホッとしたって言ったそうで」
「今、逃げようとすると、
殺されちゃう人もいるんだって」
新田の言葉にトリアとエハが驚いた。
「会社の内情を外に漏らされるのは、
困りますからね。
捨て地の弁護団が中央から逃げられない、
弱者を助けようと動いてるんです」
向井も口を開いた。
「弱者が働かされている所は、
大臣の関係先が多いですから、
死人が出ても無関心なんです。
労働力は商品。
商品価値のないものに金を払う必要はない。
資本主義なんだから当然だと言われたそうです」
「はぁ………言葉も出てこないね」
新田も顔を顰めた。
「捨て地は真実の壁があるので、
中央から入れる人は限られるので、
スパイは弾かれるでしょ。
だから脱出者も助けやすいし、
その人たちの言葉で風向きが変わるよう、
水沢さん達も動いてます」
「この国は何度も軍事権が変わってるのよ。
千年前から何も変わってない。
廃止になるといつの間にか軍事支配に戻る。
進歩がない国なのね。
今度こそ変わると思ってたんだけどね」
トリアもお手上げと肩をすくめた。
「あっ、ディッセだ」
エハが二人の姿を見つけ、手を振った。
見ると岸本とサンクの姿も見えた。
俺達は西と中央の境目担当ですから、
こっちも大変ですよ」
「えっ? そうなの? 」
トリアが向井を振り返った。
「今日はヴァンと真紀子さん、ティンがヘルプで、
式神課のお仕事なの。
だから、境目で待ってるのはディッセとカトルセ」
エハが苦笑いした。
「どうして使えないNO1とNO2が来るの?
まだエルフとトレーズの方が役に立つじゃない」
トリアが顔を顰めた。
「北の方にも佐久間さんと坂下君と、
ディオ君とゼス君が行ってるんです」
「ディオ達も除去に出てるってことは、
人手が足りてないんだ………」
向井を見ながらトリアはため息をついた。
「そういう事。他にも仕事が溜まってるからね。
イベントは来月だし、
虎獅狼達もずっと工房にいる」
エハは笑うと、歩き出した。
境目近くのスクランブル交差点まで来ると、
ビルの大型ビジョンに、
政府広報のCMが流れていた。
大物俳優が子供達と授業をしている映像だ。
プログラミングで、
この国を支える政治家達を助けようというもの。
今や子供の動画アーティストも増え、
かなりの金額を稼いでいることもあり、
それを利用したCMだ。
最期に俳優が笑顔で、
『捨て地を取り戻すためにも、
君達の力で国を豊かに。
政治家達を助けよう! 』
と言っていた。
このCMを興味深く見る子供。
気にもしない若者。
どうでもいい大人。
トリアが大きくため息をついた。
「これならまだ大沢がいた方がよかったか?
裏金も手に入ったし、
私達もこんな仕事しなくても済んだね」
「この国は今、
民主主義・社会主義・資本主義が、
混ざり合った、
政財界にとって都合のいい国なんです。
この前も黒谷君のいる、
赤の捨て地に逃げてきた方がいたんですけど、
ホッとしたって言ったそうで」
「今、逃げようとすると、
殺されちゃう人もいるんだって」
新田の言葉にトリアとエハが驚いた。
「会社の内情を外に漏らされるのは、
困りますからね。
捨て地の弁護団が中央から逃げられない、
弱者を助けようと動いてるんです」
向井も口を開いた。
「弱者が働かされている所は、
大臣の関係先が多いですから、
死人が出ても無関心なんです。
労働力は商品。
商品価値のないものに金を払う必要はない。
資本主義なんだから当然だと言われたそうです」
「はぁ………言葉も出てこないね」
新田も顔を顰めた。
「捨て地は真実の壁があるので、
中央から入れる人は限られるので、
スパイは弾かれるでしょ。
だから脱出者も助けやすいし、
その人たちの言葉で風向きが変わるよう、
水沢さん達も動いてます」
「この国は何度も軍事権が変わってるのよ。
千年前から何も変わってない。
廃止になるといつの間にか軍事支配に戻る。
進歩がない国なのね。
今度こそ変わると思ってたんだけどね」
トリアもお手上げと肩をすくめた。
「あっ、ディッセだ」
エハが二人の姿を見つけ、手を振った。
見ると岸本とサンクの姿も見えた。
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