83 / 173
番外編 冥界
悪霊退治
しおりを挟む
「この景色を見るだけでうんざりする………」
牧野がため息をついた。
それも致し方ない。
特別室が消滅してからこの国は、
現トップとその大臣達に、
多くのものを搾取されている。
国民はそれを分かっていても、
恐怖政治の中では声を上げにくく、
捨て地弾圧でストレスを発散させている者もいた。
その一つがマスコミとインフルエンサーの存在だ。
TVは捨て地排除と政権称賛ニュース、
芸能人のような発信力のあるものは、
政府CM『捨て地を我々の手に』と叫んでいた。
そこにAIも情報を流すので、
中央のモラルある数少ない国民ですら、
満身創痍で自殺者も増えている。
外を歩けば街頭ビジョンが、
家に帰ればTVやネットが、
休みなく画像を流す。
デジタル依存者は、
簡単にマインドコントロールされ、
無関心で歩いていた。
「なんだか生気がない奴が増えたよね」
エナトがため息まじりに言った。
中央人を見てるとほぼ洗脳状態だ。
嬉々として現政権を支持する者、
うんざりとした顔で道を歩く者、
SNSにしか興味のない者、
分かりやすい構造が見て取れた。
「そういえばAIが海外ニュースを流しててさ。
現政権は合法的殺人って揶揄されてて、
このままいくと二千百年までに、
軍事国家になるんじゃないかって言われてた。
まあそれまで、この国が持てばの話だけどね」
田所がげんなりとした表情で話した。
「これじゃ再生したくなくなる」
「冥王が今いるサロン霊は、
捨て地に再生させているんですよ」
「えっ? そうなの? 」
向井の言葉に田所が驚き、
他の者も振り返った。
「隔離サロンはそのまま中央に再生させて、
問題のない霊は捨て地にと、
生まれ変わりを仕分けされてるんです」
「そんなことしてるから、
中央がどんどん黒くなるんじゃないの」
トリアが文句を言った。
「でもね、うちの派遣霊見てみなよ。
青田さん達が中央に再生されても、
すぐに冥界に逆戻りだよ」
オクトがトリアを見た。
「………あ~そうよね………」
「冥王が皆さんが言ったように、
中央は餌場にして霊電を増やしましょうって、
話になったんです。
それとこの前の冥界会議でも、
海外の霊魂も問題霊はこっちで処理してくれって、
言われたらしくて」
向井も苦笑した。
「移民も増えて、犯罪者も流れて入って来てるから、
むこうの冥界も面倒なんでしょう」
「この国が魔境なんで他国の冥界にも、
都合のいい霊の処理場になってるんですね」
佐久間も深く息をついた。
「そういう事です。
なので牧野君には頑張ってもらわないと」
向井は不貞腐れる牧野の肩に手を置くと、
にっこり微笑んだ。
「今日は式神課で坂下さんやヴァン君達もいないし、
この人数で魔境とその近辺を片付けるからね」
新田が霊銃を装着すると言った。
「私も今日は魔境デビューだからね」
弥生も笑うと、
「ほら、牧野君行くよ」
と手を引いて歩いて行った。
「ええ~」
悲鳴を上げる牧野と弥生の姿に、
向井達は呆気にとられると、
ケラケラと笑い出した。
牧野がため息をついた。
それも致し方ない。
特別室が消滅してからこの国は、
現トップとその大臣達に、
多くのものを搾取されている。
国民はそれを分かっていても、
恐怖政治の中では声を上げにくく、
捨て地弾圧でストレスを発散させている者もいた。
その一つがマスコミとインフルエンサーの存在だ。
TVは捨て地排除と政権称賛ニュース、
芸能人のような発信力のあるものは、
政府CM『捨て地を我々の手に』と叫んでいた。
そこにAIも情報を流すので、
中央のモラルある数少ない国民ですら、
満身創痍で自殺者も増えている。
外を歩けば街頭ビジョンが、
家に帰ればTVやネットが、
休みなく画像を流す。
デジタル依存者は、
簡単にマインドコントロールされ、
無関心で歩いていた。
「なんだか生気がない奴が増えたよね」
エナトがため息まじりに言った。
中央人を見てるとほぼ洗脳状態だ。
嬉々として現政権を支持する者、
うんざりとした顔で道を歩く者、
SNSにしか興味のない者、
分かりやすい構造が見て取れた。
「そういえばAIが海外ニュースを流しててさ。
現政権は合法的殺人って揶揄されてて、
このままいくと二千百年までに、
軍事国家になるんじゃないかって言われてた。
まあそれまで、この国が持てばの話だけどね」
田所がげんなりとした表情で話した。
「これじゃ再生したくなくなる」
「冥王が今いるサロン霊は、
捨て地に再生させているんですよ」
「えっ? そうなの? 」
向井の言葉に田所が驚き、
他の者も振り返った。
「隔離サロンはそのまま中央に再生させて、
問題のない霊は捨て地にと、
生まれ変わりを仕分けされてるんです」
「そんなことしてるから、
中央がどんどん黒くなるんじゃないの」
トリアが文句を言った。
「でもね、うちの派遣霊見てみなよ。
青田さん達が中央に再生されても、
すぐに冥界に逆戻りだよ」
オクトがトリアを見た。
「………あ~そうよね………」
「冥王が皆さんが言ったように、
中央は餌場にして霊電を増やしましょうって、
話になったんです。
それとこの前の冥界会議でも、
海外の霊魂も問題霊はこっちで処理してくれって、
言われたらしくて」
向井も苦笑した。
「移民も増えて、犯罪者も流れて入って来てるから、
むこうの冥界も面倒なんでしょう」
「この国が魔境なんで他国の冥界にも、
都合のいい霊の処理場になってるんですね」
佐久間も深く息をついた。
「そういう事です。
なので牧野君には頑張ってもらわないと」
向井は不貞腐れる牧野の肩に手を置くと、
にっこり微笑んだ。
「今日は式神課で坂下さんやヴァン君達もいないし、
この人数で魔境とその近辺を片付けるからね」
新田が霊銃を装着すると言った。
「私も今日は魔境デビューだからね」
弥生も笑うと、
「ほら、牧野君行くよ」
と手を引いて歩いて行った。
「ええ~」
悲鳴を上げる牧野と弥生の姿に、
向井達は呆気にとられると、
ケラケラと笑い出した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる