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番外編 北支部
悪霊除去のポプリ
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その時寿尊とミヒカが部屋に入ってきた。
「今日は安達君と一緒なので、
会えないと思っていたんですよ」
冥王が嬉しそうに口元をほころばせた。
「キッチンをのぞいたら、
楽しそうにケーキ作りを手伝っていたので、
今のうちにと会いに来ました」
ミヒカが微笑んだ。
牧野の事も話していないので、
安達には寿尊と会わせないほうがいいだろうと、
冥王が内緒にしていた。
「お久しぶりです。
ポプリの方は冥界ではみんな喜んでます。
身体が楽になるので」
向井が笑顔で頭を下げた。
ミヒカも通常に戻ったのか、
美しく光り輝いている姿に、
冥王も優しく微笑んだ。
「それはよかった。
実は新しい植物で作ったものなんですが、
姫様と調合してみたんですよ」
寿尊はミヒカを姫様と呼んでいた。
手には大きな袋を持っていて、
ミヒカが中から一つ巾着を取り出すと、
中身を見せてくれた。
「これなんですけど、
この前弁財天様が下界に降りるというので、
一つお渡ししたんです。
そうしたら、負の感情が渦巻く地域で、
このポプリが悪霊を吸い取ったというので、
安達様にも効果があるのではないかと思って」
その話に向井達の表情が変わった。
「身守りもかなり効果があると言われたので、
もしかしたらこれも身につけたら、
楽になるのではないでしょうか」
ミヒカはそういって寿尊と笑顔になった。
「それは凄いですね」
冥王も興味を持って手に取った。
「それだけ効き目があるなら、
安達君の体力も温存できるかもしれないね」
炎帝も感心するように小さな巾着を手に眺めた。
安達君はみんなから愛され、大事に思われている。
生前の辛い記憶が消え去るわけではないが、
死んだ後に多くの神様に助けられて、
今があるなら、
それも人生なのではないだろうか。
向井は微笑んでその光景を眺めていた。
それからしばらくして安達がお土産を持って、
部屋に戻ってきた。
「ケーキとジャム貰った~凄く美味しいんだよ」
「この果実も持っていって、
美味しいもの作ってもらうといいよ」
宝と同じ夜叉衆の孔雀も一緒にやってくると、
袋を向井に渡した。
「有難うございます」
「そうだ。今度パン作り見せてもらいたいから、
坂下君だっけ? に話しておいてもらえるかな」
孔雀が安達の顔を見て確認するように言った。
「あ~それいいですね。そうしたら、
いつでも美味しいパンが食べられます」
毘沙門天もニコニコ笑いながら向井を見た。
「安達君も習っていますから、
一緒に教えていただくといいですね」
向井も嬉しそうな安達を見た。
「ではそろそろ戻りますか」
冥王が言い、安達も毘沙門天達と玄関へ歩き出した。
「今日は有難うございました」
向井が炎帝にお礼を言うと、
「向井君の体調はどうかな。
その身に三つの眷属を抱えているんだから、
何かあったら相談に来なさい」
「お心遣い有難うございます」
二人はともに歩き出した。
「今日は安達君と一緒なので、
会えないと思っていたんですよ」
冥王が嬉しそうに口元をほころばせた。
「キッチンをのぞいたら、
楽しそうにケーキ作りを手伝っていたので、
今のうちにと会いに来ました」
ミヒカが微笑んだ。
牧野の事も話していないので、
安達には寿尊と会わせないほうがいいだろうと、
冥王が内緒にしていた。
「お久しぶりです。
ポプリの方は冥界ではみんな喜んでます。
身体が楽になるので」
向井が笑顔で頭を下げた。
ミヒカも通常に戻ったのか、
美しく光り輝いている姿に、
冥王も優しく微笑んだ。
「それはよかった。
実は新しい植物で作ったものなんですが、
姫様と調合してみたんですよ」
寿尊はミヒカを姫様と呼んでいた。
手には大きな袋を持っていて、
ミヒカが中から一つ巾着を取り出すと、
中身を見せてくれた。
「これなんですけど、
この前弁財天様が下界に降りるというので、
一つお渡ししたんです。
そうしたら、負の感情が渦巻く地域で、
このポプリが悪霊を吸い取ったというので、
安達様にも効果があるのではないかと思って」
その話に向井達の表情が変わった。
「身守りもかなり効果があると言われたので、
もしかしたらこれも身につけたら、
楽になるのではないでしょうか」
ミヒカはそういって寿尊と笑顔になった。
「それは凄いですね」
冥王も興味を持って手に取った。
「それだけ効き目があるなら、
安達君の体力も温存できるかもしれないね」
炎帝も感心するように小さな巾着を手に眺めた。
安達君はみんなから愛され、大事に思われている。
生前の辛い記憶が消え去るわけではないが、
死んだ後に多くの神様に助けられて、
今があるなら、
それも人生なのではないだろうか。
向井は微笑んでその光景を眺めていた。
それからしばらくして安達がお土産を持って、
部屋に戻ってきた。
「ケーキとジャム貰った~凄く美味しいんだよ」
「この果実も持っていって、
美味しいもの作ってもらうといいよ」
宝と同じ夜叉衆の孔雀も一緒にやってくると、
袋を向井に渡した。
「有難うございます」
「そうだ。今度パン作り見せてもらいたいから、
坂下君だっけ? に話しておいてもらえるかな」
孔雀が安達の顔を見て確認するように言った。
「あ~それいいですね。そうしたら、
いつでも美味しいパンが食べられます」
毘沙門天もニコニコ笑いながら向井を見た。
「安達君も習っていますから、
一緒に教えていただくといいですね」
向井も嬉しそうな安達を見た。
「ではそろそろ戻りますか」
冥王が言い、安達も毘沙門天達と玄関へ歩き出した。
「今日は有難うございました」
向井が炎帝にお礼を言うと、
「向井君の体調はどうかな。
その身に三つの眷属を抱えているんだから、
何かあったら相談に来なさい」
「お心遣い有難うございます」
二人はともに歩き出した。
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