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番外編 北支部
闘う捨て地
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「北の方は暮らしに変化はある? 」
トリアが抹茶ケーキにフォークをさして聞いた。
「この辺は気候変動もあって、
雪も少なくなっただろう。
だから中心地にこだわる住民も、
少なくなってるんだよね。
今じゃ中央のやり方に反対しているものが、
捨て地に越してきてるし。
別に黒地は普通に生活できてるんだから、
問題はないんだけど」
倉田がケーキを口に入れて考え込む顔をした。
「なに? なんかあるの? 」
「ん~
この有名店のケーキ屋さんもそうなんだけど、
老舗のお店が捨て地に移住してることもあって、
議員たちが騒いでるんだよ」
倉田がトリアを見た。
「そうそう。
この前もAI推進庁と捨て地再興庁の大臣が来て、
国民置き去りで捨て地法案通して、
捨て地排除の演説して帰って行った。
それで捨て地に越した反対派の議員が、
大臣と対峙して大揉めした事件があったのさ」
「捨て地で戦う政治家がいるのは北の強みだね」
キャトルの話にアートンが驚いた顔で振り返った。
「まぁね。捨て地は真実の壁だから、
移住するにも覚悟がいるからね。
彼は数少ない国民の為に動いてくれる人物なんだよ。
捨て地で闘うというだけでも、
信頼度は高くなる。
今回も大臣は捨て地に入ろうとはせず、
真綿で首を締めるように、
捨て地排除の法案について延々と語ってた」
「大沢派の人間だし、
自分達は神に選ばれしものだとかなんとか。
だったら堂々と正面突破で捨て地に来ればいいのに、
それができない後ろ暗さは、
多少感じてるみたい」
カランもケーキを食べながら笑った。
「そういえばさ。
水沢記者って今、
捨て地に住んでるんだって? 」
キャトルが皆の顔を見ながら言った。
「黄色の捨て地にいるそうです。
捨て地の人間は黒地に出入りが自由だから、
見つからないように動いているみたいですよ」
「気を付けないと危険を伴うんだよね」
向井の話にアートンも顔を顰めた。
「どういうこと? 」
アンが怪訝そうな顔をした。
「黒地に長くいると負にやられてしまうので、
濁った人間は平気なんですけど、
そうじゃないと負に飲まれて亡くなりますから」
「あ~だから、神様のシャカシャカなんだ」
キャトルが向井の顔を見た。
「そうです。あれは持つものを守ってくれるので、
手に取れる人には邪な気持ちがない証拠なんです。
濁りのある人には結界と同じで触れないので」
「となると今日除去した場所を守って行けば、
黒地の中でも濁りの人間は入れなくなるってこと? 」
キャトルの言葉に向井とアートン、トリアが顔を見合わせた。
「あんたいいことに気づいたわ」
「へっ? 」
トリアが頷きながらキャトルを見た。
「今、捨て地にもスパイはいるんですよ」
「そうなの? 」
倉田達の顔が驚きに変わった。
トリアが抹茶ケーキにフォークをさして聞いた。
「この辺は気候変動もあって、
雪も少なくなっただろう。
だから中心地にこだわる住民も、
少なくなってるんだよね。
今じゃ中央のやり方に反対しているものが、
捨て地に越してきてるし。
別に黒地は普通に生活できてるんだから、
問題はないんだけど」
倉田がケーキを口に入れて考え込む顔をした。
「なに? なんかあるの? 」
「ん~
この有名店のケーキ屋さんもそうなんだけど、
老舗のお店が捨て地に移住してることもあって、
議員たちが騒いでるんだよ」
倉田がトリアを見た。
「そうそう。
この前もAI推進庁と捨て地再興庁の大臣が来て、
国民置き去りで捨て地法案通して、
捨て地排除の演説して帰って行った。
それで捨て地に越した反対派の議員が、
大臣と対峙して大揉めした事件があったのさ」
「捨て地で戦う政治家がいるのは北の強みだね」
キャトルの話にアートンが驚いた顔で振り返った。
「まぁね。捨て地は真実の壁だから、
移住するにも覚悟がいるからね。
彼は数少ない国民の為に動いてくれる人物なんだよ。
捨て地で闘うというだけでも、
信頼度は高くなる。
今回も大臣は捨て地に入ろうとはせず、
真綿で首を締めるように、
捨て地排除の法案について延々と語ってた」
「大沢派の人間だし、
自分達は神に選ばれしものだとかなんとか。
だったら堂々と正面突破で捨て地に来ればいいのに、
それができない後ろ暗さは、
多少感じてるみたい」
カランもケーキを食べながら笑った。
「そういえばさ。
水沢記者って今、
捨て地に住んでるんだって? 」
キャトルが皆の顔を見ながら言った。
「黄色の捨て地にいるそうです。
捨て地の人間は黒地に出入りが自由だから、
見つからないように動いているみたいですよ」
「気を付けないと危険を伴うんだよね」
向井の話にアートンも顔を顰めた。
「どういうこと? 」
アンが怪訝そうな顔をした。
「黒地に長くいると負にやられてしまうので、
濁った人間は平気なんですけど、
そうじゃないと負に飲まれて亡くなりますから」
「あ~だから、神様のシャカシャカなんだ」
キャトルが向井の顔を見た。
「そうです。あれは持つものを守ってくれるので、
手に取れる人には邪な気持ちがない証拠なんです。
濁りのある人には結界と同じで触れないので」
「となると今日除去した場所を守って行けば、
黒地の中でも濁りの人間は入れなくなるってこと? 」
キャトルの言葉に向井とアートン、トリアが顔を見合わせた。
「あんたいいことに気づいたわ」
「へっ? 」
トリアが頷きながらキャトルを見た。
「今、捨て地にもスパイはいるんですよ」
「そうなの? 」
倉田達の顔が驚きに変わった。
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