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第14話
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「ここは俺が両親に譲って貰った土地でな」
「そうなんですね」
「まぁ本題はそんなことじゃないんだ。とりあえずこれを食べて見てくれるか?」
俺は涼子にタッパーを渡す。
涼子がそのふたを開けると、そこには大粒の真っ赤な苺が数個入っていた。
「少し時期ハズレかもしれんがその苺はここで取れたものだ。食べて見てくれ」
「大きい.......それに形も色も良いですね.......」
なんだかやらしい感じに聞こえるのは気の所為だろうか。
「でも問題は味ですよ!これでも青果店の娘ですからね!」
そう言って涼子は苺を口にした。
「ん.......?!」
「どうだ?」
「お、お、お、お、お」
「お?」
「美味しィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
「うるさ!声でけぇよ!」
涼子が雄叫びをあげる。
やっぱりこれが素だろ。
「これ!凄いです!なんですかこれ!」
「何って苺だけど?」
「そんなことはわかってますよ!」
とかなんとか言いながら残りの苺もぱくぱくと口に運ぶ。
すると、あっという間にタッパーは空っぽに。
「あ.......無くなっちゃいました.......」
しょんぼりする涼子。
その仕草はちょっと可愛いからやめてくれ、俺に効く。
好物を取り上げられたわんこを彷彿させる態度に不覚にもキュンと来てしまった。
「欲しければまだあるからちょっと待って貰って良いか?」
「本当ですかっ.......コホン、ごめんなさい。お話をお願いします」
「ああ。この農場には今涼子が食べた苺レベルに美味しい果物や野菜がゴロゴロある。そこでだ、ここの野菜を涼子の実家に青果店で売ってみないか?」
「え?!」
「今のところ自分達で消費するか町の人におすそ分けしかしていないんだ。実は最近収穫量が割と過剰気味でな。
余剰分をどうするか考えていたんだ。そこに涼子が現れたわけだ。どうだ?これを涼子の実家で売ってみないか?」
俺の実験農場もそれなりに大きくなり、魔野菜そのものも進化している。
初めの頃はとりあえず適当に魔石を砕いて肥料に混ぜていただけだった。
それだけでももちろんそれなりに美味しい野菜ができたのだが、なんとなく納得がいかなかった俺は魔石の配合量や砕く粒の大きさ、使う魔石の種類などを色々試したところ、魔野菜は劇的な進化を遂げた。
特に魔石の種類による変化はすごい。
それは元々その魔石を持っていた魔物の属性に関係していて、特に水属性系統の魔物の魔石を使用した時は実がみずみずしくなり、土属性だと肉厚で濃厚になる。
また、収穫スパンも異常に早い上に、収穫後も日持ちが長いのも特徴だ。
そういうわけで収穫量は消費分よりも上回っているのも事実で、余った分は今のところ収納に放り込んでいるような状態だ。
それに、去年までならともかく今は実際にダンジョンがあるのでこの魔野菜が世に出てもさほど問題はあるまいという考えもある。
「良いんですか?!これ、絶対に売れますよ。それこそ実家のような木っ端のお店なんかじゃなく、大手は勿論有名なレストランなんかに持ち込めばいくらでも買い手はいるはずです」
守りたいはずの実家のお店に対してえらく辛辣だが突っ込んではいけない。
「売れるかどうかなんてまだわからんけどな。仮に涼子の言う通りだとして、俺のメリットってなんだ?」
「それは.......お金がたくさん入って来ます」
「その通り。だが俺は別に金に困っていない」
「(コクコク)」
「金はいくらあっても困らんかもしれんが、正直メリットにはなりえない。逆に涼子のところに卸せばどうだ?上手くいけば涼子も涼子の両親も笑顔でハッピー。涼子の笑顔で俺も飯が上手いってわけだ、ははは」
「龍一さん.......」
ちょっと臭い言い方だが嘘じゃない。
「それでどうする?この話受けるか?」
「受けます!両親も反対しないはずです。いえ、させません!よろしくお願いします !」
「わかった。とはいえ最終的にどうするかは涼子の両親と直接あって決めるぞ」
「両親に挨拶ですか?!少し早い気がしますけどーーそうですよね、必要ですよね」テレテレ
嫁入り前の挨拶じゃないんだが.......。
そもそも出会って1日もたってない男にとる態度じゃない。
とはいえ、かく言う俺もーー。
「この話は後日改めて詰めていこう」
「はーい!」
「それで、例の件なんだが」
「例の件?」
「ほら、ダンジョンの件だ」
「そうでした!少し忘れてました.......えへへ」
「おいおい.......まぁいい。で、その件なんだが受けても良い」
「本当ですか?!」
野菜・果物販売だけでどうにかなるならそれでも良いが、二の矢は必要だ。
それにこのご時世、何があるかわからない。
涼子にそれなりの力を持っていて貰った方が何かと都合が良い。
「ああ。だが、それには俺の秘密を君に話さないといけない」
「秘密.......ですか?」
「ああ。それこそ本当に君のことを貰う必要があるかもしれない。その覚悟はあるか?」
彼女は何の躊躇いもなく答える。
「覚悟はできています。私にはもう龍一さんしか頼れる人がいないんです。それに.......」
「なんだ?」
「い、いえ。なんでもありません!」
「そうか。ならこっちに来てくれ」
俺は涼子にこれまでのことを話すことにした。
これから何かと一緒にやっていく仲間に隠し事をするのは難しいという建前はある。
しかし、どうやら年甲斐もなく俺は涼子に入れ込んでいるみたいだ。
彼女の容姿、明るい性格が好みドンピシャというのは否定できない。
初対面の上にまだあって数時間の相手にぶっちゃけ何を言っているんだと思われるかもしれないが、俺の勘が涼子なら大丈夫と囁いている。
以前、達郎にも話したが全部じゃない。
それを今回は涼子には全てを伝えるつもりだ。
「とりあえずPTを組もうか」
「PTですか?」
「まぁほら」
「はぁ」
俺は手を差し出すと、涼子がそれを握り返す。
すると、天の声さんから『神谷 涼子からPT申請がありました。許可しますか?』というアナウンスが。
PT募集を設定した人間に対して体の一部に触れた状態で加入する意志を伝えると、このようになる。
俺は許可するとPTの項目のところに涼子の名前が表示された。
このPTを組んだ時のメリットにもなるしデメリットにもなる要素の一つが、PTメンバーのステータスを見ることができることだ。
隠蔽してしまえば当然ごまかせるが、今回は全開にしてある。
「組めたな。涼子、俺のステータスを見ろ」
「は、はい」
涼子は言われるがままに俺のステータスを表示する、するとーー
「.......え?え?え?ええええええええええええええ?!」
涼子混乱。
さらにーー
「ここここここれ!これこれこれこれこれこれ!」
これこれ星人が爆誕する。
冗談はさておき、暫くの間涼子が落ち着くまで待つ。
今日は驚かせてばかりですまんな。
「龍一さんって一体.......」
「それをこれから説明する。事の発端はーー」
「そうなんですね」
「まぁ本題はそんなことじゃないんだ。とりあえずこれを食べて見てくれるか?」
俺は涼子にタッパーを渡す。
涼子がそのふたを開けると、そこには大粒の真っ赤な苺が数個入っていた。
「少し時期ハズレかもしれんがその苺はここで取れたものだ。食べて見てくれ」
「大きい.......それに形も色も良いですね.......」
なんだかやらしい感じに聞こえるのは気の所為だろうか。
「でも問題は味ですよ!これでも青果店の娘ですからね!」
そう言って涼子は苺を口にした。
「ん.......?!」
「どうだ?」
「お、お、お、お、お」
「お?」
「美味しィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
「うるさ!声でけぇよ!」
涼子が雄叫びをあげる。
やっぱりこれが素だろ。
「これ!凄いです!なんですかこれ!」
「何って苺だけど?」
「そんなことはわかってますよ!」
とかなんとか言いながら残りの苺もぱくぱくと口に運ぶ。
すると、あっという間にタッパーは空っぽに。
「あ.......無くなっちゃいました.......」
しょんぼりする涼子。
その仕草はちょっと可愛いからやめてくれ、俺に効く。
好物を取り上げられたわんこを彷彿させる態度に不覚にもキュンと来てしまった。
「欲しければまだあるからちょっと待って貰って良いか?」
「本当ですかっ.......コホン、ごめんなさい。お話をお願いします」
「ああ。この農場には今涼子が食べた苺レベルに美味しい果物や野菜がゴロゴロある。そこでだ、ここの野菜を涼子の実家に青果店で売ってみないか?」
「え?!」
「今のところ自分達で消費するか町の人におすそ分けしかしていないんだ。実は最近収穫量が割と過剰気味でな。
余剰分をどうするか考えていたんだ。そこに涼子が現れたわけだ。どうだ?これを涼子の実家で売ってみないか?」
俺の実験農場もそれなりに大きくなり、魔野菜そのものも進化している。
初めの頃はとりあえず適当に魔石を砕いて肥料に混ぜていただけだった。
それだけでももちろんそれなりに美味しい野菜ができたのだが、なんとなく納得がいかなかった俺は魔石の配合量や砕く粒の大きさ、使う魔石の種類などを色々試したところ、魔野菜は劇的な進化を遂げた。
特に魔石の種類による変化はすごい。
それは元々その魔石を持っていた魔物の属性に関係していて、特に水属性系統の魔物の魔石を使用した時は実がみずみずしくなり、土属性だと肉厚で濃厚になる。
また、収穫スパンも異常に早い上に、収穫後も日持ちが長いのも特徴だ。
そういうわけで収穫量は消費分よりも上回っているのも事実で、余った分は今のところ収納に放り込んでいるような状態だ。
それに、去年までならともかく今は実際にダンジョンがあるのでこの魔野菜が世に出てもさほど問題はあるまいという考えもある。
「良いんですか?!これ、絶対に売れますよ。それこそ実家のような木っ端のお店なんかじゃなく、大手は勿論有名なレストランなんかに持ち込めばいくらでも買い手はいるはずです」
守りたいはずの実家のお店に対してえらく辛辣だが突っ込んではいけない。
「売れるかどうかなんてまだわからんけどな。仮に涼子の言う通りだとして、俺のメリットってなんだ?」
「それは.......お金がたくさん入って来ます」
「その通り。だが俺は別に金に困っていない」
「(コクコク)」
「金はいくらあっても困らんかもしれんが、正直メリットにはなりえない。逆に涼子のところに卸せばどうだ?上手くいけば涼子も涼子の両親も笑顔でハッピー。涼子の笑顔で俺も飯が上手いってわけだ、ははは」
「龍一さん.......」
ちょっと臭い言い方だが嘘じゃない。
「それでどうする?この話受けるか?」
「受けます!両親も反対しないはずです。いえ、させません!よろしくお願いします !」
「わかった。とはいえ最終的にどうするかは涼子の両親と直接あって決めるぞ」
「両親に挨拶ですか?!少し早い気がしますけどーーそうですよね、必要ですよね」テレテレ
嫁入り前の挨拶じゃないんだが.......。
そもそも出会って1日もたってない男にとる態度じゃない。
とはいえ、かく言う俺もーー。
「この話は後日改めて詰めていこう」
「はーい!」
「それで、例の件なんだが」
「例の件?」
「ほら、ダンジョンの件だ」
「そうでした!少し忘れてました.......えへへ」
「おいおい.......まぁいい。で、その件なんだが受けても良い」
「本当ですか?!」
野菜・果物販売だけでどうにかなるならそれでも良いが、二の矢は必要だ。
それにこのご時世、何があるかわからない。
涼子にそれなりの力を持っていて貰った方が何かと都合が良い。
「ああ。だが、それには俺の秘密を君に話さないといけない」
「秘密.......ですか?」
「ああ。それこそ本当に君のことを貰う必要があるかもしれない。その覚悟はあるか?」
彼女は何の躊躇いもなく答える。
「覚悟はできています。私にはもう龍一さんしか頼れる人がいないんです。それに.......」
「なんだ?」
「い、いえ。なんでもありません!」
「そうか。ならこっちに来てくれ」
俺は涼子にこれまでのことを話すことにした。
これから何かと一緒にやっていく仲間に隠し事をするのは難しいという建前はある。
しかし、どうやら年甲斐もなく俺は涼子に入れ込んでいるみたいだ。
彼女の容姿、明るい性格が好みドンピシャというのは否定できない。
初対面の上にまだあって数時間の相手にぶっちゃけ何を言っているんだと思われるかもしれないが、俺の勘が涼子なら大丈夫と囁いている。
以前、達郎にも話したが全部じゃない。
それを今回は涼子には全てを伝えるつもりだ。
「とりあえずPTを組もうか」
「PTですか?」
「まぁほら」
「はぁ」
俺は手を差し出すと、涼子がそれを握り返す。
すると、天の声さんから『神谷 涼子からPT申請がありました。許可しますか?』というアナウンスが。
PT募集を設定した人間に対して体の一部に触れた状態で加入する意志を伝えると、このようになる。
俺は許可するとPTの項目のところに涼子の名前が表示された。
このPTを組んだ時のメリットにもなるしデメリットにもなる要素の一つが、PTメンバーのステータスを見ることができることだ。
隠蔽してしまえば当然ごまかせるが、今回は全開にしてある。
「組めたな。涼子、俺のステータスを見ろ」
「は、はい」
涼子は言われるがままに俺のステータスを表示する、するとーー
「.......え?え?え?ええええええええええええええ?!」
涼子混乱。
さらにーー
「ここここここれ!これこれこれこれこれこれ!」
これこれ星人が爆誕する。
冗談はさておき、暫くの間涼子が落ち着くまで待つ。
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