16 / 71
二章 いざ魔王国へ
更なる絶望
しおりを挟む
カイルが奴隷となって10年の月日が流れた。5歳の幼くて力のなかった身体は、この10年の奴隷としての生活で、筋肉質な身体となっていた。世話してくれたルーカスと名乗っていたランダスが5年前に亡くなり、10年という月日の中で亡くなった人も数知れず。20代の新米兵士だったものは30代に、40代のベテラン兵士は50代にと歳を重ねる。しかし、人員が新たに補充されることはない。即ち、亡くなったら亡くなった分、仕事量が増えるのだ。しかも、歳を重ねて、身体の言うことが聞かなくなっても働かされる。病気で寝込んでも働かされる。奴隷に休みなど与えられないのだ。そして、ランダスという人物が語ってくれた内容を思い出すカイル。自分が本当はレインクラウズクリア王国という国の王子で、ルイスという名は偽名であること。本当の名前はカイルというがその名前は人前では決して名乗ってはならないこと。そうなると時折放送で映る、あの綺麗な女性は、僕の母ということになるのだろうか?レインクラウズクリア王国の元王妃って、ここで監視員をしている民衆が言ってた。あの人が国を売ったから僕たちは奴隷にされている?それが本当なら僕の父を裏切った張本人でもあるわけだ。許せない。だが、それらは人の噂だ。自分で確かめたことではない。何が真実か取捨選択することが重要だ。そのためにも、早く魔物壁を完成させて自由な身にならなければ、、、どうして、魔物壁が完成すれば自由の身になれると思っている?逆に用無しとなって処分される恐れもあるのでは?そんなことを考えながら今日のノルマを完遂する。
「おぅ、ここに来た時は、ガキで仕事もできなかったオメェが中々頑張るようになったじゃねぇの」
「早く魔物壁を完成させて自由の身になりたいですから」
「魔物壁が完成したらなぁ」
不敵な笑みを浮かべるこの鎧甲冑を着た兵士は、オズマリア帝国がレインクラウズクリア地区の監視に送り込んだ兵士である。そんな中久々に映像放送があった。そこには綺麗な女性の首に鎖をつけ、まるでペットのように扱うオズモンド皇帝の姿が映っていた。
「レインクラウズクリア地区の民たちよ。今日も御苦労だったな。大事な報告があるので聞くが良い。レインクラウズクリア地区以外の魔物壁は、既に完成した。そこでだ誰もいなくなったツリー地区への移住とそこの魔物壁の完成よりもレインクラウズクリア地区の魔物壁の完成が遅かった場合、非常に残念だが奴隷たちには、責任を取ってもらうことになる。責任の取り方などわかっていよう。死あるのみだ。この元王妃がワシの子を産めば、無条件で許されたものをここまでやってもできぬとは卵無しだったのであろうな。よって、側妃からワシの愛玩奴隷に都落ちさせた。お前たちは、このクズのせいで死ぬのだ。ワシにばっかり言わせず貴様からも謝らぬか」
オズモンド皇帝は、イーリス元王妃に付けた鎖を引っ張り、その拍子で倒れたイーリスの全身が映る。首の鎖と腕の鎖以外付けることは、禁止にされたのだろう。産まれたままの姿で、見せたくはないところを手で隠そうとすると、腕についた鎖を引っ張られ叶わない。
「レインクラウズクリア地区の皆様、私のせいで本当にごめんなさい。私が当たらないばかり苦労をかけて。うぐっ」
「違うなぁ違う違う。こうだろう。言わなければ、ゴニョゴニョ」
「!?話が違う」
「さぁ、何のことかなぁ?」
「ぐっ。レインクラウズクリア地区の奴隷ども、ご主人様の有難い言葉を聞いたのならとっとと働きなさい。夜も働かないとツリー地区の魔物壁よりも早く完成させることなんてできないわよ。まぁ別に私には関係ないけどね。私はこうやって愛しいご主人様に今日も愛してもらうから。早くくださいませご主人様~~~~」
「ククク。そこまでせがまれては仕方あるまい。本来側妃でもない愛玩奴隷に出してやるものなどないのだがなぁ。ほらコレが欲しかったのであろう。頬張って大きくするが良い」
「あぁん。嬉しいですぅ。チュパチュパ。ジュボボボ」
「良い良い。では、ケツをこっちに向けんか。牝豚」
「はぃ。コレでよろしいでしょうか御主人様~」
「全く、こんなに相性が良いのに子どもを産まんとは、牝豚として飼ってやってるだけ感謝するのだな」
「はい御主人様~。キモチイイ。キモチイイですぅ」
そこには涙を流しながらオズモンドを受け入れるイーリスの姿が映っていた。少なくともカイルには、そう見えた。だが周りの兵士たちにはそう見えなかったようだ。
「そこまで堕ちたか売女め」
「ファイン王よ。あれが貴方が愛した女なのですか?あんな売女が」
「そこまで堕ちて、尚も子どもが産めない。この売女が」
民衆たちもイーリス元王妃の映る映像放送に卵や石を投げつけていた。
「アンタのせいでワシらの暮らしぶりが良くならんのじゃ」
「お隣のデザート地区は、永久帝国市民権を発行されて、税が半分になったそうよ。オズモンド皇帝陛下様との子を成したから。アンタも子を成せば、私たちの暮らしが楽になんのよ」
やがて映像が切れるとその怒りは奴隷たちへと向かられる。
「アンタたちがオズマリアなんかに負けなければ、こんなことになってないのよ。何が国民を守る兵士よ。守れてないのに一丁前に言ってんじゃないわよ」
ヒステリックになった女による鞭の一撃が50代の老兵に当たる。
「うぐっ」
「やめてください、そんなことをして、労働力が減ったらそれこそ魔物壁の完成なんて程遠いと思いませんか?」
「ガキが意見してんじゃないわよ。私、明日から監視員になります。コイツらをバシバシ働かせてやる」
「おぅ。俺も」
「俺も俺も」
ストレスの発散の捌け口を元兵士たちにぶつけるそれがレインクラウズクリア地区の国民なのだ。
「おぅ、ここに来た時は、ガキで仕事もできなかったオメェが中々頑張るようになったじゃねぇの」
「早く魔物壁を完成させて自由の身になりたいですから」
「魔物壁が完成したらなぁ」
不敵な笑みを浮かべるこの鎧甲冑を着た兵士は、オズマリア帝国がレインクラウズクリア地区の監視に送り込んだ兵士である。そんな中久々に映像放送があった。そこには綺麗な女性の首に鎖をつけ、まるでペットのように扱うオズモンド皇帝の姿が映っていた。
「レインクラウズクリア地区の民たちよ。今日も御苦労だったな。大事な報告があるので聞くが良い。レインクラウズクリア地区以外の魔物壁は、既に完成した。そこでだ誰もいなくなったツリー地区への移住とそこの魔物壁の完成よりもレインクラウズクリア地区の魔物壁の完成が遅かった場合、非常に残念だが奴隷たちには、責任を取ってもらうことになる。責任の取り方などわかっていよう。死あるのみだ。この元王妃がワシの子を産めば、無条件で許されたものをここまでやってもできぬとは卵無しだったのであろうな。よって、側妃からワシの愛玩奴隷に都落ちさせた。お前たちは、このクズのせいで死ぬのだ。ワシにばっかり言わせず貴様からも謝らぬか」
オズモンド皇帝は、イーリス元王妃に付けた鎖を引っ張り、その拍子で倒れたイーリスの全身が映る。首の鎖と腕の鎖以外付けることは、禁止にされたのだろう。産まれたままの姿で、見せたくはないところを手で隠そうとすると、腕についた鎖を引っ張られ叶わない。
「レインクラウズクリア地区の皆様、私のせいで本当にごめんなさい。私が当たらないばかり苦労をかけて。うぐっ」
「違うなぁ違う違う。こうだろう。言わなければ、ゴニョゴニョ」
「!?話が違う」
「さぁ、何のことかなぁ?」
「ぐっ。レインクラウズクリア地区の奴隷ども、ご主人様の有難い言葉を聞いたのならとっとと働きなさい。夜も働かないとツリー地区の魔物壁よりも早く完成させることなんてできないわよ。まぁ別に私には関係ないけどね。私はこうやって愛しいご主人様に今日も愛してもらうから。早くくださいませご主人様~~~~」
「ククク。そこまでせがまれては仕方あるまい。本来側妃でもない愛玩奴隷に出してやるものなどないのだがなぁ。ほらコレが欲しかったのであろう。頬張って大きくするが良い」
「あぁん。嬉しいですぅ。チュパチュパ。ジュボボボ」
「良い良い。では、ケツをこっちに向けんか。牝豚」
「はぃ。コレでよろしいでしょうか御主人様~」
「全く、こんなに相性が良いのに子どもを産まんとは、牝豚として飼ってやってるだけ感謝するのだな」
「はい御主人様~。キモチイイ。キモチイイですぅ」
そこには涙を流しながらオズモンドを受け入れるイーリスの姿が映っていた。少なくともカイルには、そう見えた。だが周りの兵士たちにはそう見えなかったようだ。
「そこまで堕ちたか売女め」
「ファイン王よ。あれが貴方が愛した女なのですか?あんな売女が」
「そこまで堕ちて、尚も子どもが産めない。この売女が」
民衆たちもイーリス元王妃の映る映像放送に卵や石を投げつけていた。
「アンタのせいでワシらの暮らしぶりが良くならんのじゃ」
「お隣のデザート地区は、永久帝国市民権を発行されて、税が半分になったそうよ。オズモンド皇帝陛下様との子を成したから。アンタも子を成せば、私たちの暮らしが楽になんのよ」
やがて映像が切れるとその怒りは奴隷たちへと向かられる。
「アンタたちがオズマリアなんかに負けなければ、こんなことになってないのよ。何が国民を守る兵士よ。守れてないのに一丁前に言ってんじゃないわよ」
ヒステリックになった女による鞭の一撃が50代の老兵に当たる。
「うぐっ」
「やめてください、そんなことをして、労働力が減ったらそれこそ魔物壁の完成なんて程遠いと思いませんか?」
「ガキが意見してんじゃないわよ。私、明日から監視員になります。コイツらをバシバシ働かせてやる」
「おぅ。俺も」
「俺も俺も」
ストレスの発散の捌け口を元兵士たちにぶつけるそれがレインクラウズクリア地区の国民なのだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる