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3章 ヒートマウンテンを攻略せよ!

防衛施設の確認

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 トモカズはモノノフに完成した施設の運用方法を相談していた。

「一応、気休め程度じゃが槍柵を設置した。相手に騎馬がいれば、突き刺さって、動きを止められるだろう」

「サイクロプスの部下ってことは、オークとかオーガとか力自慢だらけだよな」

「そうね。わざわざあの女狐ちゃんが若様のために下僕に変えてまで、新四天王に迎え入れようとしたんだから、部下も脳筋揃いだと思うわよ~。それにしても、さっきのトモちゃんったら私の夫だなんて、あぁん。幸せすぎて、お股がまた濡れてきちゃう~」

「この蛇女は、何を言っとるんだ全く。トモカズ、女は選べと。いや、これは女じゃなくて蛇か。クネクネしおって。やれやれ」

「まぁ、仲良くできるんならそれに越したことはないだろ?」

「仲良くなぁ。どうせ、お前のことじゃ。下半身に身を任せただけじゃろう。やれやれ、高校の時から変わっておらんの。あの時の」

「や、やめてくれよ。親父。アイツには、悪いことしたと思ってる。親父に孫の顔見せてやりたいためだけに性欲の捌け口に使ったからな」

「全くじゃな。その顛末が」

「やめてくれ。わかってる。アイツに悪いことしたのは、俺のせいだ。俺の身勝手な言葉で、傷付けて、泣かせて、飛び出したアイツは、車に」

「わかってるなら良い。責任も取れん子供なのに、子供を作ろうとしたお前の責任じゃ。挙句、子供ができないと知ると容赦なく捨てた」

「何度も親父に殴られたな。って、アイツ死んでねぇからな」

「そういう問題では無かろう。車の運転手があの娘が飛び出したのが目に見えて、急ブレーキをしてなければ、死んでいたであろう」

「うっ。謝って許されることじゃ無いけど、アイツに」

「もう無理じゃ。今は、お前の方が死んでるんじゃからな」

「そうだよなぁ。バチが当たったんだよな。大好きだった女を捨てた俺への」

「まぁ、しっかり反省せい。おい、蛇女、いつまで妄想でクネクネさせとるんじゃ。建築物の説明をしてやるから良く聞け」

「はっ!隣にトモちゃんがいる幸せ~♡」

「だめじゃなこりゃ」

「ここを守るのは我らの務め、案内をしていただけるか?」

「まぁ、良かろう」

 マントを羽織った将軍っぽいスケルトンがモノノフに付いていく。

「これが連弩じゃ。まぁ、備え付けの大型弓。バリスタといえば良いか」

「バリスタ?このような建築物、王都でも見たことはないが。ふむぅ。どのようにして使うのか。教えてもらっても構わぬか?」

「簡単じゃ。弦を弾いて、矢を射出させるだけじゃ。後、そこのお前の持ってるそれは、投げ槍であろう。そんなもので、スケルトンアーチャーなどと名乗りおって、これをくれてやろう。有意義に使うが良い。持ち運び式の連弩じゃ」

「オッサン、そんな殺傷能力低そうなのより、投げやりの方が強いってんだ」

「身をもって、体感せんとわからんようじゃな」

「待たれよ。モノノフ殿。遅かったか」

 モノノフの放った小型連弩によって、骨のあちこちに矢が刺さって、崩れるスケルトンアーチャー。

「これで、わかったであろう。投げ槍も確かに有効な武器よ。しかし、身体中を貫かれる連弩には」

「何だよオッサン。その武器、最高じゃねぇか。へぇ、こんな武器ができてたのか。俺たちが冒険者だった頃は、投げ槍で遠距離から味方を援護したもんだぜ。これなら、近づかれる前に魔物どもをコテンパンにできるぜ」

「いや。ワシには、今のお前たちも十分魔物とやらなのだが。どうやったら動く骨に人間だと言われて、はいそうですかと納得できるというのだ。全く、この世界はようわからんわい。まぁ、気に入ってくれたのなら製作者冥利に尽きるがの」

「ふむ。固定式と持ち運び式か。防衛をする上で、これほど心強いことは無い。感謝する。我が名は、テンペスト。かつて、王都エインヘリヤルで将軍と呼ばれた男だ」

「ほぉ。将軍か。なら、お前さんに兵の運用は任せておけば良かろうて。ワシは、トモカズのために建築物を作っただけじゃからのぉ。次は投石機じゃ」

「投石機と聞くと石を投げるということか?」

「流石は、将軍じゃな。言葉を聞いただけで理解できるとは、カタパルトなどともいうが。ここに乗せた石などを飛ばして、その威力で敵を吹き飛ばす兵器じゃ。これも、使い方は簡単じゃ。数人で引っ張って、乗せたら離す。すると推進力を利用して、石が飛んでいく」

「ふむふむ。これなら農作業に勤しんでいる者たちでも使うことができよう。入り口付近での防衛に現実味が帯びてきた。しかし、相手は大軍。こちらは少数だ。いくら死なぬスケルトンとはいえ、対策をしていないとは限らん」

「骨を消す方法など溶かすぐらいしかなかろう。近付かれねば、と思ったが。この世界には便利な魔法とやらがあるのだったな。ふむぅ。では、魔法障壁を張るのは、どうじゃ。魔法には魔法を。こちらも魔法が使えるスケルトンがいるのであろう?」

「いるにはいるが、戦は数も重要だ。向こうが倍の魔法を使えるものを用意してきたら、到底守れん」

「なら、魔法を使う奴らのエネルギーを空にしてやれば良い。ここにもいるんじゃろ。何でも食べると聞くスライムとやらが」

「な、成程。確かにスライムたちならば、接触できれば、魔力を吸い取る事は可能だ。しかし」

「地面に同化させれば良い。魔力にだけ反応するようにしてな」

「そ、それは盲点だった。確かにその方法なら安全に魔力を失わせることが。流石、ビビアン様を籠絡したトモ殿の親父殿だ」

「ではな。後は、落石と火罠じゃ。これは使ったことはあろう?」

「将軍だった頃に。そちらは説明は必要ない。感謝する」

「ワシは帰る。村の方にもよからぬ奴らが攻めてこぬとも限らんのでな」

「おーい親父、村の方は頼んだぜ」

「任せろ。そっちもな」

 こうして、モノノフと別れたトモカズは、魔王軍の襲来を待つのであった。
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