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2章 ゴブリン共の脅威から防衛せよ!

囚われのリーシア

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 ルカに囚われて、何日経ったのでしょうか?

 トモカズ様は、御無事でしょうか?

「気分はどうだリーシア。ククク。やはり、あの男と離れているとそのお腹の紋様は薄くなるようだな。忌々しいサキュバスやインキュバスが効率よく性を貪るために刻む刻印。これではっきりしたな。あの男は魔族だ。どうりで忌々しい魔物の動きが読めるわけだ。自作自演なんだからな!」

「トモ様のことを罵られて、最悪な気分ですわ」

「ククク。そのお腹の紋様が完全に消えた時、お前をこの手に取り戻してやるから覚悟しているのだな」

「もう一度、貴方様に抱かれるなんてごめんですの。そうなったら舌を噛み切って、死にますわ」

「おーこわいこわい。あのクソガキをここに連れてきて、目の前でお前を奪い返す時に舌を噛み切られてはかなわんな。だがお前が俺に心から身体を捧げるならクソガキを助けてやっても良いのだがなぁ。ククク」

「本当に下衆ですわね。その言葉に嘘はなくて?」

「あぁ」

「そうですのね」

 ワタクシが我慢すればトモカズ様が助かるのならこの身なんて、いつでも。

 どうして、悲しい気持ちになるんですの?

 ワタクシの行動でトモカズ様を救えるのですのよ?

 迷う必要なんて。

 うっうぅ。

 心が泣いていますの。

 嫌、もうトモカズ様以外に抱かれるなんて、嫌。

 ワタクシは、どうしたら良いんですの?

「さぁ、俺に身も心も捧げると誓えば、あのクソガキの命は、助けてやるぞ」

「貴方様に、ルカ様に身も心も」

 扉が勢いよく開かれて、兵士の服を着た人がクソメガネを羽交締めにしていますわ。

 ワタクシ、助かったのですの?

「リーシア、辛い思いをさせたね」

「トモカズ様」

 ワタクシは、久々に聞く愛しい人の声を聞いて、嬉しさとルカの提案になりそうになってしまったワタクシ自身の心の弱さに涙が溢れてしまいましたの。

 そんなワタクシを正面から抱きしめて、慰めてくれるトモカズ様。

「もう大丈夫。だから泣かないでリーシア」

 ワタクシは、トモカズ様に抱きしめられる資格なんて無いんですの。

 だって、ワタクシは、トモカズ様のことを信じきれずこの下衆な男に屈する寸前だったのですから。

「ワタクシは、この男にトモカズ様を人質に取られて、ワタクシの身でトモカズ様が救われるならと屈しようとしていましたの。トモカズ様に抱きしめられる資格なんてないんですのよ?」

「俺のせいで君をそこまで追い詰めてしまったんだね。この数日は辛かっただろう。この男には、俺のリーシアを傷付けた罰を与えてやらないとな。クソメガネが目を覚ましたら楽しみだ」

「トモカズ様のせいだなんて、そんなことありませんわ。全てはワタクシの弱い心が悪いんですの。だから、そんなに優しくしないでくださいまし。それに甘えてしまいそうに」

「甘えて良い。それに男なら女に甘えられるぐらいでないとな」

「ウフフ。トモカズ様、そんなこと言うといっぱい甘えちゃいますのよ」

「良いさ。でも、それはこのクソメガネが目を覚ました後にしようか。目の前で、リーシアが誰の物か徹底的に教え込んでやる」

「まぁ、トモカズ様ったらそんなに嫉妬深かったんですのね?」

「あぁ、俺は嫉妬深くて、強欲なんだ。ナイアもペコラもリーシアも誰も失いたくない程にな」

「クスクス。トモカズ様のことですからもっと増えるかもしれませんわね」

「それは、否定できないな。でも、皆平等に愛してるつもりさ」

「わかっていますわ。トモカズ様と居られるだけでこんなにも幸せなのですから」

「リーシア、その言葉は男冥利に。いや、俺にとって最高に嬉しい言葉だ」

 トモカズ様、ワタクシは幸せ者です。

 ルカからワタクシを奪ってくださりありがとうございます。

 ワタクシに愛を刻み込んでくださり、心から感謝致します。

 そして今回も助けてくださいました。

 トモカズ様は、ワタクシにとって、ヒーローですのよ。

---------------

 トモカズがどうして兵士の服を着ていたのか。

 それは、城下町にて、トゥルー草を買い、入り口に向かって、リーシアが仲良く話していた兵士に話しかけて借りたからである。

「トゥルー草は置いてるかな?」

「いらっしゃいませ。まぁまぁ、お使いかしら坊や?」

「あっうん。父さんが魔物にメガパニを使われたみたいで」

「それは一大事ね。これがトゥルー草よ」

「お代は?」

「良いわ。坊や可愛いからサービスしてア・ゲ・ル」

「あっありがとう♡」

「もう少し大きくなったらお返しにキ・テ・ネ」

「はい♡うっ機会があれば」

 まずい、なんだこれ。

 身体が熱を帯びている。

 この女、人間か?

 目が離せない。

「機会があれば、ね。まぁ、良いわ」

 くっ、危なかった。

 なんとも妖艶で惹き込まれる瞳とスッと入ってくる声だった。

 でもこれでトゥルー草は、手に入れた。

 後は城に入るだけだが、まずいよりによって入り口の兵士は、俺を牢へと連行した兵士かよ。

 何か手はないか?

 そうだ!

 リーシアが入り口で話していた兵士!

 確かライルって言ったか。

 彼なら協力してくれるかも。

 向かおう。

 いたいた。

「数日ぶりですねライルさん」

「うおっ。急に話しかけんなよ。って坊主か。リーシア様と魔物娘たちはどうした?」

「そのことで、カクカクシカジカでして」

 俺は城で起こったことを簡潔に話した。

「成程な。じゃあ、数日前に中隊が何かを探しに出たのは、坊主と一緒にいなかった魔物娘を追ってたのか。って、ヤバいんじゃねぇのか?無事なのか?」

 対立する魔物でありながら身を案じてくれる。

 それだけで、彼は信用に値するだろう。

「取り敢えずは無事です。実は俺、魔獣従えてまして、キングベアーとスノーフォックスを」

「坊主、お前、本当にテイマーじゃないのか?冒険者ギルドに行かなくてもそれは明らかにテイマーだと思うんだがな。それに地獄の殺し屋と雪原の白い悪魔とはな。どちらとも戦いたくはないわな。そういう意味では、城下町務めの門番で本当に良かったぜ」

「その辺りは冒険者ギルドで詳しく見てもらうつもりです。今日はお願いがあって」

「そうしな。テイマーと認められれば、あの嬢ちゃんたちに街に入るだけで首輪をする必要がなくなるからよ。お願い、兵士の服だろ。そこにあるから使いな」

「良いのか?」

「城内の奴らがおかしいのは、気付いてた。それでも俺は何もしなかったんだ。これぐらいで助けになるなら構わねぇよ」

「助かる」

「おぅ。リーシア様のこと絶対に助けろよ」

「あぁ」

 こうして、兵士の服のおかげで怪しまれることなく城内へと潜入でき、リーシアが捕えられているクソメガネ宰相の部屋に辿り着けたわけだ。
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