上 下
217 / 220
終幕

エピローグ(新魔王国)

しおりを挟む
 クレオが新魔王に就任して、まず初めに取り組んだのが全奴隷の解放と階級制度の廃止。そして、魔王城の再建である。上級魔族の反発があったがそれも速やかに制圧した。奴隷の解放に応じない商人に対しては、クレオが全額支払うことで補填した。だが、そんな商人は味を占めて、また奴隷を囲おうと考えるので、アランたちに探らせて、同じことをした商人は捕らえて、断罪に処した。これ以降、商人が奴隷を扱うことは無くなった。表向きには。裏では、やりとりをしているところがあった。ブラックマーケットというやつだ。それの鎮圧を任されたのが、アラン率いるコボルト族たちであった。嗅覚の鋭い彼らによって、見つけて、制圧する。だがそういった闇商人には、用心棒が多数雇われていた。その多くが階級制度の廃止に納得ができない上級魔族共であった。だが、戦闘においては、下級魔族を盾にすることでしか生きていくことができなかった無能どもである。こうして闇マーケットも片っ端から潰して回った。こうしたクレオの統治は、民たちに支持され、兵士になりたいと魔王城にやってくる子供達まで居た。魔王城の再建には時間を要し、10年の月日をかけてようやく完成した。その間クレオはどうしていたかって?勿論、魔頂村の執務室を代わりに使っていた。陳情に訪れるものが多く。それらに真摯に向き合うクレオの姿は、多くのものが尊敬することとなる。こうして魔王国は先先代魔王デモンズの目指した。多種族と共存する国となった。そして、ここに父であるレオンダイトが吸血鬼領の魔王国への復帰を宣言した。これにより、吸血鬼領が独自に同盟を結んでいたエルフェアリーナ王国との同盟は魔王国へと引き継がれ、大国同士の対等な同盟となる。これに続くようにスモール集落を州として吸収したクラフト共和国、聖龍の谷を治めることになったドラグーン飛空挺団、枝垂桜海洋国家、サウザンド王国を含む小国を取りまとめるランスホース帝国、ビースト連合改めウルフエンを王とした獣人王国、リグレスト正教国家。8カ国平和同盟が結ばれた。この同盟は、長きに渡り続くこととなり、平和で最も安定した世界となる。クレオは完成した魔王城に入り、妻たちや子供に久々の家族サービスをしていた。枝垂桜海洋国家の織田武の息子に嫁いだクラリーサ。ランスホース帝国のアーサーの娘と結婚し婿入りしたハオ。エルフェアリーナ王国のエイミー女王陛下の孫に嫁いだクリコ。クラフト共和国のガンテツの娘に婿入りしたリンクル。ドラグーン飛空挺団のデュラハムの息子に嫁いだレナ。獣人王国のウルフエンに嫁いだクレイン。リグレスト正教国家のザイールの娘に婿入りしたメレク。そして、クレオの後継者となったカレオ。そう、クレオは自分の後継者には吸血鬼の正当な血筋で選んだ。訳でもなければ、ザイールの娘がメレクを気に入り、カレオが残ったからでもない。能力がずば抜けて高かったのだ。それらが久々に魔王城に集まったのだ。結婚して25年も経つと皆様付けなんてしないようになった。
「クレオ、吸血鬼ってほんと妊娠しづらいのね。クラリーサ以降妊娠しないし」
「アリッサ、それをいうなら私もクレイン以降妊娠していない」
「せっかく、歳も取らない、永遠の若さなのにもったいないわよね」
「エキナらしい考えだよな。アタシはクレオがこうやって家族サービスしてくれて、愛してくれてるだけでいいと思うんだけど」
「リコルは枯れちゃったのね」
「枯れてねぇわ」
「オッス。でもみんなであつまんのも久々だな。アタイらも役職に就いちゃったし、クレオと会うのも1週間に一回程度になっちまったし」
「クレハ、仕方ないわよ。アンドレが死に混乱した魔王国を立て直すために尽力せざる終えなかったんだから」
「リンダ、元気にしてたか」
「えぇ」
「疲れただ。魔王国の妊娠出産率の高さ。ハンパないだ」
「お疲れ、ユタ」
「もっと労ってくれてもいいだよ」
「ユタ様、そんなに動き回るとお腹の子に」
「大丈夫だよカーミラ。あんがとな」
「カーミラ、お前の息子が次期党首なのに、いつまでも様付けなんだな。まじやばみ」
「メル様もお変わりなく安心しました。今は貴族の管理をしてるのですよね?」
「あぁ、貴族出身だから任されたんだけどやれカレオ様にあわせてくれだの擦り寄る奴らを弾くので忙しいったらありゃしなーい。マジハンパない」
「あのメル様がきちんと仕事しているのですね」
 クレオがやってくる。
「やぁみんな、よく集まってくれたね。みんなに1週間のお休みをあげる。さて、クラリーサたちは孫の顔を見せに来てくれてありがとう」
「父上、壮健そうで何よりです。して、いつ枝垂桜海洋国家を取り込むのです」
「いや、そんなことしないからね」
「えぇーーー。ダーリンと毎日、国を父上に任せて、毎日イチャイチャしたいって言ってるのにもう」
「ラブラブそうで良かったよ」
「じゃあ、ここからは妻たちとだからね」
「はい。私もダーリンの元に戻ります」
 この日から1週間、クレオは妻たちに子供をせがまれて吸い尽くされるのは、いうまでもない。そんな大変な1週間を終え、魔王城の完成を祝う式典で、クレオは次期魔王カレオの御披露目と功労者たちを役職に付ける。これ以降長きに渡り、強国でありながら他国に一切侵攻せず協調を大事にした魔王としてクレオの名は刻まれることとなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ) 安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると めちゃめちゃ強かった! 気軽に読めるので、暇つぶしに是非! 涙あり、笑いあり シリアスなおとぼけ冒険譚! 異世界ラブ冒険ファンタジー!

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

処理中です...