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最終章 第二幕
第31話 人魔戦争(吸血鬼領編)
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魔王が全世界同時侵攻を命じた直後の吸血鬼領では、その対策のためレオンダイトが思案していた。魔王国からの独立にあたり吸血鬼領の党首をアーロンからレオンダイトへと譲位したのである。
「兄貴、俺は党首の器じゃねぇよ。兄貴の影で動き回る方が向いてんだ」
「アーロン、純血戦争からお前が吸血鬼を率いてくれたのだ。皆、急な当主の変更に納得しないだろう」
「いや、それがよ。提案したらまさかの1発承認。皆、兄貴が党首、俺が副党首で引っ張ってくれてた昔が懐かしいらしいぜ」
「わかった。皆とアーロンの期待に応えねばな」
「兄貴、押し付けちまってすまねぇ」
「気にするな。この戦にて、お前と俺の力を魔王国に見せつけてやるとしよう」
2人の会話にリリア、セリア、ウルファス、バルバラ、ミレーネ、ホワイティが参加する。
「あら、レオン。勿論私もそれに含まれてるわよね」
「リリア、勿論だよ。クレオやリリのためにもこの戦負けるわけにはいかない」
「えぇ、必ず勝ちましょう」
「リリ様や非戦闘員のことは私にお任せください。ラーキア城にて、お守りいたします」
「セリア、よろしく頼んだよ。戦が始まれば、怪我人も多く運ばれてくるだろう。医療班の準備も忘れぬように」
「承知しました」
「兄上、俺も久々に暴れさせてもらいますよ」
「頼りにしているぞウルファス」
「あぁ、久々に兄弟3人でだな」
「アーロン兄上、党首の仕事で、指揮ばかりで腕は鈍っておりませんでしょうな」
「ウルファス、言ってくれるぜ全く。見せてやるよ。本来は戦闘狂だってところをな」
「アーロン様、私はレオンダイト様と共に後方にて作戦立案をさせてもらいます」
「あぁ、ミレーネ。そのことなんだが兄貴は前線に出る。作戦立案は全てミレーネお前に一任するとのことだ」
「レスト公爵家きっての策略家である其方に任せる」
「ミレーネ、頑張るのだぁ」
「バルバラ様まで、わかりました。神算鬼謀の策略にて皆様をお守り致します」
「ウル、私も戦場に行くわよ」
「ホワイティ、子供たちもまだ小さいお前はそばにいても良いのだぞ」
「いいえ、負けたら全てが終わりだもの。それに魔王に奴隷にされるだけだわ。なら戦えるものは1人でも多い方が良いでしょう」
「子供たちのことは私にお任せください」
「セリアもこう言ってくれてるし。良いわよね?」
「あぁ、勿論だ。君のことは俺が守る」
「あら、私は守られてばかりの女子ではなくてよ」
「そうであったな」
そして、魔王の進軍が始まり、吸血鬼領への大将がゴレオンだとわかる。
「よりにもよってゴレオン将軍とはな」
「兄貴、魔王の奴。戦いにくい相手を持ってきたな」
「あぁ、多くの戦場で共に前線を張ってきた中だ。お互いの手の内を知り尽くしている。だがそれは俺のだが。今回はその全てをミレーネに任すことにした。読めはしないだろう」
「楽観視はできねぇが。ミレーネを信じるしかねぇな」
アーロンと話しているところにミレーネが入ってきた。
「アーロン様、レオンダイト様、お話中のところ申し訳ありません。ようやく配置が整いました」
「うむ。では聞かせてくれ」
「はい。まず相手の出鼻を挫くため。最高戦力であるアーロン様、レオンダイト様、ウルファス様に敵の第一陣を葬ってもらいます」
「妥当だな」
「えぇ、ですがゴレオン将軍は、レオンダイト様の奇策ばかりを見てきた方。このような常道にすぐに対応できないでしょう。何か裏があると思っている間に第一陣を葬れれば良いかと」
「兄貴、久々に3人で暴れられる機会を作ってもらえたんだ。俺たちで戦争の口火を切ってやろうぜ」
「相手は主導権を渡さないってことか。ミレーネ、これで行く。3人がいない間の指揮官だがリリアとバルバラとホワイティに任せる。ミレーネはその鬼謀にて支えてくれ」
「はい。アーロン様のことをよろしくお願いいたしますレオンダイト様」
「あぁ、わかっている」
戦場を見つめる男の目には何が映っているのだろう。魔王軍の大将ゴレオンが静かに戦場を見つめていた。
「(レオンダイトが党首に戻ったか。アヤツは奇策を好む男。アーロンもそれを継いでいたな。真っ向から来ないだろう。裏を固めておくことにするか)第一陣を前に出せ。他を後方を固めよ」
「ゴレオン、後方を固める必要なんてねぇ。全軍投入で一思いに滅ぼしちまおうぜ」
「にぃちゃん、ゴレオンには考えがあるんだなぁきっと。ここは黙って聞いておく方が良いんだなぁ。ゴレオンのが吸血鬼について詳しいんだし」
ルグスは蜂蜜を啜りながらロバトを静止する。
「うむ。レオンダイトは奇策を好む男。隙を見せるわけにはいかない。第一陣には最高戦力であるロバト殿も行ってもらいますぞ」
「わかったんだなぁ。相手を踏み潰してやるんだなぁ」
「まぁ怪力無双のルグスなら問題ねぇだろ。相手の第一陣がやられて相手が動揺で歪む姿を想像するだけで俺は俺はあぁ策が策が頭に浮かんでくる」
奇しくもお互いが常道にてぶつかることとなる。勝つのは吸血鬼の最高戦力か魔王軍の最高戦力か。戦いの火蓋が幕を上げる。
「兄貴、俺は党首の器じゃねぇよ。兄貴の影で動き回る方が向いてんだ」
「アーロン、純血戦争からお前が吸血鬼を率いてくれたのだ。皆、急な当主の変更に納得しないだろう」
「いや、それがよ。提案したらまさかの1発承認。皆、兄貴が党首、俺が副党首で引っ張ってくれてた昔が懐かしいらしいぜ」
「わかった。皆とアーロンの期待に応えねばな」
「兄貴、押し付けちまってすまねぇ」
「気にするな。この戦にて、お前と俺の力を魔王国に見せつけてやるとしよう」
2人の会話にリリア、セリア、ウルファス、バルバラ、ミレーネ、ホワイティが参加する。
「あら、レオン。勿論私もそれに含まれてるわよね」
「リリア、勿論だよ。クレオやリリのためにもこの戦負けるわけにはいかない」
「えぇ、必ず勝ちましょう」
「リリ様や非戦闘員のことは私にお任せください。ラーキア城にて、お守りいたします」
「セリア、よろしく頼んだよ。戦が始まれば、怪我人も多く運ばれてくるだろう。医療班の準備も忘れぬように」
「承知しました」
「兄上、俺も久々に暴れさせてもらいますよ」
「頼りにしているぞウルファス」
「あぁ、久々に兄弟3人でだな」
「アーロン兄上、党首の仕事で、指揮ばかりで腕は鈍っておりませんでしょうな」
「ウルファス、言ってくれるぜ全く。見せてやるよ。本来は戦闘狂だってところをな」
「アーロン様、私はレオンダイト様と共に後方にて作戦立案をさせてもらいます」
「あぁ、ミレーネ。そのことなんだが兄貴は前線に出る。作戦立案は全てミレーネお前に一任するとのことだ」
「レスト公爵家きっての策略家である其方に任せる」
「ミレーネ、頑張るのだぁ」
「バルバラ様まで、わかりました。神算鬼謀の策略にて皆様をお守り致します」
「ウル、私も戦場に行くわよ」
「ホワイティ、子供たちもまだ小さいお前はそばにいても良いのだぞ」
「いいえ、負けたら全てが終わりだもの。それに魔王に奴隷にされるだけだわ。なら戦えるものは1人でも多い方が良いでしょう」
「子供たちのことは私にお任せください」
「セリアもこう言ってくれてるし。良いわよね?」
「あぁ、勿論だ。君のことは俺が守る」
「あら、私は守られてばかりの女子ではなくてよ」
「そうであったな」
そして、魔王の進軍が始まり、吸血鬼領への大将がゴレオンだとわかる。
「よりにもよってゴレオン将軍とはな」
「兄貴、魔王の奴。戦いにくい相手を持ってきたな」
「あぁ、多くの戦場で共に前線を張ってきた中だ。お互いの手の内を知り尽くしている。だがそれは俺のだが。今回はその全てをミレーネに任すことにした。読めはしないだろう」
「楽観視はできねぇが。ミレーネを信じるしかねぇな」
アーロンと話しているところにミレーネが入ってきた。
「アーロン様、レオンダイト様、お話中のところ申し訳ありません。ようやく配置が整いました」
「うむ。では聞かせてくれ」
「はい。まず相手の出鼻を挫くため。最高戦力であるアーロン様、レオンダイト様、ウルファス様に敵の第一陣を葬ってもらいます」
「妥当だな」
「えぇ、ですがゴレオン将軍は、レオンダイト様の奇策ばかりを見てきた方。このような常道にすぐに対応できないでしょう。何か裏があると思っている間に第一陣を葬れれば良いかと」
「兄貴、久々に3人で暴れられる機会を作ってもらえたんだ。俺たちで戦争の口火を切ってやろうぜ」
「相手は主導権を渡さないってことか。ミレーネ、これで行く。3人がいない間の指揮官だがリリアとバルバラとホワイティに任せる。ミレーネはその鬼謀にて支えてくれ」
「はい。アーロン様のことをよろしくお願いいたしますレオンダイト様」
「あぁ、わかっている」
戦場を見つめる男の目には何が映っているのだろう。魔王軍の大将ゴレオンが静かに戦場を見つめていた。
「(レオンダイトが党首に戻ったか。アヤツは奇策を好む男。アーロンもそれを継いでいたな。真っ向から来ないだろう。裏を固めておくことにするか)第一陣を前に出せ。他を後方を固めよ」
「ゴレオン、後方を固める必要なんてねぇ。全軍投入で一思いに滅ぼしちまおうぜ」
「にぃちゃん、ゴレオンには考えがあるんだなぁきっと。ここは黙って聞いておく方が良いんだなぁ。ゴレオンのが吸血鬼について詳しいんだし」
ルグスは蜂蜜を啜りながらロバトを静止する。
「うむ。レオンダイトは奇策を好む男。隙を見せるわけにはいかない。第一陣には最高戦力であるロバト殿も行ってもらいますぞ」
「わかったんだなぁ。相手を踏み潰してやるんだなぁ」
「まぁ怪力無双のルグスなら問題ねぇだろ。相手の第一陣がやられて相手が動揺で歪む姿を想像するだけで俺は俺はあぁ策が策が頭に浮かんでくる」
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