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最終章 第二幕

第10話 人魔戦争(ドラグーン飛空挺団編)

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 ドラグーン飛空挺団と魔王国の戦いは、膠着状態に入り1年を迎えようとしていた。魔王国の全世界同時侵攻に対し、迎え撃っていたドラグーン飛空挺団は、この期間、敵の援軍もこちらの援軍もないことをデュラハムは安心と心配の入り混じった感情を抱いていた。それはどの国も滅んでいないことの確認でもあり、同時にどの国も戦が終わっていないことの確認でもあったからだ。現在ドラグーン飛空挺団が防衛をしている地は、高い山々に囲まれている聖龍の谷と違い滝や川、森などの自然が豊かな地である。この自然を傷つけず、敵を倒していた。
「開戦して1年か。向こうにも援軍はないがこちらにも援軍は無い。どうなっているのかわからぬが崩れればそこから崩されるだろう。何としても耐えねばならぬ」
「何を悩んでおられるのです」
「ドラミスト。なんとか耐えている状況に少し辟易してしまってな」
「では、思い切って」
 その時、血相を変えた竜騎士が入ってきた。
「デュラハム様、邪竜族です。敵に邪竜族の援軍が現れました」
「なんだと!?ということはドラグラム王は、負けたのか」
「デュラハム様の提案を聞き入れなかった時点で父上の運命は決まっていたのでしょう。姉上や母上は」
「それが、邪竜族の奴隷として連れられているどころか皆、邪竜族の子供を戦場に産み落としておられます」
「まずいかもしれません。お前たちもこうしてやるという脅しです。聖龍の士気が下がるかも」
「なんということをすぐにお助けせねば」
「なりませぬ。邪竜族に犯された聖龍は邪竜に変化するのです。それが戻ることは2度とありません。姉上や母上のことを思うのであれば、これ以上苦しまぬように命を断つべきです」
「しかし、それではあまりにも」
「躊躇いは、まだ無事なここにいる私たちをも巻き込むことになります。父上や母上、姉上もいない以上、ここにいる私たちが聖龍族の最後の生き残りなのです。デュラハム様、御決断を」
「わかった。全軍に通達せよ。邪竜族を迎え撃て。悪魔から救ってやるのだ」
「はっ」
 そう、聖龍の谷を攻略して、ドラムスを気絶させた邪竜族の男は1年かけて、聖龍共を邪竜に染め上げていった。初めは意味がわからなかったがドラグラムの妻だった者や娘の姿が邪竜に変わったあたりから理解したこの男は徹底的に聖龍共を凌辱し、邪竜を産み落としさせ続けた。この結果、どんどん聖龍が邪竜に変わったどころか従順になり、可愛くなってくる。この邪竜族の男はドラグラムの妻と娘を自分専用にした。そう邪竜族になったあたりから2人を優しく愛してやった。そうすることで身も心も依存させたのだ。この邪竜族の男の名をドラブラと言い。ドラムスの兄に当たる。本来次の丞相になるはずだったのだが新魔王に丞相に任命されたのは妹のドラムスだった。そいつは女だとアンドレに言うとそれがどうしたと言われ、屈辱を味わったドラブラは、聖龍の谷を滅ぼした後、聖龍の谷で邪竜国家を建国した。勿論魔王国の属国としてだ。それゆえアンドレも罰を与えることはしなかった。いやコマとして使い潰してやろうと苦戦しているドラグーン飛空挺団戦への援軍に向かわせたのだ。
「このような敵に苦戦するとはアンドレの10神将孟徳大したことはないな」
「くっ」
「ならばお前なら簡単にできると言うのだな」
「策もなくどうすると言うのだ」
「まぁ見ていろ」
 ドラブラはそう言うと2人の女から新たな邪竜族を産まれさせていた。そしてすぐに次の子を仕込む。
「聖龍がこんなに邪竜と相性が良いとは思わなかった。ククク。僅か1年で邪竜族の数は6倍ぞ。2ヶ月で産み落としてくれるからな」
「あぁん。もっともっとドラブラ様の子を私に」
「母様ばかりずるい。どうか私に」
「ハハハ。愛い奴らめ。安心しろ2人とも抱いてやる」
「あぁん、嬉しい」
「ドラブラ様~ん」
 その数がいきなり現れた。しかも空中戦だ。しかも戦場でもどんどん次の邪竜族が産まれる。しかも成長した状態でだ。士気が下がり、あぁはなりたくないと逃げようとする聖龍たちにドラミストが一喝した。
「逃げることは許しません。かつての同族のあのような姿を見て、怯えるのも無理はないでしょう。ですが私たちが逃げてもあの膨れ上がった邪竜族から逃げることなどできません。そう戦い勝つことしか生き残る道はないのです。我らが主人を信じて、敵を撃破するのです」
 怯えていた聖龍たちも気合を入れて、邪竜族に攻撃を開始しようとしたその時。大きな空を飛ぶバトルシップが現れた。
「デュラハムの兄ちゃん、すまねぇな。遅れちまってよ。クラフト共和国のガンテツ様が援軍に来てやったぜ。お前らありったけの龍槍をぶちかましてやれぇい」
「ガンテツのおっさん、助かったぜ」
 グラフト共和国のバトルシップから繰り出される龍槍により、邪竜たちに甚大な被害が出たのだった。
「おいおい、ふざけやがって、そいつらは俺の邪竜国家の家臣達だぞ。まぁ減らされても増やせば良いだけだからなんの問題もねぇけどよ」
 また新たに産まれ出る邪竜族にイタチごっこの様相となるかに思われた。
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