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5章 束の間の平穏
第10話 そろそろ魔頂村に帰る
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リリーと遊び疲れて寝ていたクレオが目を覚ます。
「ふわぁ~よく寝た」
「おはようございますクレオ様」
「セリア?」
「あれっリリーは?」
「リリア様にお返ししましたよ」
「何でだよ~もっと遊びたかったのに」
「レオンダイト様もクレオ様がリリー様を離してくれないと嘆いておられましたから。今頃は3人で寝室に居られるかと」
「行ってくる~」
「えっ?お待ちくださいクレオ様」
セリアの静止も聞かずに寝室に突撃するクレオ。
「クレオ、ノックぐらいしなさい」
「母様、ごめんなさい。リリー、にぃにぃだぞ」
レオンダイトにより止められるクレオ。
「シー、ママのおっぱいを飲んでスヤスヤだから起こしたらダメだよ」
「えーもっと遊びたかったのに」
「クレオは妹ができてよっぽど嬉しいのね」
「うん」
「クレオ、悪いけどここで話すとリリーが起きるから、何か用があったなら執務室に行こうか」
「リリーと遊びたかっただけだから父様に用事はないからもう帰るよ」
「そうか」
「冗談だよ。父様」
レオンダイトと執務室に向かうクレオ。
「新魔王について何だけど、」
「クレオが寝ている時にユタ先生から聞いた」
「えっ、あっそうかユタはホープシティでモネさんと一緒に居たから知ってるんだった」
「それだけかい?」
「まぁ取り急ぎ伝えないと行けないのはそれだけかな。リリーと離れるの辛いな~魔頂村に連れて行っても良い?」
「ダメに決まってるだろ。僕もそろそろ孫の顔が見たいよ」
「うーん。そんなに早くは無理だよ~」
「だよなぁ。まぁいつでも帰っておいで」
「うん」
立ち去ろうとするクレオにレオンダイトが思い出す。
「あっクレオ、ちょっと待って、イスルギって知ってるかい?」
「誰、それ?」
「知らない人かい?手紙が来てたからてっきり知ってる人かと」
「うーん。ごめん全く身に覚えがないなぁ」
「クレオ宛だったから開けてないんだ。中身を確認してもらえるか?」
クレオはレオンダイトから封筒を受け取り中身に目を通し、唖然となる。
「どうした?」
「父様、不味いことが起こってるみたいだ」
「えっ?」
「枝垂桜海洋国家の盟主、織田武《オダタケシ》殿が吸血鬼軍との同盟を望んでいるそうです」
「急にどうして?」
「イスルギが枝垂桜海洋国家への亡命を願い出たときに融和な吸血鬼のことを話したそうです。そして、貿易だけではなくこの度軍事同盟を結びたいと。隣国であるビースト連合と緊張状態にあるらしいです」
「ビースト連合とだと。獣人至上主義国家と枝垂桜海洋国家が揉める理由は、わからんがそういうことならアーロンに伝えるとしよう」
「その際、僕とヘルハウンドのリリにも同席して欲しいとのことです」
「リリも?」
「えぇ、どうやらこのイスルギという者とリリが知り合いみたいです」
「成程、だが今は新魔王の全世界停戦により、会うのは困難となろう」
「このイスルギという男の亡命は認めなかったそうです。理由はリグレスト聖教国の内乱における援軍として返したと」
「成程リグレスト聖教国の人間同士なら停戦には当たらないからか考えたな。我々としてもザイール殿に勝ってもらいたいその援軍に傭兵として最強だった男が駆け付けるならその可能性は数倍に跳ね上がる」
「えぇ、織田武殿はどうやらかなりの知恵者であり、先見の明がある人物と言えるかと」
「クレオとどちらが賢いかな」
「相手にはしたくありませんね」
「ザイール殿と同等クラスかそれ以上ということか」
「味方としては心強いですが一度敵に回ると嫌って事です。被害が甚大になりそうで」
「成程、勝てないわけではないと」
「まぁ被害を度外視にしても構わないなら」
「困るな」
「でしょ。なら喧嘩はしない事です。幸い向こうから同盟の提案ですから」
「そうだな」
「もう他に僕に伝言はありませんか?」
「あぁ」
「では、もう帰ります」
「クレオ、気をつけてな」
「父様も」
クレオは転移魔法で魔頂村に帰る。
魔頂村では、朱雀みたいなのが守備隊のダスティルとやり合っていた。
「私は玲王様に用があるとそう言っているでしょ」
「ふざけるな。従魔では無い魔物のお目通りを簡単に許す守備隊は居ない」
「ダスティル、通して良い」
「クレオ様、いつお戻りにって、えっ通せとかしこまりました」
「チュンコ、大きくなったなぁ」
「玲王様~お伝えしたいことがありこちらに参りました」
「そかそか、じゃあこれ飲んでね」
杯に血を並々に注ぐ。
「はい。あっ美味しい」
「契約完了だね。これで、もう襲われないからね」
「はい。って違うんです。玲王様にお伝えしないといけないことが、アイツがこの世界に来てるらしいんです」
「アイツ?」
「はい。玲王様の命を奪った憎きアイツです」
「はっ?なんで?誰だよ?ぶっ殺してやる」
「新魔王です!」
「へぇーつくづく縁があるんだなぁ。アイツに復讐する機会をもらえるなんて、今度はしくじらない絶対に」
「興奮してはダメです。冷静にこの世界に来てからここまで歩んで来られた仲間の皆様と共に討ち果たせば良いのです。1人で背負えばまた同じ結果になりかねませんよ」
「あぁ、そうだな。ありがとうチュンコ」
新魔王誕生時に感じたじわりとまとわりつくような嫌な感じはこれだったのか。ここでも空回りして僕が死んだら目も当てられないな。
「ふわぁ~よく寝た」
「おはようございますクレオ様」
「セリア?」
「あれっリリーは?」
「リリア様にお返ししましたよ」
「何でだよ~もっと遊びたかったのに」
「レオンダイト様もクレオ様がリリー様を離してくれないと嘆いておられましたから。今頃は3人で寝室に居られるかと」
「行ってくる~」
「えっ?お待ちくださいクレオ様」
セリアの静止も聞かずに寝室に突撃するクレオ。
「クレオ、ノックぐらいしなさい」
「母様、ごめんなさい。リリー、にぃにぃだぞ」
レオンダイトにより止められるクレオ。
「シー、ママのおっぱいを飲んでスヤスヤだから起こしたらダメだよ」
「えーもっと遊びたかったのに」
「クレオは妹ができてよっぽど嬉しいのね」
「うん」
「クレオ、悪いけどここで話すとリリーが起きるから、何か用があったなら執務室に行こうか」
「リリーと遊びたかっただけだから父様に用事はないからもう帰るよ」
「そうか」
「冗談だよ。父様」
レオンダイトと執務室に向かうクレオ。
「新魔王について何だけど、」
「クレオが寝ている時にユタ先生から聞いた」
「えっ、あっそうかユタはホープシティでモネさんと一緒に居たから知ってるんだった」
「それだけかい?」
「まぁ取り急ぎ伝えないと行けないのはそれだけかな。リリーと離れるの辛いな~魔頂村に連れて行っても良い?」
「ダメに決まってるだろ。僕もそろそろ孫の顔が見たいよ」
「うーん。そんなに早くは無理だよ~」
「だよなぁ。まぁいつでも帰っておいで」
「うん」
立ち去ろうとするクレオにレオンダイトが思い出す。
「あっクレオ、ちょっと待って、イスルギって知ってるかい?」
「誰、それ?」
「知らない人かい?手紙が来てたからてっきり知ってる人かと」
「うーん。ごめん全く身に覚えがないなぁ」
「クレオ宛だったから開けてないんだ。中身を確認してもらえるか?」
クレオはレオンダイトから封筒を受け取り中身に目を通し、唖然となる。
「どうした?」
「父様、不味いことが起こってるみたいだ」
「えっ?」
「枝垂桜海洋国家の盟主、織田武《オダタケシ》殿が吸血鬼軍との同盟を望んでいるそうです」
「急にどうして?」
「イスルギが枝垂桜海洋国家への亡命を願い出たときに融和な吸血鬼のことを話したそうです。そして、貿易だけではなくこの度軍事同盟を結びたいと。隣国であるビースト連合と緊張状態にあるらしいです」
「ビースト連合とだと。獣人至上主義国家と枝垂桜海洋国家が揉める理由は、わからんがそういうことならアーロンに伝えるとしよう」
「その際、僕とヘルハウンドのリリにも同席して欲しいとのことです」
「リリも?」
「えぇ、どうやらこのイスルギという者とリリが知り合いみたいです」
「成程、だが今は新魔王の全世界停戦により、会うのは困難となろう」
「このイスルギという男の亡命は認めなかったそうです。理由はリグレスト聖教国の内乱における援軍として返したと」
「成程リグレスト聖教国の人間同士なら停戦には当たらないからか考えたな。我々としてもザイール殿に勝ってもらいたいその援軍に傭兵として最強だった男が駆け付けるならその可能性は数倍に跳ね上がる」
「えぇ、織田武殿はどうやらかなりの知恵者であり、先見の明がある人物と言えるかと」
「クレオとどちらが賢いかな」
「相手にはしたくありませんね」
「ザイール殿と同等クラスかそれ以上ということか」
「味方としては心強いですが一度敵に回ると嫌って事です。被害が甚大になりそうで」
「成程、勝てないわけではないと」
「まぁ被害を度外視にしても構わないなら」
「困るな」
「でしょ。なら喧嘩はしない事です。幸い向こうから同盟の提案ですから」
「そうだな」
「もう他に僕に伝言はありませんか?」
「あぁ」
「では、もう帰ります」
「クレオ、気をつけてな」
「父様も」
クレオは転移魔法で魔頂村に帰る。
魔頂村では、朱雀みたいなのが守備隊のダスティルとやり合っていた。
「私は玲王様に用があるとそう言っているでしょ」
「ふざけるな。従魔では無い魔物のお目通りを簡単に許す守備隊は居ない」
「ダスティル、通して良い」
「クレオ様、いつお戻りにって、えっ通せとかしこまりました」
「チュンコ、大きくなったなぁ」
「玲王様~お伝えしたいことがありこちらに参りました」
「そかそか、じゃあこれ飲んでね」
杯に血を並々に注ぐ。
「はい。あっ美味しい」
「契約完了だね。これで、もう襲われないからね」
「はい。って違うんです。玲王様にお伝えしないといけないことが、アイツがこの世界に来てるらしいんです」
「アイツ?」
「はい。玲王様の命を奪った憎きアイツです」
「はっ?なんで?誰だよ?ぶっ殺してやる」
「新魔王です!」
「へぇーつくづく縁があるんだなぁ。アイツに復讐する機会をもらえるなんて、今度はしくじらない絶対に」
「興奮してはダメです。冷静にこの世界に来てからここまで歩んで来られた仲間の皆様と共に討ち果たせば良いのです。1人で背負えばまた同じ結果になりかねませんよ」
「あぁ、そうだな。ありがとうチュンコ」
新魔王誕生時に感じたじわりとまとわりつくような嫌な感じはこれだったのか。ここでも空回りして僕が死んだら目も当てられないな。
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