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4章 聖血戦争とクーデターの結末

第7話 戦況とアランの密偵力

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顔を真っ赤に腫らしたアーロンが陣幕から出てくると待っていたクレオに驚き「クレオ?まだ居たのか?てっきりリリたちの前線砦に向かったものだと」と言うので、クレオは「アーロン叔父様から戦況の確認とアラナミによる情報収集力を御見せしようと御待ちしていたのです」と返した。バルバラやミレーネは、アランを睨み付けている。アーロンは、アランの妖艶さにやられたらしく惚気た表情で戦況の説明をし始めた。「えーっと、ゴホン、現在我々は5戦場にて、敵を食い止めている状況だ。1つ目は、兄貴が応援に駆けつけたレブラ砦にて、ダルタンたちがヴァンパイアハンターと交戦中だ。2つ目は敵から奪った新兵器ライトデスガンの拠点にて、クレオの従魔たちが冒険者ギルドと交戦していたがどうやら戦況不利と判断した冒険者ギルドが撤退したらしい。今のところは落ち着いているとのことだ。3つ目は、王侯貴族3家がバーン8世法皇をヴァンレス川にて食い止めている。4つ目は、クレオの妻であるクレハたちが傭兵たちとチヌマ砦にて毎日小競り合いをしている。相当疲弊しているようなので危険かもしれん。そして5つ目は、本陣であるここだ。毎夜夜襲を仕掛けられて、ほとんど眠れず疲れが堪り、精神に異常をきたすものが後を経たぬ。ミミが薬でなんとかしてくれているのだがまるで魔法が切れたかのようにぐたっとなる。こんなに長いこと防衛戦をしたのは初めてなので相当堪えているのやも知れん」。話を静かに聞か終わるとクレオは対抗策について話す。「ではまず、毎夜本陣に奇襲とのことですが相手の兵数はわかりますか?」クレオの言葉にアーロンはクエスチョンマークを浮かべる。「兵数も何も矢を射かけてきたり、太鼓で騒いだらするだけだからわからんが」「なら、昼と夜、逆転させましょう。昼間、必要最低限の兵で敵を食い止め、夜にこちらから敵部隊に奇襲を仕掛けます。夜に寝られないのなら昼間に寝るのです」「何馬鹿なこと言ってんだクレオ。昼間は戦やってんだぞ。寝れるわけが」「僕が開発したこれを耳に詰めてみてください」「なんだコレ?」アーロンはクレオから手渡されたスポンジを丸めたようなものを耳にはめてみた。「んんんんん?」アーロンはクレオが何を言ってるか聞き取れなかったので、耳のそれを取る。「どうでしたか?」「なんだよ。これ何も聞こえなかったぞ」「それは耳栓と言い。外の音をシャットダウンする時に用いるものです」「クレオ、お前こんなくだらないものを」そう言ったアーロンの耳をミレーネが強く引っ張り「イテテテテテ」と言うアーロンに「クレオ様のコレは今まさに役に立つのでは」と叱責する。アーロンはミレーネの叱責を受けハッとするとまだ戦えるものと疲れ果てているものを分け疲れ果てているものにクレオの耳栓を配り仮眠を取らせた。みんな暫くするとスースーと寝息を立て眠り始めた。

クレオは、さらに続ける「戦で精神に異常をきたす理由で多いのがストレスです。その緩和のためにもよく食べて寝ることは大事です。起きている皆さんには僕が料理を振る舞いましょう。食べて英気を養ってください」その言葉に吸血鬼たちは「どうせまたカンパンだろ」と冷ややかだった。クレオは、極上の血であるラットモーグルの生き血を搾り、ミミの乳という万能薬を合わせた特製の回復薬ことイチゴ牛乳もどきを作り、温かい料理のため、じゃがいもやブロッコリーにニンジン、タマネギなどの入ったホワイトシチュー。主食に血を抜ききったラットモーグルに小麦粉と卵にパン粉をつけてカリッと焼く。「できたよ。クレオ直伝、ラットモーグルのとんぺい焼きと野菜のゴロゴロシチューにイチゴ牛乳を添えて。さぁ召し上がれ~」吸血鬼たちは久々の美味しい料理に一喜一憂し、士気がみるみるうちに回復したのだった。「クレオは本当になんでもできるのだな。叔父として俺も鼻が高いぞ。伝令居るか?」「はっここに」「クレオの料理を各戦場に届けてくれるか?」「はっ、喜んで」伝令はそういうと自分の分を急いで食べ終わり、荷台を持ってきて、魔法で溢れないように蓋を閉じ手際よく乗せていき、こちらに振り向いて敬礼した後、荷台を押して各戦場に届けに向かった。クレオも皆と温かい料理を食べるとアーロンを交えて、アランの知り得た情報の共有を行う。

「アラナミ、ではお前が知った情報を話せ」「御館様、御意にございます。リグレスト聖教国にて、シャドウと共にバーン8世法皇の周辺に探りを入れたところ、どうやら新兵器である2つを秘密裏に製作したのがノエルという女性であり、バーン8世法皇はあまりの美しさに惚れ込み愛人契約を結びました。そのノエルの兄がリグレスト聖教国の軍師ことザイールとのことです」「おいおいおい、待て待て、どうしてそんなに詳しいんだ。俺もリグレスト聖教国には、密偵を放っているがそんな情報は、一切入ってこなかった。たった、数日潜り込んだだけでわかる量じゃねえぞ」「お褒めいただき恐縮ですわ。ア・ー・ロ・ン・さ・ま」アランの少し熱のこもった言い方に悪い気はしない、アーロンの顔がどんどん赤くなる。「アラナミ、アーロン叔父様を揶揄っちゃ行けないよ」「これは御館様、失礼いたしました。あまりにもウブでいらっしゃるので、つい。それに全然タイプではありませんことよ」全然タイプではないと言われて、不貞腐れるアーロン。それを見てクスクスと笑いながら「私たちはそんなアーロンのことが好きよ」と慰めるバルバラとミレーネ。アーロンは2人の愛で平静を取り戻す。「でもよ。それにしてもコボルトにこれほどまでの密偵力があったことに驚きだぜ俺は」というアーロンにクレオは「情報を制するものが全てを制しますからアラナミには徹底的に密偵のスキルに磨きをかけさせました。最近は僕ですらどこにいるのかわからない時がありますよ」「御館様に気付かれないなんて嫌ですわ。これからは少し抑えますわね」「いや、もっと磨きをかけてくれて良いんだよ」「でも気付かれないのは不安ですわ」「気付かれないなんてよ。そこまで溶け込めてるってことなんだから最高の褒め言葉だぜ」「アーロン叔父様のいう通りだよ。アラナミこれからも磨きをかけてね」「御館様がそこまで言うのでしたら。わかりましたわ」アランの情報により敵の軍師と新兵器を作った者の情報について共有は完了した。次はクレハたちの救援に向かうとしよう。
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