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3章 領地改革と帝国の襲来
第19話 魔頂村の南にて砦の建設
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【クレオ視点】
リリたちが北の防衛砦に向かった後、エレインがアランに敵の指揮官を聞いている。
「アラン殿、敵の主だった指揮官はわかるか?」
「聖騎士と名高いアーサー・クラウンの麾下5000の精鋭騎馬兵、アーサーの右腕ガウェイン・アームの麾下2000の重装歩兵、アーサーの許嫁グィネヴィア・ブライドの麾下1000の軽騎兵+奴隷の軽歩兵2000の総勢10000とのこと」
「そこまでわかれば十分。全くここまで調べられる魔族がいることに脱帽よ」
「お褒め頂き恐縮ですわぁ~。ですが御館様の御身を守るため情報は命ですからねぇ~」
「よくやったアラナミ」
「エレイン、元仲間と戦うのが辛かったら無理しなくていいんだよ」
「クレオ様、御心遣いありがとうございます。ですが心配無用。私はクレオ様の妻の1人ですから夫を守るは騎士であり妻の務め」
「私もクレオ様を守るためにコテンパンにしちゃうんだからぁ」
「アリッサ殿、それは頼もしい。共にこの死地を乗り越えましょうぞ」
「もちろんよ。エレイン」
士気は高いが村で籠城戦は向かない手を考えねばなるまい。
「エレイン、ランスホース帝国から魔頂村まで最短でどれほどかかる?」
「騎馬隊のみなら1ヶ月ほどの行軍ですが今回は歩兵も伴っています。しかも聖騎士と名高いアーサー殿なら無茶はしないでしょう。それでも2ヶ月あれば良い方かと」
2ヶ月か、間に合うか賭けだがやらなければ我々が滅ぶ。
座して死を待つぐらいならやるぞ。
「わかった。ここより南の平原にて要塞砦の建設を行う。動けるものを集めてくれ」
「今から要塞砦の建設なんて間に合うわけが」
「間に合わなければ全滅だ。こちらの兵数は多く見積もって1000、向こうは10000、この村で籠城は無理だ。それにいい機会なんだ。南の平原まで領土を広げようと思っていた」
「それなら明日やってくるオーク好きお見合い会員も総動員しましょう。エルフは建築もできますから」
「ナチュラ、それは有難い。是非頼む」
「了解いたしました」
子育てをする者達と村にたまにやってくる魔物や魔族の討伐用の兵で半分を残し、残りの者で南の平原に要塞砦を建築しに向かう。
僕は予め加工しておいた長方形の石の塊を取り出し、組み立て方を指示する。
それを横で見ていたエレインが不思議そうに尋ねる。
「クレオ様、まさか予め準備していたのか?」
「ランスホース帝国が攻めてくる予想は立ててたからね。確信に近いものを得たのは奴隷商人の件だけど」
「ハハハ。先々を見通す力、私は良き夫を得たのやも知れぬ」
「そんなに褒めないでよ~照れちゃうから」
積み立てて行き、1日で外枠の下地ができてしまった。
翌日からはオークとの見合いに訪れていたエルフ達も合流し、さらに速度が向上。
下地の上にどんどん石垣を築き、15日後には立派な要塞の形となっていた。
ここからは、内側を整えつつ四隅に監視櫓、石垣の中からも弓矢を一方的にいかけられるように作った仕掛け石、石を横にずらすと穴になっていてそこから狙えるのだ。
さらに四隅の監視櫓から監視櫓への道には屋根型で覆い、向こうからの弓を遮断しつつこちらからは弓矢をいかけられるようにこれも仕掛け石による穴を作っている。
嵌め込み式の利点である。
現実世界で親しんだジェンガという積み木崩しから構想を得て作った。
内側に兵士たちの寄宿舎と厩、食堂とトイレの設置、自給自足のため畑も作り、かがり台を置き、大まかではあるが完成となる。
四隅の監視櫓と道の整備などで15日かかり、内側を整える頃にはランスホース帝国が到着すると言っていた期日まで残り10日ほどになっていた。
シュテンが驚きながら言う。
「まさか間に合うとは思いませんでしたぞ殿」
「あぁ、なんとかなったね」
「全く、この要塞なら10000の兵なぞ軽く蹴散らしてくれましょうぞ。ガハハ」
「ハハハ。それはどうかわからないけどね。皆、よく頑張った。今日は要塞完成の宴だ~」
「うぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーー」
オークとのお見合いに来ていたエルフ100人はそのままリンの指揮下に入り共に戦うとのことだ。
リンは宴の10日前に可愛いダークエルフの女の子を出産した。
エルフェアリーナ王国の援軍を取り付け帰る際に立ち寄ってくれたバットンが知らせてくれ、すぐに出産に立ち会わせるためにダスティルを帰らせた。
ダスティルはこの場を放置して帰ることはできないと渋っていたが説得した。
子は宝だ。
できるだけ立ち会わせてやりたいってのが僕の考えだ。
そして、昨日リンとダスティルが娘を連れて、合流したのだ。
「クレオ様、みてやってください」
リンに抱かれている子供を見て、ほっぺをツンツンする。
「これは可愛い。ほっぺプニプニだぁ~」
キャッキャウフフしている~癒される~守りたいこの笑顔。
「名前なのですがクレオ様から頂いた名であるダスティルからティを頂きそこにリンを足してリンティ・リーディスにしました」
「いい名前だねダスティル。リンティ、いっぱい遊んで寝て大きくなるんだぞ~」
「ふわぁ~」
こんなにいっぱいの目に晒されて泣きもせず終始笑顔で居てくれたダスティルとリンの可愛い天使は欠伸をした後スヤスヤと寝息を立て始めた。
宴の主役を可愛いリンティに掻っ攫われたがみんな笑顔で飯を食べ酒を飲み大いに楽しみ夜も更けていった。
リリたちが北の防衛砦に向かった後、エレインがアランに敵の指揮官を聞いている。
「アラン殿、敵の主だった指揮官はわかるか?」
「聖騎士と名高いアーサー・クラウンの麾下5000の精鋭騎馬兵、アーサーの右腕ガウェイン・アームの麾下2000の重装歩兵、アーサーの許嫁グィネヴィア・ブライドの麾下1000の軽騎兵+奴隷の軽歩兵2000の総勢10000とのこと」
「そこまでわかれば十分。全くここまで調べられる魔族がいることに脱帽よ」
「お褒め頂き恐縮ですわぁ~。ですが御館様の御身を守るため情報は命ですからねぇ~」
「よくやったアラナミ」
「エレイン、元仲間と戦うのが辛かったら無理しなくていいんだよ」
「クレオ様、御心遣いありがとうございます。ですが心配無用。私はクレオ様の妻の1人ですから夫を守るは騎士であり妻の務め」
「私もクレオ様を守るためにコテンパンにしちゃうんだからぁ」
「アリッサ殿、それは頼もしい。共にこの死地を乗り越えましょうぞ」
「もちろんよ。エレイン」
士気は高いが村で籠城戦は向かない手を考えねばなるまい。
「エレイン、ランスホース帝国から魔頂村まで最短でどれほどかかる?」
「騎馬隊のみなら1ヶ月ほどの行軍ですが今回は歩兵も伴っています。しかも聖騎士と名高いアーサー殿なら無茶はしないでしょう。それでも2ヶ月あれば良い方かと」
2ヶ月か、間に合うか賭けだがやらなければ我々が滅ぶ。
座して死を待つぐらいならやるぞ。
「わかった。ここより南の平原にて要塞砦の建設を行う。動けるものを集めてくれ」
「今から要塞砦の建設なんて間に合うわけが」
「間に合わなければ全滅だ。こちらの兵数は多く見積もって1000、向こうは10000、この村で籠城は無理だ。それにいい機会なんだ。南の平原まで領土を広げようと思っていた」
「それなら明日やってくるオーク好きお見合い会員も総動員しましょう。エルフは建築もできますから」
「ナチュラ、それは有難い。是非頼む」
「了解いたしました」
子育てをする者達と村にたまにやってくる魔物や魔族の討伐用の兵で半分を残し、残りの者で南の平原に要塞砦を建築しに向かう。
僕は予め加工しておいた長方形の石の塊を取り出し、組み立て方を指示する。
それを横で見ていたエレインが不思議そうに尋ねる。
「クレオ様、まさか予め準備していたのか?」
「ランスホース帝国が攻めてくる予想は立ててたからね。確信に近いものを得たのは奴隷商人の件だけど」
「ハハハ。先々を見通す力、私は良き夫を得たのやも知れぬ」
「そんなに褒めないでよ~照れちゃうから」
積み立てて行き、1日で外枠の下地ができてしまった。
翌日からはオークとの見合いに訪れていたエルフ達も合流し、さらに速度が向上。
下地の上にどんどん石垣を築き、15日後には立派な要塞の形となっていた。
ここからは、内側を整えつつ四隅に監視櫓、石垣の中からも弓矢を一方的にいかけられるように作った仕掛け石、石を横にずらすと穴になっていてそこから狙えるのだ。
さらに四隅の監視櫓から監視櫓への道には屋根型で覆い、向こうからの弓を遮断しつつこちらからは弓矢をいかけられるようにこれも仕掛け石による穴を作っている。
嵌め込み式の利点である。
現実世界で親しんだジェンガという積み木崩しから構想を得て作った。
内側に兵士たちの寄宿舎と厩、食堂とトイレの設置、自給自足のため畑も作り、かがり台を置き、大まかではあるが完成となる。
四隅の監視櫓と道の整備などで15日かかり、内側を整える頃にはランスホース帝国が到着すると言っていた期日まで残り10日ほどになっていた。
シュテンが驚きながら言う。
「まさか間に合うとは思いませんでしたぞ殿」
「あぁ、なんとかなったね」
「全く、この要塞なら10000の兵なぞ軽く蹴散らしてくれましょうぞ。ガハハ」
「ハハハ。それはどうかわからないけどね。皆、よく頑張った。今日は要塞完成の宴だ~」
「うぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーー」
オークとのお見合いに来ていたエルフ100人はそのままリンの指揮下に入り共に戦うとのことだ。
リンは宴の10日前に可愛いダークエルフの女の子を出産した。
エルフェアリーナ王国の援軍を取り付け帰る際に立ち寄ってくれたバットンが知らせてくれ、すぐに出産に立ち会わせるためにダスティルを帰らせた。
ダスティルはこの場を放置して帰ることはできないと渋っていたが説得した。
子は宝だ。
できるだけ立ち会わせてやりたいってのが僕の考えだ。
そして、昨日リンとダスティルが娘を連れて、合流したのだ。
「クレオ様、みてやってください」
リンに抱かれている子供を見て、ほっぺをツンツンする。
「これは可愛い。ほっぺプニプニだぁ~」
キャッキャウフフしている~癒される~守りたいこの笑顔。
「名前なのですがクレオ様から頂いた名であるダスティルからティを頂きそこにリンを足してリンティ・リーディスにしました」
「いい名前だねダスティル。リンティ、いっぱい遊んで寝て大きくなるんだぞ~」
「ふわぁ~」
こんなにいっぱいの目に晒されて泣きもせず終始笑顔で居てくれたダスティルとリンの可愛い天使は欠伸をした後スヤスヤと寝息を立て始めた。
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