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1章 転生と吸血鬼を取り巻く情勢
第12話 策のための模擬戦②
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【レオンダイト視点】
我が策はここまで上手く運んでいるが次の副将戦が鬼門だ。
ウルファスは吸血鬼の血が流れていない純潔の狼族だ。
もちろん本人に出自を伝えられるわけがないので父の子ということにしてはいるが。
本来なら模擬戦とはいえ死ぬ危険性がある戦いに駆り出すべきではない。
ウルファスの力を他の吸血鬼貴族たちやエルフに知らしめようと考えたのが間違いだった。まさかくじ引きで副将を引き当てるとは思わなかった。
ウルファス用のは先鋒20枚、次鋒20枚、中堅20枚、副将1枚の特別版だったのに(苦笑)
トーマスは先鋒10枚の副将10枚、ナターシャは次鋒10枚の副将5枚、ジールは中堅5枚の副将20枚、僕が作ったから操作したつもりだったんだがこれで中堅引くとかジール何やってんだ(笑)
被った場合は僕が決める取り決めだったが見事に全員被らなかった(笑)
ジールも笑いながら『ウルファスならば遅れはとりますまい』とかいやいやジールお前は純血吸血鬼で不死だ。
ウルファスは純潔の狼族、比べてはならないぞー。
そんな回想をしていたらエイミー女王陛下が副将戦の開始を宣言した。
「お待たせしました。今より副将戦を開始する」
オオオオオオとここまで静かだった観客が大盛り上がりで耳をすませてみるとところどころから「キャーリリア様よ」とか「リリア様~頑張って」とか「リリア様なら必ず勝ってくださる」とか「リリア様が負けるなんてありえねぇよなぁ」とリリア殿の勝ちに絶対の自信がある感じだ。
リリア殿を初めてみた時に自分の好み度直球とは別にかなり戦い慣れている感じがした。
だからこそ彼女なら副将か大将だろうと読み、ジールか僕が相手をできるようにあんな不正くじ引き作ったのに(笑)
ウルファスほんと無理だけはするなよ。
「ここまで歓声の凄いリリア殿の御相手を務められるとはウルファス・レアンドロ望外の喜び」
「ウルファス殿、直ぐに終わらせちゃいますけど悪く思わないでくださいね」
リリア殿は水の魔法で水を球体の形にして放った。ウルファスを閉じ込めるつもりのようだ。あんなのくらったら間違いなく窒息待った無しだろう。しかしウルファスはもろともせず真っ正面から水の球体に突撃して、偃月刀で真っ二つに切り裂いた。
「この程度の水の魔法で俺をやれるとでも舐められたものです」
「へー、ウォーターサークルを真っ二つに切り裂かれるなんて初めてよ。ならこれはどうかしら」
リリア殿は続けて、魔法で攻めるみたいだ。今度は風の魔法だろうか、三日月の形をした複数の風の刃がウルファスに放たれた。ウルファスはそれらを交わし距離を詰めようとしていたが、急に左に飛び退いた。
「今のは危なかったですよ。間一髪でした。あの場にいたら帰ってきた三日月型の風の刃に切り裂かれるところでした」
「チッ、クレセントムーンスラッシュを交わすなんて感が良いですね。大概の魔物はこれで一撃なんですけどね。でもとても楽しいですがこれで終わりです」
リリア殿の魔法に対して防戦一方のウルファス。今度は雷の魔法だと!無数の矢の形をした物がウルファスに放たれる。ウルファスは笑みを浮かべてジグザグに矢を交わしリリア殿に近付くと偃月刀の持ち手でリリア殿の鳩尾を突いた。
「そんな闘技場を埋め尽くすライトニングアローが交わされるなんて」
「とても楽しい魔法を見せてくださりありがとうございました。ですが俺の脚力と相棒の偃月刀にかかればこんなの造作もないことです。トドメと致します」
「うっ、まだよ。ヒーリング」
リリア殿は回復魔法まで使えるのか!立ち上がろうとするリリア殿にもう一度ウルファスが決めにかかろうとするその瞬間。
「勝者ウルファス・レアンドロ」「大将戦の前に魔法で傷ついた闘技場の修復のため暫し休憩といたします」
突然エイミー女王陛下が勝者を告げたのだ。まだ戦えたであろうリリア殿は不服そうな顔を浮かべながら天幕に下がった。暫し休憩とのことなので僕も天幕に行き大金星のウルファスを労わないと。でもあんなにウルファスが強くなっていたとは思わなかった。
【リリア視点】
ウルファス殿は、本当に強かった模擬戦でなければ偃月刀で真っ二つにされてたのは私だろう。
でも回復魔法を使いまだ戦えた。
もっと楽しみたかった。
あんな強者と戦える機会なんてそうそう無い。
それだけに勝てなかったのは残念だ。
私が負ければエルフ側を4連敗。
なのに突然エイミーおねぇちゃんが勝者を告げたので不服ながらも天幕に下がってきた。
入ってきたエイミーおねぇちゃんの顔は姪っ子を心底心配する叔母さんの顔だった。
「リリアちゃん、ごめんなさいね。あのまま続けてたら酷い怪我しちゃうかもしれないって止めちゃった」
「まだまだ、戦えました。でもウルファス殿はとても強かったです。あのまま続けていれば本気を出したウルファス殿に偃月刀で切られてたかもしれません。模擬戦なのに楽しくて楽しくてはしゃぎすぎました。エイミー女王陛下に勝利の報告ができず申し訳ありません」
「良いのですよ、リリア。貴方が無事だったのですから」
エイミーおねぇちゃんに抱きしめられ頭をナデナデされた。
「それにまだラス君が居ますからね。勝負は最後までわからないものでしょう」
ニコッと笑ってエイミーおねぇちゃんは言った。
我が策はここまで上手く運んでいるが次の副将戦が鬼門だ。
ウルファスは吸血鬼の血が流れていない純潔の狼族だ。
もちろん本人に出自を伝えられるわけがないので父の子ということにしてはいるが。
本来なら模擬戦とはいえ死ぬ危険性がある戦いに駆り出すべきではない。
ウルファスの力を他の吸血鬼貴族たちやエルフに知らしめようと考えたのが間違いだった。まさかくじ引きで副将を引き当てるとは思わなかった。
ウルファス用のは先鋒20枚、次鋒20枚、中堅20枚、副将1枚の特別版だったのに(苦笑)
トーマスは先鋒10枚の副将10枚、ナターシャは次鋒10枚の副将5枚、ジールは中堅5枚の副将20枚、僕が作ったから操作したつもりだったんだがこれで中堅引くとかジール何やってんだ(笑)
被った場合は僕が決める取り決めだったが見事に全員被らなかった(笑)
ジールも笑いながら『ウルファスならば遅れはとりますまい』とかいやいやジールお前は純血吸血鬼で不死だ。
ウルファスは純潔の狼族、比べてはならないぞー。
そんな回想をしていたらエイミー女王陛下が副将戦の開始を宣言した。
「お待たせしました。今より副将戦を開始する」
オオオオオオとここまで静かだった観客が大盛り上がりで耳をすませてみるとところどころから「キャーリリア様よ」とか「リリア様~頑張って」とか「リリア様なら必ず勝ってくださる」とか「リリア様が負けるなんてありえねぇよなぁ」とリリア殿の勝ちに絶対の自信がある感じだ。
リリア殿を初めてみた時に自分の好み度直球とは別にかなり戦い慣れている感じがした。
だからこそ彼女なら副将か大将だろうと読み、ジールか僕が相手をできるようにあんな不正くじ引き作ったのに(笑)
ウルファスほんと無理だけはするなよ。
「ここまで歓声の凄いリリア殿の御相手を務められるとはウルファス・レアンドロ望外の喜び」
「ウルファス殿、直ぐに終わらせちゃいますけど悪く思わないでくださいね」
リリア殿は水の魔法で水を球体の形にして放った。ウルファスを閉じ込めるつもりのようだ。あんなのくらったら間違いなく窒息待った無しだろう。しかしウルファスはもろともせず真っ正面から水の球体に突撃して、偃月刀で真っ二つに切り裂いた。
「この程度の水の魔法で俺をやれるとでも舐められたものです」
「へー、ウォーターサークルを真っ二つに切り裂かれるなんて初めてよ。ならこれはどうかしら」
リリア殿は続けて、魔法で攻めるみたいだ。今度は風の魔法だろうか、三日月の形をした複数の風の刃がウルファスに放たれた。ウルファスはそれらを交わし距離を詰めようとしていたが、急に左に飛び退いた。
「今のは危なかったですよ。間一髪でした。あの場にいたら帰ってきた三日月型の風の刃に切り裂かれるところでした」
「チッ、クレセントムーンスラッシュを交わすなんて感が良いですね。大概の魔物はこれで一撃なんですけどね。でもとても楽しいですがこれで終わりです」
リリア殿の魔法に対して防戦一方のウルファス。今度は雷の魔法だと!無数の矢の形をした物がウルファスに放たれる。ウルファスは笑みを浮かべてジグザグに矢を交わしリリア殿に近付くと偃月刀の持ち手でリリア殿の鳩尾を突いた。
「そんな闘技場を埋め尽くすライトニングアローが交わされるなんて」
「とても楽しい魔法を見せてくださりありがとうございました。ですが俺の脚力と相棒の偃月刀にかかればこんなの造作もないことです。トドメと致します」
「うっ、まだよ。ヒーリング」
リリア殿は回復魔法まで使えるのか!立ち上がろうとするリリア殿にもう一度ウルファスが決めにかかろうとするその瞬間。
「勝者ウルファス・レアンドロ」「大将戦の前に魔法で傷ついた闘技場の修復のため暫し休憩といたします」
突然エイミー女王陛下が勝者を告げたのだ。まだ戦えたであろうリリア殿は不服そうな顔を浮かべながら天幕に下がった。暫し休憩とのことなので僕も天幕に行き大金星のウルファスを労わないと。でもあんなにウルファスが強くなっていたとは思わなかった。
【リリア視点】
ウルファス殿は、本当に強かった模擬戦でなければ偃月刀で真っ二つにされてたのは私だろう。
でも回復魔法を使いまだ戦えた。
もっと楽しみたかった。
あんな強者と戦える機会なんてそうそう無い。
それだけに勝てなかったのは残念だ。
私が負ければエルフ側を4連敗。
なのに突然エイミーおねぇちゃんが勝者を告げたので不服ながらも天幕に下がってきた。
入ってきたエイミーおねぇちゃんの顔は姪っ子を心底心配する叔母さんの顔だった。
「リリアちゃん、ごめんなさいね。あのまま続けてたら酷い怪我しちゃうかもしれないって止めちゃった」
「まだまだ、戦えました。でもウルファス殿はとても強かったです。あのまま続けていれば本気を出したウルファス殿に偃月刀で切られてたかもしれません。模擬戦なのに楽しくて楽しくてはしゃぎすぎました。エイミー女王陛下に勝利の報告ができず申し訳ありません」
「良いのですよ、リリア。貴方が無事だったのですから」
エイミーおねぇちゃんに抱きしめられ頭をナデナデされた。
「それにまだラス君が居ますからね。勝負は最後までわからないものでしょう」
ニコッと笑ってエイミーおねぇちゃんは言った。
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