209 / 520
4章 三国鼎立
博望坡を制圧せよ(急)
しおりを挟む
張飛が囮として選ばれた後、博望坡の崖上にて指揮を取る蒯越と霍篤の奇襲を命じられたのは意外な人物だった。
呂姫「私が奇襲部隊をですか?」
義賢「あぁ。不服かい?」
呂姫「ですが他にも適任が、、、いえ、やっぱりやらせてください」
張遼「姫様、よくぞ決心なされた。この張文遠が必ず御身を御守りしましょうぞ」
呂姫と張遼が出陣の準備をしに向かい、入れ替わりに荀彧と荀攸が来る。
荀彧「どうして呂姫殿を?」
荀攸「劉丁殿、これは大事な前哨戦。失敗は許されないのだ。ここは、趙雲殿か関羽殿に出てもらうべきだろう」
義賢「いえ、呂姫に任せます。失敗した場合は、俺が責任を取り、軍規によりこの首をかけましょう」
荀彧「!?そこまでの覚悟がお有りなら何も言えませんね」
荀攸「相手は知将の蒯越に猛将の霍篤だ。とても呂姫殿の手に負えるとは思えないが」
義賢「それでも、俺は呂姫に任せます」
荀攸「江夏・章陵と手柄がなくて焦っているのでは?そのような気持ちでは困るのだ」
義賢「荀攸殿は呂姫のことを甘く見過ぎだ。俺は、呂姫ならやってくれると信じている」
荀攸「信じるとか曖昧なものではならないのだ。確実性を取る必要があると申している」
義賢「確かに雲長や趙雲殿に任せるのは確実性がある。だが、同時に猛将として知られている2人だ。相手も警戒している。逃げるだろう。新野に篭られると厄介だ。それに引き換え呂姫はまだ劉備軍に加わってから日が浅く、相手に名を知られていない。油断を誘える。それに補佐には張遼殿が付いている。何を心配することがある」
荀攸「確かにその言には一理ある。そこまで言うのなら引き下がるとしよう」
義賢「納得していただき感謝する」
義賢はその場を後にし、初めて将として出陣を控えて緊張している呂姫の元に向かい言葉をかける。
義賢「呂姫、不安か?」
呂姫「義賢様!私なんかのために軍規に乗っ取り首をかけたと聞いたのです。私が失敗をしたらと不安にならないわけが無い」
義賢「呂姫、お前は蘆江の戦いの時、あの孫策殿の知恵袋である周瑜殿を罠に嵌めたのだ。何を恐れることがある。此度の蒯越は周瑜と比べて雲泥の差だ。サクッと捕らえて来い」
呂姫「さくっとですか。クスクス。本当に簡単に言ってくれますね。でもお陰で少し緊張が解れました。ありがとうございます」
義賢「呂姫、自信を持て」
呂姫「はっはい」
呂姫が準備に戻ると入れ替わりに張遼が来た。
張遼「呂布様は、姫様に戦場の経験はさせなかった。過保護と言われるかもしれんが我らにとって姫様は光なのだ。怪我をして欲しくない。笑っていて欲しいと」
義賢「まだ娘を持ったことはないが娘が産まれれば俺だってそうするだろう。娘のお前が戦場に立つ必要などないと。だが、親が子供の人生を強要してはいけないとは思わないか?呂姫は、親の反対を押し切って戦場に立つことを選んだ。そこには並々ならぬ覚悟があるはずだ。その覚悟を後押しするのもまた呂布殿から呂姫のことを預かった俺の責務だろう」
張遼「フッ。成程。劉丁殿は、誰よりも姫様のことを知っているのかもしれんな。長いことずっと一緒にいた我らよりもな」
そして今、この奇襲が成功し蒯越と霍篤に逃げられない状況を作ったのだ。
蒯越「馬鹿な!?女だと!」
呂姫「劉備軍が軍師、劉丁が配下、呂姫と申します。蒯越殿とお見受けします。御覚悟を」
霍篤「蒯越殿、ここは俺に任せて新野に撤退を」
張遼「そのようなことをこの張文遠がさせると思うか!」
霍篤「くっ。また貴様か。蘆江の時のように追い返してやろう」
張遼「やれるものならやってみよ」
霍篤と張遼が打ち合う。
霍篤「中々やる」
張遼「お前もな」
霍篤がスピードを生かして、槍を突き出すが張遼はそれを戟で防ぐ。張遼が力任せに戟で横薙ぎすると霍篤はしゃがんで交わして張遼に蹴りを入れる。
霍篤「今だ」
張遼「ぐっ。1発貰うとは」
続け様に槍を突き出すが張遼はそれを左手で掴み戟の柄で、霍篤の鳩尾を突く。
霍篤「何!?」
張遼「危なかったがそう何度も受けはせん。これで終わりだ」
霍篤「お、み、ご、と。ガハッ」
霍篤は腹を抱えて、その場にうずくまる。張遼は縄をかけ霍篤を捕える。
張遼「敵将、霍篤。張文遠が捕縛した」
劉表軍の中で猛将として知られる霍篤が捕まったことに動揺する蒯越。
蒯越「霍篤殿が捕らえられようとは、しかしこの場は何としても脱し、新野へと戻らねば」
呂姫「行かせません」
蒯越「幸い、相手の将は女だ。押し切るのだ」
呂姫の兵「姫様に手出しはさせん。我らが相手だ」
蒯越の兵「女が率いている兵になどやられるか」
呂姫が率いる兵と蒯越が率いる兵がぶつかり合う。
蒯越の兵「蒯越様は、早くこの乱戦の隙にお逃げください」
呂姫の兵「姫様、兵どもは我らが防ぎます。蒯越を捕らえてください」
蒯越の兵「行かせん」
呂姫の兵「早く姫様」
呂姫「みんな、死んだらダメだからね」
呂姫の兵「勿論です」
蒯越「くそっ。乱戦の隙を見て、逃げたのが失敗だった。まさか追いつかれようとは、しかし女1人。返り討ちにしてくれる」
呂姫「女、女と。私の名前は呂姫。蒯越殿、御覚悟」
相手を女だと油断した蒯越。自分のために主が命までかけてくれた呂姫。覚悟の差が歴然だった。蒯越は呂姫の薙刀により、馬から叩き落とされ、捕らえられる。
蒯越「うぐっ。馬から落ちようとは」
呂姫「勝負ありです」
蒯越「最早これまでか」
呂姫「ふぅ。重圧が半端なかった~。でもこれで、義賢様も大丈夫だよね」
呂姫・張遼により、捕らえられた蒯越・霍篤。ここに劉備軍は博望坡を制圧することとなった。一方、その頃、劉備率いる本隊は、新野にて攻城戦を開始していた。
呂姫「私が奇襲部隊をですか?」
義賢「あぁ。不服かい?」
呂姫「ですが他にも適任が、、、いえ、やっぱりやらせてください」
張遼「姫様、よくぞ決心なされた。この張文遠が必ず御身を御守りしましょうぞ」
呂姫と張遼が出陣の準備をしに向かい、入れ替わりに荀彧と荀攸が来る。
荀彧「どうして呂姫殿を?」
荀攸「劉丁殿、これは大事な前哨戦。失敗は許されないのだ。ここは、趙雲殿か関羽殿に出てもらうべきだろう」
義賢「いえ、呂姫に任せます。失敗した場合は、俺が責任を取り、軍規によりこの首をかけましょう」
荀彧「!?そこまでの覚悟がお有りなら何も言えませんね」
荀攸「相手は知将の蒯越に猛将の霍篤だ。とても呂姫殿の手に負えるとは思えないが」
義賢「それでも、俺は呂姫に任せます」
荀攸「江夏・章陵と手柄がなくて焦っているのでは?そのような気持ちでは困るのだ」
義賢「荀攸殿は呂姫のことを甘く見過ぎだ。俺は、呂姫ならやってくれると信じている」
荀攸「信じるとか曖昧なものではならないのだ。確実性を取る必要があると申している」
義賢「確かに雲長や趙雲殿に任せるのは確実性がある。だが、同時に猛将として知られている2人だ。相手も警戒している。逃げるだろう。新野に篭られると厄介だ。それに引き換え呂姫はまだ劉備軍に加わってから日が浅く、相手に名を知られていない。油断を誘える。それに補佐には張遼殿が付いている。何を心配することがある」
荀攸「確かにその言には一理ある。そこまで言うのなら引き下がるとしよう」
義賢「納得していただき感謝する」
義賢はその場を後にし、初めて将として出陣を控えて緊張している呂姫の元に向かい言葉をかける。
義賢「呂姫、不安か?」
呂姫「義賢様!私なんかのために軍規に乗っ取り首をかけたと聞いたのです。私が失敗をしたらと不安にならないわけが無い」
義賢「呂姫、お前は蘆江の戦いの時、あの孫策殿の知恵袋である周瑜殿を罠に嵌めたのだ。何を恐れることがある。此度の蒯越は周瑜と比べて雲泥の差だ。サクッと捕らえて来い」
呂姫「さくっとですか。クスクス。本当に簡単に言ってくれますね。でもお陰で少し緊張が解れました。ありがとうございます」
義賢「呂姫、自信を持て」
呂姫「はっはい」
呂姫が準備に戻ると入れ替わりに張遼が来た。
張遼「呂布様は、姫様に戦場の経験はさせなかった。過保護と言われるかもしれんが我らにとって姫様は光なのだ。怪我をして欲しくない。笑っていて欲しいと」
義賢「まだ娘を持ったことはないが娘が産まれれば俺だってそうするだろう。娘のお前が戦場に立つ必要などないと。だが、親が子供の人生を強要してはいけないとは思わないか?呂姫は、親の反対を押し切って戦場に立つことを選んだ。そこには並々ならぬ覚悟があるはずだ。その覚悟を後押しするのもまた呂布殿から呂姫のことを預かった俺の責務だろう」
張遼「フッ。成程。劉丁殿は、誰よりも姫様のことを知っているのかもしれんな。長いことずっと一緒にいた我らよりもな」
そして今、この奇襲が成功し蒯越と霍篤に逃げられない状況を作ったのだ。
蒯越「馬鹿な!?女だと!」
呂姫「劉備軍が軍師、劉丁が配下、呂姫と申します。蒯越殿とお見受けします。御覚悟を」
霍篤「蒯越殿、ここは俺に任せて新野に撤退を」
張遼「そのようなことをこの張文遠がさせると思うか!」
霍篤「くっ。また貴様か。蘆江の時のように追い返してやろう」
張遼「やれるものならやってみよ」
霍篤と張遼が打ち合う。
霍篤「中々やる」
張遼「お前もな」
霍篤がスピードを生かして、槍を突き出すが張遼はそれを戟で防ぐ。張遼が力任せに戟で横薙ぎすると霍篤はしゃがんで交わして張遼に蹴りを入れる。
霍篤「今だ」
張遼「ぐっ。1発貰うとは」
続け様に槍を突き出すが張遼はそれを左手で掴み戟の柄で、霍篤の鳩尾を突く。
霍篤「何!?」
張遼「危なかったがそう何度も受けはせん。これで終わりだ」
霍篤「お、み、ご、と。ガハッ」
霍篤は腹を抱えて、その場にうずくまる。張遼は縄をかけ霍篤を捕える。
張遼「敵将、霍篤。張文遠が捕縛した」
劉表軍の中で猛将として知られる霍篤が捕まったことに動揺する蒯越。
蒯越「霍篤殿が捕らえられようとは、しかしこの場は何としても脱し、新野へと戻らねば」
呂姫「行かせません」
蒯越「幸い、相手の将は女だ。押し切るのだ」
呂姫の兵「姫様に手出しはさせん。我らが相手だ」
蒯越の兵「女が率いている兵になどやられるか」
呂姫が率いる兵と蒯越が率いる兵がぶつかり合う。
蒯越の兵「蒯越様は、早くこの乱戦の隙にお逃げください」
呂姫の兵「姫様、兵どもは我らが防ぎます。蒯越を捕らえてください」
蒯越の兵「行かせん」
呂姫の兵「早く姫様」
呂姫「みんな、死んだらダメだからね」
呂姫の兵「勿論です」
蒯越「くそっ。乱戦の隙を見て、逃げたのが失敗だった。まさか追いつかれようとは、しかし女1人。返り討ちにしてくれる」
呂姫「女、女と。私の名前は呂姫。蒯越殿、御覚悟」
相手を女だと油断した蒯越。自分のために主が命までかけてくれた呂姫。覚悟の差が歴然だった。蒯越は呂姫の薙刀により、馬から叩き落とされ、捕らえられる。
蒯越「うぐっ。馬から落ちようとは」
呂姫「勝負ありです」
蒯越「最早これまでか」
呂姫「ふぅ。重圧が半端なかった~。でもこれで、義賢様も大丈夫だよね」
呂姫・張遼により、捕らえられた蒯越・霍篤。ここに劉備軍は博望坡を制圧することとなった。一方、その頃、劉備率いる本隊は、新野にて攻城戦を開始していた。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる