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2章 反董卓連合

涙の決断

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 董卓が洛陽を手中にした時に戻る。
 袁紹「董卓よ。よくやってくれた。ささ劉協様をこちらへ」
 董卓「袁紹、何を勘違いしておる。俺から義息子を取り上げようと言うのか許さぬぞ」
 曹操「義息子だと。董卓よ。貴様こそふざけるな。天子様の父は霊帝れいてい様であり貴様では無い」
 王栄「いえ、董卓様は私の夫ですから。劉協いえ即位しましたので献帝けんてい様は、董卓様の息子でもありますのよ」
 霊帝の側室であり死んだはずの王栄の言葉に驚く朱儁と皇甫嵩は董卓への服従を誓う。それに対し、まだまだ若い袁紹は納得できないと立ち去った。
 朱儁「王美人様!?。この朱公偉はこれより董卓様にお仕え致します」
 皇甫嵩「王美人様が生きておられたとは!?。この皇甫義真も董卓様にお仕え致します」
 袁紹「朱儁殿も皇甫嵩殿もプライドはないのか?。俺は貴様になぞ仕えられん故郷に帰らせてもらう孟徳行くぞ」
 曹操「この曹孟徳。董卓様にお仕え致しましょう」
 袁紹「孟徳。お前何を言ってるのだ」
 曹操は声を潜ませて袁紹の耳にだけ聞こえるように言う。
 曹操「本初よ。俺がここで時間を稼ぐ。お前は故郷に戻り来る時に備えて軍勢を束ねるのだ。必ず合流する。待っていろ」
 袁紹「心得た。孟徳頼んだぞ」
 曹操「あぁ」
 スタスタと立ち去る袁紹を見て董卓は曹操に命じる。
 董卓「曹操と言ったか?ワシに服従すると言うのならば忠誠の証を見せてもらおう。袁紹を追いその首取って参れ」
 曹操「はっ」
 入れ替わりで初老の男とその傍らを離れず寄り添う男が入ってくる。
 ???「董卓。このようなこと許されぬぞ。ゴホゴホ」
 王栄「何が許されないとおっしゃるのかしら。それに天子様の前ですよ。名前を名乗りこうべを垂れなさい」
 ???「丁原建陽テイゲンケンヨウと申す。ゴホゴホ」
 ???「俺の名は呂布奉先リョフホウセンと申す。義父上は病を患っているのだ。平に御容赦願いたい」
 董卓「威勢が良いようだが病人風情がしゃしゃり出よって。文句があるなら戦で方をつけようぞ」
 丁原「その言葉後悔しますぞ。ゴホゴホ」
 董卓「貴様のような病人など怖くもないわ」
 王栄「えぇ、董卓様に逆らうということは、献帝様に逆らうということですわね」
 丁原「何故そうなる。ゴホゴホ」
 王栄「先程から言ってます通り、献帝様は董卓様の息子でありますのよ」
 丁原「ふざけるな。ゴホゴホ」
 王栄「あら、じゃあ貴方は呂布殿に刃を突き付けるものが現れてもその方は貴方の敵では無いということかしら?」
 丁原「それとこれとは話が違う。ゴホゴホ」
 王栄「あら、どこが違うのかしら。全く一緒ですわよ」
 丁原「全く話になりませんな。ゴホゴホ」
 呂布「この場は、これにて失礼する」
 丁原を抱えて呂布が洛陽を後にする。帰った丁原の病は良くならず。逆に攻め寄せた董卓軍を返り討ちにした後、とうとう寝込んでしまう。その傍に娘と呂布と重臣たちを呼ぶ。
 丁原「おお。皆集まってくれたか?」
 呂布「義父上、とうとう目までが。おのれ董卓」
 ???「父上、お気を確かに」
 丁原「おお。その声は我が娘の厳氏ゲンシか。よく聞くのだ。呂布の妻となり夫を支えるのだ」
 厳氏「わかりましたから。もう喋らないでくださいませ」
 丁原「呂布よ。娘のこと頼んだぞ。張遼チョウリョウ高順コウジュンよ。これまでこんな頼らないワシによく仕えてくれた。これからは呂布を主として支えるのだ。良いな」
 張遼「丁原様、心得申した」
 高順「丁原様。うっうっ勿体無いお言葉です」
 丁原「呂布よ。同郷である者から内応の手紙が来ておるな?」
 呂布「何故そのことを!?。義父上を裏切るなど考えてもいないと突っぱねるつもりです。ご安心ください。必ず俺が董卓を殺して見せます。孤児であった俺を拾いここまで育ててくださった義父上のために」
 丁原「ハハハ。本当にお前は義理堅いな。ワシが死んだらワシの首を手土産に董卓に降るのだ」
 呂布「!?。俺にはそのようなことできません」
 丁原「董卓を討つのなら内部からのが圧倒的に楽だ。お前と同じ思いを持つものを内側から束ねて討つのだ。良いな」
 呂布「そのために義父上を犠牲にしろとおっしゃるのか?そのような真似俺にはできぬ」
 丁原「何もワシを殺せと言っておるのでは無い。間も無く死ぬワシの命を使えと言っておるのだ」
 呂布「しかし、義父上の首は晒し首にされる。そのようなこと俺にはとても耐えられん」
 丁原「ハハハ。良いのだ。ワシの命で世界が少しでも良い方向に進むのなら喜んで晒し首になろうぞ」
 厳氏「呂布、父上の最後の頼みを聞き入れなさい」
 呂布「厳氏、しかし」
 厳氏「腹をくくるのです。それでも私の旦那様になる御方ですか?」
 呂布「!?。わかった。義父上。必ずや董卓を討ちますので安心してください」
 丁原「うむ。心残りはこれで無くなった。我が息子それに我が娘よ幸せにな」
 厳氏「父上、ちちうえーーーー」
 呂布「義父上ーーーーーーーー」
 呂布は遺言通りに丁原の首を手土産に董卓に降る。董卓は大層喜び赤兎馬せきとばを呂布に送るのだった。
 董卓「よく来てくれた呂布よ」
 呂布「呂奉先、これよりは董卓様を義父と仰ぎ誠心誠意お仕え致します」
 唇を噛み締め握り拳を作りながらも平伏する呂布。
 董卓「これは愉快愉快。李粛リシュクよ。よくやった」
 李粛「お褒めいただき感謝致します」
 董卓「牛輔ギュウホ、丁原の首を晒しておけ」
 牛輔「義父上、了解しました」
 呂布は嫌々ながらも丁原の首を牛輔に差し出す。晒し首として洛陽に晒され。立て札には、董卓大将軍に逆らいし者の首と書かれた。
 董卓「グハハハ。さて次は洛陽中の女を集めよ。ワシの酒池肉林が始まるんじゃ。グハハハ」
 王栄「あぁん。董卓様~私のことも忘れないでくださいまし」
 董卓「無論じゃ」
 何進の軍を取り込み丁原の軍も取り込んだ董卓は一大勢力となり、この日から立て札にこう書かれた。董卓大将軍様の治める土地の女は皆董卓大将軍様に謁見せよ。逆らえば一族郎党根絶やしにすると。逆らうこともできない民たちは妻や娘を泣く泣く董卓に差し出すのであった。
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