えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟！兄上に天下を取らせるため尽力します。

1章 黄巾の乱

黄巾軍の未来を変える！

　広宗に着くと劉備殿が1人で陣幕に向かう。そこでは前回同様のやり取りが行われ、俺たちは皇甫嵩殿の援軍に向かうことになった。
　皇甫嵩「クソっ黄巾共め守りが硬すぎる。まるでこちらの手を知っているかのようではないか！？」
　劉備「失礼致します。劉備義勇軍を率いている劉玄徳です。援軍に参りました」
　華雄「中郎将董卓が臣下華雄と申します。壊滅的打撃を受けた主君の命を受け援軍に参りました」
　太史慈「北海城太守孔融が臣下太史慈と申す。孔融様の命を受けこの度援軍に馳せ参じました」
　皇甫嵩「楼桑村の戦いの義勇軍と中郎将の臣下と北海太守孔融の臣下の援軍とは心強い限りだ。よくきてくれた。孫堅も何進様への救援願いの務めよく果たしてくれた」
　孫堅「はっ」
　皇甫嵩「知っての通り、我が軍は張宝の妖術により苦戦している。全く厄介なものだ」
　劉備「我が劉備義勇軍に任せていただけないだろうか？」
　皇甫嵩「よく言った。では劉備よ。お前の度胸を買い前線を任せる。必ず張宝を討ち取るのだ」
　劉備「はっ」
　陣幕を出て、張宝軍と対峙する。
　劉備「これで良いのか義賢？」
　義賢「はい兄上。後は俺に任せてください。太史慈殿、華雄殿、兄上のことをお願いします」
　太史慈「まさか張角と会談を願うなど無茶な要求ですが確かに付き従ったものも民ですから多くの血を流さない判断は間違いではないかと」
　華雄「董卓様に恥をかかせずに済んだのだ。これぐらいは目を瞑ろう」
　義賢「では行ってきます。龔都、案内を頼む」
　龔都「へい」
　龔都の案内に従い裏から広宗の奥にある祭殿にいる張角の元に向かう。対面した張角は病人というのが分かるほどに痩せこけていた。
　張角「ゴホッゴホッ。劉義賢殿ですな。ゴホッゴホッ。張宝より話は伺っております。ゴホッゴホッ。よく参られた。ゴホッゴホッ。このような姿で申し訳ぬ。ゴホッゴホッ。我こそが黄巾党の党首張角である」
　張宝「劉義賢殿、兄上はこの様な御身体ゆえ。挨拶以降は話を聞くだけに徹していただき。話は俺が伺いましょう」
　張梁「あね、いや兄貴良いのかよ。こんな胡散臭いやつの話を全面的に信じしまっても」
　張宝「ゴホン、張梁。この者の言が嘘ならその時この者を殺せば良いだけです」
　張梁「確かにそうだがよ」
　張宝「では、暫し黙っていなさい」
　張梁「うっ」
　張宝「劉義賢殿、失礼致しました。あの手紙の内容についてお話を伺うとしましょう。それにしてもここは暑いですね」
　張宝は羽織っていたフードを取る。そこには女性らしい確かな膨らみがあった。
　義賢「やはり、女性だったのですね」
　張宝「このことを知っているのは兄上と張梁。信徒なら波才と龔都ぐらいなものですが、初めてお会いした方に見抜かれるのは初めてです」
　義賢「いえ、胸がそのえーっとどういうべきか。あのその膨らんでますので」
　張宝「きゃあー。なんでサラシ巻いてたのに」
　張梁「姉上、肝心なところでドジするよな」
　張宝「取り乱して、失礼しました。先ずは太平道の信徒でもない貴方が兄上について知っていたことについてお聞かせ願いましょうか」
　義賢「簡単なことです。民を医術で救っていた張角殿は医術でこの世を変えると思い立ち。黄帝が記したどんな病でも治せるという幻の書物太平清領書を信じる宗教、太平道を起こした。そしてそれはまさに今病に侵されている張角殿に必要不可欠なもの」
　張角「！？。ゴホッゴホッ」
　張梁「！？。どんな慧眼だよ。全く畏れちまったぜ」
　張宝「！？。フフフ。見事というしかありませんね。では、現在太平清領書は何処にあるのですか？」
　義賢「于吉ウキツという道士を知っていますか？張角殿と違い医術を利用して民を思いのままに操っている男です」
　張宝「すみませんが存じません」
　張角「ゴホッゴホッ。まさか彼奴がそのようなことに医術を使っていようとは。ゴホッゴホッ」
　張宝「兄上、知っておられるのですか？」
　張角「ゴホッゴホッ。かつて同じ師の元で学んだ兄弟子ぞ。ゴホッゴホッ。その于吉がどうしたのですかな？」
　義賢「太平清領書を手に入れたようなんですよ」
　この時于吉が太平清領書を拾い、それを用いて民心を高めて、孫策殿と対立を深めていくんだよな。
　張宝「そのような男の元にあって良いものではありません。すぐに取り返しに向かいましょう。張梁準備を」
　義賢「無理ですよ。この広宗は既に朝廷軍に囲まれています。張角殿・張宝殿・張梁殿の首が無ければ引くことはないでしょう」
　張梁「貴様ー謀ったな」
　張宝「抑えるのです張梁。劉義賢殿、それを知らせるということは何か手があるのですね？」
　龔都「お任せくだせぇ。間も無く俺の義兄弟たちが朗報を持ってきてくれるので」
　扉から4人が首をぶら下げて入ってきた。
　龔都「お前ら、首尾はどうよ」
　何儀「代表して俺が話すぜ。兄貴すまねぇ。卞喜には逃げられちまった。でも反乱を起こした3人の首はここに持ってきた。唐周と厳政と高昇の首です。こんなものどうするんですか？」
　義賢「身代わりですよ。張角様と張宝様と張梁様の首として朝廷に差し出すんですよ」
　劉辟「馬鹿言っちゃ行けねぇよ。無理があるってもんだぜ」
　義賢「可能ですよ。こうするんです」
　義賢は首の原型がわからないほどにぐちゃぐちゃにした。
　張角「ゴホッゴホッ。なんとそのようなことを」
　張宝「まさか！？」
　義賢「えぇこれを貴方方3人の首として朝廷軍に差し出します。そこから先はなんとか切り抜けて見せますよ」
　張梁「ハハハ。気に入ったぜ。劉義賢殿、我ら太平道はこの恩を生涯忘れず手を貸すことを約束するぜ」
　張宝「えぇ。本当にありがとうございます」
　張角「ゴホッゴホッ。そうと決まれば、波才と馬元義と張曼成を連れて、この場を撤退するとしよう。太平道を信ずる信徒はその3人だからなもう」
　張宝「えぇ、そうですね」
　何曼「そういうと思って連れてきましたぜ」
　波才「お話は伺いました。どこまでもお供いたしましょう」
　馬元義「張角様は俺が守るぜ」
　張曼成「俺も忘れんなよな」
　張角たちは、俺に頭を下げて、張角の両脇を馬元義と張曼成が支える形で退出していく。
　張宝「貴方は私たちの命の恩人です。必ずこの御恩はお返しします。龔都行きますよ」
　龔都「すまねぇ張宝様。俺たち義兄弟は張角様たちの代わりにこの御方に恩を返すことにするぜ」
　張宝「そうですか。では龔都宜しく頼みましたよ。その御方を絶対に死なせてはなりませんよ」
　龔都「お任せくだせぇ」
　張宝も張梁と波才と共に去っていく。
　何とか、張角たちを救うことには成功したな。ここからが大変だがやり遂げるしかあるまい。劉義賢一世一代の大芝居を。